あさい農園

1907年、津市で創業し、サツキツツジの生産を開始。1975年に法人化した。創業101年目の2007年から完熟チェリートマトの試験栽培を始め、事業を大きく拡大した。2017年には、中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれた。2018年に日本農業経営学会の実践賞、2020年に農業情報学会の農業イノベーション大賞を受賞。従業員数(パート含む)は単体で約100人、グループ全体で400人を超える。

原体験は米国でのインターン

――子どもの頃は、家業とどのように関わっていましたか。

 子どもの頃から、植木の生産や積み込みなどを手伝っていました。両親はいつも忙しく、父親と仕事でふれ合えるのはうれしかったですね。長男だったし、祖父からは「雄一郎が継ぐんだよ」と言われ、その気になっていました。でも、中学や高校ではむしろ農業から離れたい気持ちが膨らんで、大学は農学部も受かっていたけど、甲南大学の理学部(当時)に進みました。

 祖父も父親も若い頃、海外に技術を学びにいき、国際感覚に優れていました。僕も大学に入って、農業への関心がまた芽生え、1年生の夏に父親の勧めで米国の種苗会社にインターンに行きました。

ーー米国の会社では、どんな経験をしましたか。

 家族経営が大多数だった日本の農業とは、規模が全く違いました。僕は無菌室の中でピンセットを持って苗を培養したり、広大な敷地をバギーに乗って水をまく作業に触れたりしました。多様な人種が働いていて、週末になると、社長が肉を焼いてみんなでバーベキューを囲みました。

 世界の農業を見て回りたいという気持ちが、この時に芽生えました。大学時代は世界中をバックパックで旅して、欧州やアジアなど世界の農業現場を訪ね歩きました。ノートに「自分だったらこんな農業経営がしたい」というアイデアもつづりました。

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