目次

  1. OBD検査とは
  2. 検査対象となる車 車検証で確認
  3. 検査対象となる装置
  4. OBD検査の流れ スキャンツールを活用
  5. OBD検査の費用
  6. 検査用スキャンツールとは

 国土交通省の検討会の最終報告書によると、車検はこれまで、現在の外観確認やブレーキテスタ等の測定機を中心とした検査が中心でした。

 しかし、自動運転技術が進むなか、電子制御装置が故障した場合は重大な事故につながるおそれがあるため、電子制御装置の機能確認まで踏み込んだ検査が必要になってきました。

 独立行政法人自動車技術総合機構のポータルサイト「OBD検査ポータル」などによると、そもそも車載式故障診断装置(OBD:On-Board Diagnostics)とは、エンジンやトランスミッションなどの電子制御装置内部に搭載された故障診断機能です。

 OBD検査とは、OBDを活用して、自動運転技術などに用いられる電子制御装置が適切に機能しているかを確認する検査です。車検の検査項目として、2024年10月以降(輸入車は2025年10月以降)に新たに追加されました。

 OBD検査の対象車は、国産なら2021年10月1日以降の新型車(フルモデルチェンジ車)、輸入車なら2022年10月1日以降の新型車(フルモデルチェンジ車)です。

 原則として、2024年10月以降の車検で、車検証の備考欄に「OBD検査対象」と書かれている場合、通常の検査項目に加えてOBD検査が必要です。車検証にOBD検査の検査開始年月日が書かれています。

 たとえば、以下のような電子制御装置が検査対象となります。

  • 制動装置(ABS. ESC. EVSC.BAS.AEBS)
  • かじ取装置(高度運転者支援ステアリングシステム)
  • 自動運行装置
  • 車両接近通報装置(AVAS)
  • 排出ガス発散防止装置
OBD検査の流れ

 車の使用時は、OBDがシステムの状態を常時監視しており、OBDが異常を検知した際に、故障コード(DTC)を記録します。

 OBD検査は、自動車のコンピューターに検査用スキャンツールを接続して電子装置の故障の有無を確認します。

 スキャンツールによる故障診断の結果、DTCが検出された場合には、必要な整備・修理が必要となります。

整備工場での故障コードの読み取りと点検整備
整備工場での故障コードの読み取りと点検整備

 2021年10月1日以降、自動車メーカーが提供する故障診断に必要な情報管理などの費用として、車検時に支払う法定手数料に、自動車技術総合機構の技術情報管理手数料(1台あたり一律400円)が追加されています。

 そのほか、OBD検査や故障の修理には費用がかかりますので、車検を受ける整備工場で確認してください。

スキャンツールのイメージ

 スキャンツールとは、自動車の診断器用コネクタ(OBDポート)に接続してECUと通信し、記録されたDTCを読み取るツールのことです。

 指定工場で、OBD検査を実施するには、スキャンツールなど3つの準備が必要です。

  1. OBD検査システムへの事業場·利用者登録をすること
  2. 特定DTC照会アプリをインストールすること
  3. 検査用スキャンツールを備えること

 認定工場でも義務ではありませんが、指定工場と同じ準備をすればOBD確認ができるようになり、受検前に判定結果を確認できます。検査場でのOBD検査が原則、省略されます。

 検査用スキャンツールの認定機器一覧は、日本自動車機械工具協会の公式サイトに掲載されています。

 そのほか、必要な機器については特設サイト「OBD検査ポータル」で確認してください。