目次

  1. 省エネ補助金とは
  2. 省エネ設備への更新支援(省エネ補助金)
    1. 工場・事業場型
    2. 電化・脱炭素燃転型
    3. 設備単位型
  3. 既存の業務用建築物を効率的に省エネ改修する支援策
  4. 省エネ診断

 省エネ補助金とは、政府が掲げている2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅や事業所などの省エネルギー対策に取り組む費用の一部を国などが支援する補助金です。

 たとえば、事業者向けには、工場のボイラや工業炉、ビルの空調設備や業務用給湯器などを、省エネ型設備へと更新するための補助金などが含まれています。

 資源エネルギー庁などによると、エネルギーコストが上昇するなか、事業者向けには政府の2023年度補正予算案に次のような支援パッケージを盛り込んでいます。

  1. 省エネ設備への更新支援(省エネ補助金)
  2. 既存の業務用建築物を効率的に省エネ改修する支援策
  3. 省エネ診断

 それぞれについて詳しく紹介します。

 省エネ補助金は、複数年の投資計画に切れ目なく対応する仕組みを適用し、今後の支援の予算規模について、今後3年間で7000億円規模へと拡充しようとしています。

 また、脱炭素につながる電化・燃料転換を促進する類型を新設し、中小企業のカーボンニュートラルも促進させようとしています。

 工場全体の省エネ、一部の製造プロセスの電化・燃料転換(新設)、リストから選択する機器への更新の3つの類型を準備しています。

 工場・事業場型は、生産ラインの入れ替えや集約など、工場・事業場全体で大幅な省エネ化を図るものを補助します。補助率は。中小企業で1/2以内、大企業は1/3以内となります。先進設備の場合は、中小企業で2/3以内、大企業で1/2以内となります。

 補助上限額は15億円/年度(非化石転換の要件満たす場合、20億円/年度)で、下限額は100万円/年度となります。

 電化・脱炭素燃転型は2023年度補正予算案で新設された類型で、主に中小企業の活用を念頭に、脱炭素につながる電化や燃料転換を伴う設備更新を補助します。

 対象となる設備は、以下となります。

  • 産業用ヒートポンプ
  • 業務用ヒートポンプ
  • 低炭素工業炉
  • 高効率コージェネレーション
  • 高性能ボイラ

 補助率は1/2以内、補助上限額3億円(電化のための機器の場合は5億円)、下限は30万円です。

 設備単位型は、中小企業が使いやすいよう、リストから選択する機器への更新を補助します。そのため、導入できるのは、あらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、補助対象設備として登録・公表した指定設備に限ります。

 補助率は1/3以内で、補助上限額は1億円、補助下限は30万円です。

業務用建築物の脱炭素改修加速化事業の概要(資源エネルギー庁の公式サイトからhttps://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/government/package.html)

 環境省・経産省・国交省は、高効率の空調や照明、断熱材の導入を一体で進めることで、CO2削減ポテンシャルの高い既存の業務用建築物(オフィス、教育施設、商業施設、病院など)を効率的に省エネ改修する支援策を新設する予定です。複数年で339億円規模となる見込みです。

 具体的には、改修後の省エネ性能が一定の要件をクリアすることを条件に、断熱窓、断熱材、高効率空調機器、高効率照明などの改修を補助します。補助額は、改修内容に応じて定額または補助率1/2~1/3相当となる見込みです。

省エネ診断の概要(資源エネルギー庁の公式サイトから https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/government/package.html)

 省エネ診断とは、省エネの専門家が中小企業を訪ね、エネルギー使用の改善をアドバイスする仕組みです。省エネ診断を受けた場合は、省エネ補助金の加点措置をし、診断から設備まで支援する方針です。

 省エネ診断は、具体的に次のような手順で進めます。

  1. 事前アンケート・面談により、工場の設備の仕様や普段の設備の使い方を確認
  2. ウォークスルーで工場内をまわり、エネルギーの使い方について重点確認ポイントをすり合わせ
  3. アフターフォローで再度面談し、その場でできる省エネのアドバイスを実施

 省エネの取り組みについて「具体的に何をやればよいか分からない」との中小企業の声も多いといい、専門家による省エネ診断への支援を強化し、2024年度は2023年度比倍増の案件数を見込んでいます。