「会社を継がせよう」親の安心を引き出すには?経営者の心情を理解する1冊
会社を継ごうとする後継者の悩みの種の一つが、事業承継を切り出すタイミングといいます。経営者が創業者であれば、なおさら会社のことを子どものように思っています。引退を決めたある経営者は、普段のコミュニケーションと切り出し方によっては、大事に育ててきた子どもを奪われるような心境になるのだと話していました。安心して会社を引き継いでもらうには、いまの経営者の不安を和らげることが必要です。
会社を継ごうとする後継者の悩みの種の一つが、事業承継を切り出すタイミングといいます。経営者が創業者であれば、なおさら会社のことを子どものように思っています。引退を決めたある経営者は、普段のコミュニケーションと切り出し方によっては、大事に育ててきた子どもを奪われるような心境になるのだと話していました。安心して会社を引き継いでもらうには、いまの経営者の不安を和らげることが必要です。
後継者が経営者の心情を理解するのに役立つのが『親父いつ社長やめるの?~創業者があなたに事業承継しない決定的な理由~』です。
この本は、税理士として多くの事業承継に関わった著者が執筆しています。経営者が交代した企業は利益率や売上高が向上するとして計画的な事業承継を後押ししつつ、いまの経営者が「会社を継がせよう」と決心できる要因を解説しています。
2018年からは、中小企業を引き継ぐときに支払う多額の相続税や贈与税の納税を猶予する「事業承継税制」の仕組みが始まりました。この制度で事業承継をする時のお金の不安が和らぎましたが、著者は、事業承継を決心させ、成功させるキーポイントの一つは「片腕となるナンバー2の存在」だと指摘しています。
ナンバー2の役割の一つに「ボイスチェンジ機能」があるといいます。本人から直接言われると素直に受け取りにくいことも、第三者から言われると納得しやすいことがあるからです。
たとえば、経営の苦労を経営者本人が社員に語っても伝わりにくいことがあります。そんなときにナンバー2を介して伝えることで浸透しやすくなります。そのうえで、後継者は現経営者の最大のフォロワーになり、代弁者となって経営者の考えを社員に伝えてほしいと勧めています。同時に後継者自身も社内で自分のフォロワーづくりを進めていると、経営者は安心して事業を任せたいと思うはずだと助言しています。
会社を継ぐ上で必要なことは、産など有形の承継だけでなく、企業理念やビジョンも受け継ぐことも含まれます。ただし、私の知る限り経営者から上手に聞き出せている後継者は多くありません。
この本の著者も、経営者の最大のフォロワーである後継者にやってほしいこととして「創業の精神を聞いてみてはどうか」とアドバイスしています。親子関係で経営者としての目標や価値観、望みを聞くのは気恥ずかしくても、創業ストーリーなら経営者は語り出したら止まらないはずだと書いています。
具体的な方法として、お酒でも飲みながら「なんで独立したの?」「よくあの大手と付き合えるようになったよね」とか質問してみるのはいかがでしょうか。どうぞお試しください。
親父いつ社長やめるの? 創業者があなたに事業承継しない決定的な理由
価格:1,430円(税込み)
ISBN:978-4-86643-039-3
発行年月:2018年11月
著者名:鈴木 浩文著
発行元:アチーブメント出版
ページ数:228ページ
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