スマート農業技術活用促進法、2024年10月施行 優遇税制や融資も紹介
スマート農業技術を活⽤して⽣産性向上に取り組む農業者への新たな⽀援を盛り込んだ「スマート農業技術活用促進法」が2024年10月1日から施行されます。「生産方式革新実施計画」と「開発供給実施計画」の2つの認定制度を設け、認定を受けた農業者や事業者は税制・融資面での優遇を受けやすくなります。
スマート農業技術を活⽤して⽣産性向上に取り組む農業者への新たな⽀援を盛り込んだ「スマート農業技術活用促進法」が2024年10月1日から施行されます。「生産方式革新実施計画」と「開発供給実施計画」の2つの認定制度を設け、認定を受けた農業者や事業者は税制・融資面での優遇を受けやすくなります。
農林水産省の公式サイトによると、スマート農業とは、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業のことを指します。次の3つの効果があるといいます。
スマート農業技術の例としては、ロボットトラクターや⾃動収穫機、リモコン草刈機など作業軽減のため、自動運転するものだけでなく、ハウスなどの環境制御システムや経営・⽣産管理システム、家畜の生態管理システムなども含まれます。
これまでもスマート農業は取り組まれてきましたが、普及させるには、ほ場の畝間拡⼤、均平化や合筆、枕地の確保、作期分散、出荷の⾒直し等、スマート農業技術に適した⽣産⽅式への転換が必要であることが見えてきました。
同時に、技術面の開発速度を引き上げるには、スマート農業技術に適した⽣産⽅式への転換により開発ハードルを下げつつ、開発が特に必要な分野を明確化して多様なプレーヤーの参画を進める必要性もあるといいます。
そこで、法律の整備が進められてきました。
農林水産省の公式サイトによると、スマート農業技術活⽤促進法(農業の⽣産性の向上のためのスマート農業技術の活⽤の促進に関する法律)は、農業者の減少等の農業を取り巻く環境の変化に対応して、農業の⽣産性の向上を図るため、以下の2つの認定制度を創設することなどを定めています。
今回のスマート農業技術活⽤促進法は、上記のように農業と開発の現場それぞれの支援を目的とした内容になっています。
⽣産⽅式⾰新実施計画とは、スマート農業技術の活用と、人手による作業を前提とした栽培方法の見直しなど農産物の新たな生産の方式の導入をセットで相当規模(複数農業者が共同した産地単位での取り組みなど)で行い、スマート農業技術の効果を十分に引き出す生産現場の取組を認定する予定です。
たとえば、アスパラガスやリンゴで植え方から工夫することで、自動収穫ロボットを導入しやすくするといったイメージです。
計画認定を受けるメリットとして、⽇本政策⾦融公庫から⻑期低利の融資を受けられます。また、設備投資の際、税制上の優遇措置が受けられるようにもなります。
一方、開発供給実施計画とは、農業において特に必要性が⾼いと認められるスマート農業技術等について、基本⽅針に重点開発⽬標として明⽰し、これに沿ってスマート農業技術等の開発や⽣産現場への供給を⼀体的に⾏う取り組みを国が認定する計画のことを指します。
開発供給事業は、実証プロジェクト等から得られたデータ等を分析し、以下のポイントを基本方針とする想定です。
そのうえで、基本方針を「開発供給事業の促進の⽬標」(=重点開発⽬標)として位置付け、その⽬標の達成に寄与する技術の開発及び供給を⾏う事業を計画認定することにより⽀援するのが基本的な考え方となります。
開発供給事業の対象となる技術は、農業において特に必要性が⾼いと認められる、スマート農業技術と、⽣産⽅式⾰新事業活動のために⽤いられる農業機械等、種苗、肥料、農薬その他の農業資材に関する技術が含まれます。
たとえば、茎が⻑く機械収穫時の歩留まりを改善するホウレンソウの品種開発や、果樹⾃動収穫機の開発とともに果樹⾃動収穫機に適した栽培体系の確⽴などがその例です。
計画認定を受けるメリットとして、日本政策金融公庫から長期低利の融資を受けられます。農研機構が全国に有する研究設備等を利用することもできます。
さらに、会社の設立や出資の受入れ等の際、税制上の優遇措置が受けられます。また、行政手続のワンストップ化や、新品種の品種登録を行う場合の出願料・登録料の減免、中小機構による債務保証といったメリットもあります。
スマート農業関係予算(2023年度補正予算・2024年度予算)
スマート農業関係予算(2023年度補正予算・2024年度予算)
スマート農業技術の活⽤の促進のための国の措置
農業競争⼒強化⽀援法の特例
種苗法の特例
農研機構の施設等供⽤
野菜法の特例
農地法の特例
航空法の特例
スマート農業技術活⽤促進資⾦の借⼊⼿続
スマート農業技術活⽤促進資⾦の創設
スマート農業技術活⽤促進税制の創設②(登録免許税の軽減)
スマート農業技術活⽤促進税制の創設①投資促進税制(法⼈税・所得税の特例
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