経営セーフティ共済、2024年10月改正へ 「裏ワザ」の節税にメス
中小企業基盤整備機構の公式サイトによると、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先の倒産で、中小企業が連鎖倒産などに陥ることを防ぐための制度です。しかし、節税を目的として、短期間で脱退・再加入を繰り返す事例が増えているため、令和6年度(2024年度)税制改正大綱で、2024年10月から共済契約を解約し、再度契約を締結すると、解約日から2年間は損金算入をできなくする方針が示されました。
中小企業基盤整備機構の公式サイトによると、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先の倒産で、中小企業が連鎖倒産などに陥ることを防ぐための制度です。しかし、節税を目的として、短期間で脱退・再加入を繰り返す事例が増えているため、令和6年度(2024年度)税制改正大綱で、2024年10月から共済契約を解約し、再度契約を締結すると、解約日から2年間は損金算入をできなくする方針が示されました。
目次
中小企業庁の公式サイトによると、取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられる中小企業倒産防止共済法にもとづいた共済制度です。
経営セーフティ共済には、おもに4つのメリットがあります。
共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、借り入れることができます。
掛金月額は5000~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。
共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12ヵ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヵ月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12ヵ月未満は掛け捨てとなります)。
ただし、令和6年度(2024年度)税制改正大綱で、2024年10月1日以降に共済契約を解約し、再度共済契約を締結(再加入)する場合には、解除の日から同日以降2年を経過する日までの間に支出する掛金については、損金(法人)、必要経費(個人)算入できなくなります。
改正理由について中小企業庁の資料(PDF方式)は「短期間で繰り返される脱退・再加入」があると指摘しています。
資料によると、2011年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増しています。とくに顕著となっているのが、3、4年目の解約で、元々解約手当金の支給率が100%となるため、解約率が高いのですが、近年その傾向がとくに顕著になっています。しかも、すぐに再加入する事業者もいるといいます。
脱退・再加入は、積立額の変動で貸付可能額も変動するため、中小企業庁は「連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではない」と指摘しています。
こうした背景にあるのが、節税をアピールして共済への加入を勧めるサイトやYouTube、書籍だとして、中小企業庁の資料は、そのタイトルを公表しています。
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