目次

  1. 外国人労働者の現状
  2. 外国人労働者受け入れのメリット
  3. 外国人労働者受け入れの問題
  4. 外国人材受入総合支援事業
    1. 技能試験の円滑な実施
    2. 外国人材が働きやすい環境の整備
    3. 雇用就農緊急対策のうち外国人材の呼込み体制の強化に対する支援

 厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者は、2023年10月末時点で約205万人と、過去最高を更新しました。外国人を雇用する事業所数も31万8775所と、こちらも過去最高を更新しています。

 国籍別では、ベトナムが最も多く51万8364人、次いで中国の39万7918人、フィリピンの22万6846人と続きます。

 在留資格別では、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者など「身分に基づく在留資格」が 61万5934 人と、最も多くなっています。次いで、教授や高度専門職、経営者・管理者、弁護士、医師、研究者、語学教師、介護福祉士などの「専門的・技術的分野の在留資格」が59万5904 人、人材育成を通じた国際貢献を目的に技能実習生として活動する「技能実習」が 41万2501 人と続いています。

 製造業・非製造業ともに人手不足の状態が続く中、今後も外国人労働者の重要性は高まっていくとみられています。

 外国人労働者の受け入れによって、人手不足の解消につなげられる可能性があります。また、取引先や顧客への多言語対応が可能になることもメリットです。

 このほか、厚生労働省は、海外の知見を取り入れることで社内が活性化するなどのポジティブな声も取り上げています。

 外国人労働者は、日本の雇用慣行などに関する知識不足や、言語や文化の相違から、法令違反や労働条件のトラブルなどが発生することがあります。

 また、賃金を日本人の社員より安く設定しているなど、外国人労働者を安価な労働力として搾取している事業所があることも問題となっています。都道府県ごとに定められている最低賃金は、日本人だけでなく外国人労働者にも適用されるため、最低賃金未満で外国人労働者を働かせることは違法となります。

 農林水産省のサイトには、採用時に在留資格上従事することが認められた者であるか確認すること、適正な労働条件や安全衛生を確保することなど、外国人労働者受け入れの際の留意事項などをまとめた厚生労働省のパンフレットが掲載されています。

 農林水産省は、農業、漁業、飲食料品製造業や外食業の分野で外国人労働者を確保するため、2025年度当初予算案に1億9600万円を関連予算として計上しました。

 中小・小規模事業所において、人手不足が深刻化しています。このため、農林水産省は、飲食料品製造業分野や外食業分野において特定技能を持つ外国人労働者に在留資格を与え、一定の専門性や技能のある外国人の受け入れ体制を整備します。

 これに伴い、飲食料品製造業分野や外食業分野で就労を希望する外国人労働者の専門性や技能を評価・確認するための試験の実施や、外国人労働者が働きやすい環境を整備する取り組みを支援します。

 農林水産省は、「農業分野 特定技能 支援サイト」を設け、農業技能測定試験や日本語試験について解説しています。

 農業、漁業、飲食料品製造業や外食業などで就労する外国人労働者が働きやすい環境を整備するため、農林水産省は相談窓口を設置しています。また、労働環境の調査や分析を行うことや、雇用主への助言や優良事例の収集・周知などの取り組みも支援します。

 さらに、飲食料品製造業や外食業分野において、特定技能外国人の受入れ体制を強化します。

 政府は2024年度補正予算案に12億7500万円を盛り込み、農業分野における外国人の呼び込み体制を強化するとしています。

 農業分野において、海外の教育機関などと連携し、現地説明や相談会を開催するほか、農業知識や科学的な素養を学習する機会を提供するカリキュラムを作成し、産地講習会の開催などを支援します。