月面着陸は通信途絶 ispace袴田代表「ミッション終了を判断」

宇宙開発ベンチャーのispace(アイスペース、本社・東京)は、日本時間で2025年6月6日4時17分に日本の民間企業で初となる月面着陸に挑戦しましたが、ランダー(着陸機)との通信が途絶し回復できないため、袴田武史代表取締役は記者会見で「ミッションの達成が困難であり、ミッションの終了を判断しました」と発表しました。
宇宙開発ベンチャーのispace(アイスペース、本社・東京)は、日本時間で2025年6月6日4時17分に日本の民間企業で初となる月面着陸に挑戦しましたが、ランダー(着陸機)との通信が途絶し回復できないため、袴田武史代表取締役は記者会見で「ミッションの達成が困難であり、ミッションの終了を判断しました」と発表しました。
ispaceは、YouTubeでライブ配信を準備しています。6日未明の3時10分から配信を始めますが、月面着陸は4時17分ごろ、Mare Frigoris(氷の海)の中央付近(北緯60.5度、西経4.6度)を予定しています。
しかし、ランダー(着陸機)の通信が途絶し、4時17分を過ぎても着陸の受信には至らなかったたといい、袴田武史代表取締役は記者会見で「ランダーがハードランディングした可能性が高いと推測しています。ミッションの達成が困難であり、ミッションの終了を判断しました」とのコメントしました。
今後については「原因をしっかり解析して、今後のミッションにつなげていきたいと思います」とコメントしています。
月面着陸ミッションを終了すると判断した理由は以下の通りです。
ispaceのエンジニアは東京の日本橋にあるHAKUTO-Rミッション・コントロール・センター(管制室)から2025年6月6日(金)午前3時13分(日本時間)、着陸シーケンスの実行を指示するコマンドを送信しました。 RESILIENCEランダーは降下開始のために月周回軌道を離脱、高度約100kmから約20kmまで惰性降下を行なった後、予定通り主エンジンを噴射し、減速を開始しました。ランダーの姿勢がほぼ垂直になったことを確認したものの、その後、テレメトリが消失し、同日午前4時17分に予定していた着陸予定時刻を過ぎても、着陸を示すデータの受信には至りませんでした。
現時点で確認できていることとして、月面との距離を測距するレーザーレンジファインダーにおいて、有効な計測値の取得が遅れ、また予定されていた月面着陸に必要な速度まで十分に減速ができていなかったことが確認されています。これらの状況から、当社のランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いと現時点で推測しております。
ランダーからの通信が途絶えたあと、ランダーのリブート(再起動)を試みましたが、通信の再確立に至りませんでした。
ispaceは、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業です。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で約300人が活動しています。
2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チーム「HAKUTO」を運営しています。
おもな事業として、月への小型ランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発しています。2022年12月には SpaceXのFalcon 9を使用し、ミッション1のランダーを打ち上げましたが、着陸には成功せず、通信が途絶えました。
続くミッション2は2025年1月15日に打ち上げ、6月6日に、月面着陸へ再挑戦を目指しています。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。