目次

  1. 育児・介護休業法とは
  2. 厚労省のリーフレットに規定例が掲載
  3. 労基署への届け出の注意点
  4. 就業規則が無効となる場合の注意点

 厚労省の公式サイトによると、育児・介護休業法は、労働者が子育てや家族の介護を行うための休業や暇を保障する法律です。

 2024年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、2025年4月から段階的に施行されます。

 法改正により、育児休業と介護休業の両方で、制度の柔軟性が高められ、労働者がより利用しやすいものになるように変更が加えられました。ポイントは以下の通りです。

  1. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
  2. 育児のためのテレワーク等の導入の努力義務化
  3. 子の看護休暇の取得事由及び対象となる子の範囲の拡大等
  4. 育児休業取得状況の公表義務を300人超の企業に拡大
  5. 介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置の義務付け
  6. 育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務付け
  7. 柔軟な働き方を実現するための措置等の義務付け
  8. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務付け

 法改正に対応するためには、育児・介護休業、子の看護等休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措置等、柔軟な働き方を実現するための措置について、就業規則に記載する必要があります。

 厚労省の公式サイトには、規定例が紹介されているので、規則を設けるときは参考にしましょう。

 たとえば、法に基づき一定範囲の有期雇用労働者を育児休業の対象から除外したい場合は次のような規定例が示されています。

(育児休業の対象者)
第 2 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより、子が1歳に達するまでの間で、本人が申し出た期間、育児休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、子が1歳6か月(本条第5項又は第6項の申出にあっては2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り、育児休業をすることができる。

 育児・介護休業等に関して必要な事項を就業規則に記載した場合、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

 労働基準法が、常時10人以上の労働者を使用している事業所で就業規則を作成または変更した場合にこれを所轄の労働基準監督署長に届け出ることを定めているためです。

 育児・介護休業等に関する事項を、統一的に就業規則本体中におさめることは困難な場合もあり、また、就業規則があまり大部になることは労働者にとっても不便なので、「これらに関する事項を別規則にすることも一つの方法」だと紹介しています。ただし、別規則にした場合であっても所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 育児・介護休業、子の看護等休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限について、法の条件を下回る、より厳しい条件を設けた取り決めをした就業規則の該当箇所は無効と判断されてしまうので注意しましょう。