目次

  1. 地域に根差した雑穀メーカー
  2. 出荷の9割でパレットを導入
  3. 荷待ちの行列ができていた
  4. 積載効率アップのため段ボールの形を変更
  5. 「ドライバーが荷主を選ぶ時代」に向けて

 はくばくの設立は1941年。戦後の食糧難が続く時代に、比較的流通が安定していた大麦の販売事業に取り組み、大麦を米と交ぜて炊いても違和感なく食べられるようにして売り上げを伸ばしました。現在の主力商品は、独自技術で生み出した「白米好きのためのもち麦」やロングセラーの「十六穀ごはん」。従業員数は約420人で、2022年の天皇杯を制したJ2ヴァンフオーレ甲府の胸スポンサーとしても知られています。2003年からは、3代目の長澤重俊さんが社長を務めています。

ロングセラーとなった「十六穀ごはん」(はくばく提供)

 はくばくでは、県内にある三つの工場に倉庫が併設されており、ここから全国の物流施設や小売店に向けて、年間約5万4千トンの商品を出荷しています。 輸送手段の9割を占めるのがトラックとフェリー 。「現在、このルートで運ぶ商品は、基本的にパレットに乗せて出荷されています」と、物流部部長の小野健志さん(51)は話します。

 パレット輸送は、四角い台(パレット)の上に荷物を載せることで、フォークリフトを使ってトラックの荷物を積み下ろしできるようにする方法です。手作業の積み下ろしに比べて作業者の負担も減り、大幅に作業時間を短縮できるため、輸送力不足が懸念される「物流の2024年問題」への対策の一つとして注目されてきました。

はくばくの商品を乗せたパレット(同社提供)

 はくばくは主に、標準的な規格である1.1メートル四方のパレットを、レンタルして使っています。食料品は小口の注文もあるため、店頭などで荷物を卸す段階では、パレットごとではなくより細かい単位に分けて商品をバラ降ろしするケースもあります。それでも、倉庫から出荷する段階ではパレット使用を定着させることができました。現在は生産と同時に、商品がパレットに積まれる仕組みとなっています。倉庫での荷積み時間は、手積みの際はトラック1台あたり約2時間だったところ、パレットの導入で約30分に短縮されたそうです。

 はくばくは2014年ごろからパレット輸送を導入しはじめ、2018年ごろから使用を本格化しました。 パレットの導入前は、荷積みに時間がかかって作業時間にばらつきがあることから、トラックの運行ダイヤをきちんと組めておらず、倉庫の敷地内にトラックの待機列ができてしまっていたそうです。

 「トラックが敷地内にあふれてしまうのは安全上もよくありませんし、『なんとか改善してほしい』といった意見を運送会社さんからもらっていました」と小野さん。はくばくは地元の運送会社との付き合いが長く、関係性も密だったため、当時から定期的な意見交換を行っていたと言います。 こうして運送会社からの要望が、パレット輸送のきっかけとなりました。

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