目次

  1. 改正の背景
  2. 品確法基本方針とは
  3. 品確法基本方針の改正ポイント
    1. 品確法改正への対応
    2. 建設業法等改正への対応
    3. 昨今の課題への対応
  4. 入契法適正化指針とは
    1. 入契法適正化指針の改正のポイント
    2. 入契法・建設業法改正への対応
    3. 品確法改正への対応
    4. 昨今の課題への対応

 国交省の公式サイトによると、第三次・担い手3法と呼ばれる品確法と建設業法・入契法の一体的改正が2024年6月に成立しました。

第三次・担い手3法(2024年改正)の全体像
第三次・担い手3法(2024年改正)の全体像

 持続可能な建設業の実現と、そのために必要な担い手の確保を目的としています。

 この法改正を受けて、公共工事の発注者等が新たに講ずべき措置を盛り込んだ「品確法基本方針」及び「入契法適正化指針」の変更が2024年12月13日に閣議決定されました。

 国土交通省の公式サイトによると、品確法基本方針とは、公共工事の発注者である国、特殊法人等及び地方公共団体が公共工事の品質確保の促進を図るため取り組むべき基本的な方針を定めたものです。

 国、特殊法人等、地方公共団体は、基本方針に従って措置を講ずる努力義務があります。

 「発注者が主体的に責任を果たすことにより、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮して価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることが重要」といったことが記されています。

 改正された品確法基本方針のポイントは、大きく分けて以下の3つへの対応に分類されます。

  1. 品確法改正への対応
  2. 建設業法等改正への対応
  3. 昨今の課題への対応
公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針の改正概要
公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針の改正概要

 担い手確保などに向けて、以下が掲げられています。

  • 能力に応じた処遇確保など技能労働者の処遇改善
  • スライド条項の適切な運用など円滑な価格転嫁に向けた環境整備
  • 週休2日工事の推進など工期・予定価格の適正設定
  • 施工時期の平準化に向けた関係部局連携の強化
  • 外国人などの多様な人材の確保に向けた環境整備
  • 国による休日・労務費等の実態把握・広報・啓発活動充実
  • 地域の実情を踏まえた適切な入札参加条件・規模の設定等
  • 保険加入促進・適正積算、復旧・復興JV活用など災害対応力強化
  • データ引継、CCUS活用などICT活用推進・技術開発の推進
  • 発注関係事務におけるICT活用、金額に対し最も価値の高い資材等を活用するVFM・脱炭素化など新技術活用
  • 発注関係事務の実態把握、発注者に対する助言・支援
  • 維持管理における広域連携の推進

 建設業法改正への対応としては以下があります。

  • 誠実な契約変更協議の実施等円滑な価格転嫁に向けた環境整備
  • 技能労働者の処遇改善
  • 現場管理の効率化等ICT活用推進
  • 施工体制確認など発注関係事務におけるICT活用

 そのほか、以下のような対応も盛り込まれました。

  • 時間外労働規制に対応可能な工期設定
  • 工期設定における猛暑日の考慮
  • 快適トイレなど多様な人材の確保に向けた環境整備
  • 持続的な除雪体制の確保

 入契法適正化指針とは公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針です。発注者(国、地方公共団体、特殊法人等)は、適正化指針に従って必要な措置を講ずる努力義務があります。

 入契法適正化指針の改正は、大きく分けて以下の3つへの対応に分類されます。

  1. 入契法・建設業法改正への対応
  2. 品確法改正への対応
  3. 昨今の課題への対応
公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針
公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針の改正概要(国交省の報道発表資料から https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00271.html)

 入契法・建設業法改正への対応としてはおもに以下の7つがあります。

  • 円滑な価格転嫁に向けた環境整備(誠実な契約変更協議の実施等)
  • 発注関係事務におけるICT活用(ICT活用による施工体制確認等)
  • 入札契約の適正化を図るための発注体制整備(項目建ての追加)
  • 公共工事の現場管理におけるICT活用の推進(CCUS活用等)
  • 配置予定技術者の専任・兼任状況の確認
  • 発注者に対する要請、勧告等
  • 技能労働者の処遇改善

 品確法改正への対応は以下の通りです。

  • 円滑な価格転嫁に向けた環境整備(スライド条項の適切な運用等)
  • 発注関係事務におけるICT活用(電子契約、書類電子化等)
  • 週休2日工事の推進(工期・予定価格の適正設定等)
  • 施工時期の平準化に向けた関係部局連携の強化
  • 地域の実情を踏まえた適切な入札参加条件・規模の設定等
  • 災害対応力強化(適正積算、復旧・復興JV活用等)

 そのほか、以下のような対応も盛り込みました。

  • 入札契約に係る情報公表の原則インターネット化
  • ピークカット(繁忙期の解消)による平準化の推進
  • 時間外労働規制に対応可能な工期設定
  • 工期設定における猛暑日の考慮
  • 多様な人材の確保に向けた環境整備(快適トイレ等)