目次

  1. 介護事業者の経営情報の報告の義務化、背景を解説
  2. 義務化の対象事業者
  3. 報告が義務化される経営情報 任意項目も紹介
    1. 事業所又は施設の名称・所在地その他の基本情報
    2. 事業所又は施設の収益及び費用の内容
    3. 事業所又は施設の職員の職種別人数その他の人員に関する事項
    4. その他必要な事項
  4. 報告期限
  5. 介護事業財務情報データベースシステムとは
  6. 介護事業財務情報データベースシステム、いつから?

 厚労省の公式サイトによると、人手不足や感染症の流行などめまぐるしく変わる社会情勢に対応し、介護事業者に的確な支援策を検討するため、介護サービス事業者の経営情報を収集し、データベースを整備することになったと説明しています。

 これまでも介護事業経営実態調査を実施してきましたが3年に1度のため、こうした調査を保管する意味合いもあるといいます。

 報告が義務化されるのは、原則、すべての介護サービス事業者です。具体的には、以下のサービスを提供する事業者です。

訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
通所介護、通所リハビリテーション
短期入所生活介護
短期入所療養介護(則第 14 条第4号に掲げる診療所に係るものを除く)
特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)
福祉用具貸与
特定福祉用具販売
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
夜間対応型訪問介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
居宅介護支援
介護福祉施設サービス
介護保健施設サービス
介護医療院サービス
介護予防訪問入浴介護
介護予防訪問看護
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防通所リハビリテーション
介護予防短期入所生活介護
介護予防短期入所療養介護(則第22 条の 14 第4号に掲げる診療所に係るものを除く)
介護予防特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く)
介護予防福祉用具貸与
特定介護予防福祉用具販売
介護予防認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防認知症対応型共同生活介護

 ただし、「過去1年間で提供を行った介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下のもの」及び「災害その他都道府県知事に対し報告を行うことが出来ないことにつき正当な理由があるもの」は対象外となります。

 報告は原則、介護サービス事業所・施設単位ですが、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合は、法人単位で報告することが認められます。

 厚労省が出した通知(PDF方式)によると、報告すべきデータは大きく分けて以下の4つに分類されます。※は任意記載。

 これらの情報は、介護事業財務情報データベースシステムを通じて報告することになります。

事業所又は施設の名称
法人等の名称
法人番号
介護事業所番号
介護事業所で提供しているサービスの種類
法人等の会計年度末
法人等の採用している会計基準
消費税の経理方式

介護事業収益
 うち施設介護料収益 ※
 うち居宅介護料収益 ※
 うち居宅介護支援介護料収益 ※
 うち保険外収益 ※
介護事業費用
 うち給与費(給与・役員報酬※・退職給与引当金繰入※・法定福利費※
 うち業務委託費(給食委託費※)
 うち減価償却費
 うち水道光熱費
 うちその他費用(材料費<うち給食材料費※>、研修費※、本部費※、車両費※、控除対象外消費税等負担額※)
事業外収益 ※
 うち受取利息配当金 ※
 うち運営費補助金収益 ※
 うち施設整備補助金収益 ※
 うち寄付金※
事業外費用※(借入金利息※)
特別収益 ※
特別費用 ※
法人税、住民税及び事業税負担額 ※

 次の職種ごとのその人数(常勤・非常勤別)

管理者
医師
歯科医師
薬剤師
看護師
准看護師
介護職員(介護福祉士)
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
柔道整復師・あん摩マッサージ師
生活相談員・支援相談員
福祉用具専門相談員
栄養士・管理栄養士
調理員
事務職員
その他の職員
上記のうち介護支援専門員・計画作成担当者
上記のうち訪問介護のサービス提供責任者

職種ごとの給与及び賞与 ※

複数の介護サービス事業の有無
介護サービス事業以外の事業(医療・障害福祉サービス)の有無
医療における事業収益 ※
医療における延べ在院者数 ※
医療における外来患者数 ※
障害福祉サービスにおける事業収益 ※
障害福祉サービスにおける延べ利用者数 ※

 介護サービス事業者による都道府県知事への介護サービス事業者経営情報の報告は、則事業者の毎会計年度終了後、3ヵ月以内にする必要があります。ただし、初年度の2024年度分に限っては報告期限を2024年度末(2025年3月末)までとなりますので注意が必要です。

介護事業財務情報データベースシステムの画面イメージ
介護事業財務情報データベースシステムの画面イメージ(厚労省の公式サイトから https://www.mhlw.go.jp/stf/tyousa-bunseki.html)

 介護事業財務情報データベースシステムは、以下の4つのデータの入力またはファイルの登録が必要となります。

データ データ概要
損益計算書等データ 介護サービス事業者の収益・費用の情報を報告します。報告項目は各会計基準に沿った項目を指定しています。
届出対象事業所データ 「損益計算書等データ」に含まれる事業所情報(介護事業所番号、介護事業所名、サービス種類コード)を登録します。
事業所連絡先データ 「届出対象事業所データ」に含まれる介護事業所の連絡先(メールアドレス)を登録します。
追加情報データ 損益計算書等データに含まれる介護以外の事業(医療、障害等)に係る情報、事業所又は施設の職員の職種別人数その他の人員に関する事項

 介護サービス事業者が提出する介護サービス事業者経営情報は、システムの画面からデータを入力して提出する方法と、介護サービス事業者が使用する端末の会計ソフト等から取り込む方法があります。

 データを取り込めるのは「損益計算書等データ」及び「届出対象事業所データ」となります。「事業所連絡先」及び「追加情報データ」は本の画面入力のみで登録する必要があります。

 介護事業財務情報データベースシステムは、厚生労働省が運営するオンラインシステムです。操作方法についてのマニュアル等は2024年秋ごろ公表となる予定です。報告にはGビズID(gBizIDプライム)のアカウント取得が必要となります。

 2025年冬に、報告システムの運用を開始し、2024年度分報告が開始されます。