監理技術者の専任義務を合理化 2024年12月から建設業法・入契法改正

建設業の担い手確保に向けて、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」のうち、監理技術者の専任義務を合理化や価格転嫁、ICT活用に関する一部規定が2024年12月13日に施行されました。改訂されたガイドラインとともに紹介します。
建設業の担い手確保に向けて、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」のうち、監理技術者の専任義務を合理化や価格転嫁、ICT活用に関する一部規定が2024年12月13日に施行されました。改訂されたガイドラインとともに紹介します。
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国土交通省の公式サイトによると、建設業は、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が難しくなっています。建設業が「地域の守り手」としての役割を果たしていけるよう、時間外労働規制等にも対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上に取り組む必要があるとして、さまざまな法改正や制度改正が続いています。
2024年12月13日からは建設業法・入契法改正のうち、監理技術者の専任義務を合理化や価格転嫁、ICT活用に関する一部規定が施行されます。国交省の報道発表資料によると、ポイントは以下の通りです。変更されたガイドラインとともに紹介します。
建設工事の請負契約書に「価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め」を記載しなければなりません。
たとえば、建設業法令遵守ガイドライン(PDF)には、「建設業法第20条の2第1項及び第2項においては、元請負人及び下請負人が、工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結する前に必要な情報を取引の相手方に通知することとしている」などと書かれています。
建設業者は、請負代金・工期に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、契約締結前にその旨を必要な情報とともに注文者に通知する義務が課せられます。実際に発生し、建設業者が契約変更を申し出た際には、注文者はその協議に誠実に応じる努力義務が課せられることとなります。
建設業法令遵守ガイドライン(PDF)には「【建設業法上違反となる行為事例】①価格等が変動した場合における契約変更についての定めが、契約後の請負代金の増額や工期変更を認めないなど実質的に契約変更の規定を置いていないと認められる場合」などと具体的な運用方法が書かれているので目を通しておきましょう。
このほか、発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(PDF)も改訂されています。
建設業者は、雇用する労働者が有する知識、技能その他の能力についての公正な評価に基づいて、適正な賃金の支払をはじめとした措置を効果的に実施するよう努めなければならないと定めています。
現場管理の効率化・生産性向上に資する建設業のICT化が不可避となっているとして、特定建設業者及び公共工事の受注者は、ICTを活用した現場管理や、ICTの活用に係る下請負人に対する指導に努めなければならないと定めました。
詳しくは、新たに設けられた「情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針(PDF)」を参照してください。
監理技術者等はこれまで工事現場に専任しなければならないこととされてきました。
しかし、情報通信技術の利用により工事現場の状況の確認ができる等の場合には、政令で定める金額・現場数の範囲で兼任が可能となりました。
そこで、施行規則で、兼任が認められる要件を以下のとおり定めることとしました。
あわせて営業所に専任しなければならない営業所技術者等についても、専任を要する現場技術者の兼務が可能となります。
運用詳細と留意事項は監理技術者制度運用マニュアル(PDF)に記載しています。
公共工事の受注者は、建設キャリアアップシステムの利用など工事現場の施工体制を発注者が情報通信技術を利用する方法により確認できる措置をとった場合、発注者への施工体制台帳の写しの提出は必要ではなくなります。
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