【中小企業の資金繰りにすぐ役立つ】弁護士が解説、コロナ倒産を防ぐ
新型コロナによる倒産を減らそうと、日本弁護士連合会の弁護士たちが資金繰りや新規融資、支出カットに役立つ具体的な方法を解説します。宮原一東弁護士は「資金繰りができれば事業継続はできます。事業継続をあきらめないでください」と訴えています。
新型コロナによる倒産を減らそうと、日本弁護士連合会の弁護士たちが資金繰りや新規融資、支出カットに役立つ具体的な方法を解説します。宮原一東弁護士は「資金繰りができれば事業継続はできます。事業継続をあきらめないでください」と訴えています。
帝国データバンクによると、2020年6月5日現在で、新型コロナウイルス関連倒産は全国で222件に上ります。内訳はホテル・旅館が39件、飲食店が30件、アパレル・雑貨小売店が17件と続きます。
製造業についても、4月ごろから受注の減少が始まっていて、6月から資金繰りに困る会社も増えています。大宅達郎弁護士は「製造設備を借入金やリースで借りている企業は、固定的な支出が飲食業などよりも多額となる傾向があるため、何の手当もしなければ、資金繰り悪化のスピードも非常に早くなってしまいます」と話しています。
そこで、コロナ倒産を防ごうと、日本弁護士連合会(日弁連)の弁護士たちが対策を解説する動画を全8回で公開しています。ポイントは4つです。
宮原弁護士は動画で「資金繰り表を作成しないと、会社が資金繰りの危機にあるのか、また、いつまで資金が持つかの判断も立てられません」として、資金繰り表をつくることを勧めています。
資金繰り表のフォーマットは、日本公認会計士協会近畿会のサイトにある「改訂資金繰表」が便利です。「月次資金繰り表」だけでは月中の資金ショートが分からないので、資金が本当に厳しい場合は「日繰り表」も作成することを勧めています。
資金繰り表が完成したら、資金ショートを起こすかどうかやショートする時期が見えてきます。そこで、新たな資金調達をするのか、支出を抑えることができるかを検討します。収入や支出について工夫した「改訂資金繰り表」を作りながらどうすべきか検討していきましょう。
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三村藤明弁護士は「新型コロナの影響は、営業努力でどうにかなる次元をはるかに超えています。売り上げによる入金が期待できないのですから、支出を抑制するしかありません」と話します。さらに、大宅達郎弁護士が具体的な支出抑制の方法を動画で解説します。抜粋して紹介します。
国税と地方税のどちらにも猶予制度があります。所得税・法人税、消費税などほぼすべての税目が対象で、1年間納付を猶予できます。対象者は、新型コロナウイルスの影響によって、令和2年(2020年)2月以降、事業等に係る収入が前年同期と比べておおむね20%以上減少していて、一度に納税を行うことが困難である人です。また、20%以上の減少がない場合にも他の猶予制度を利用できる可能性があります。大宅弁護士は「まずは、最寄りの税務署に相談してみること、猶予の申請書を提出することが大切です」と説明しています。地方税にも同じような制度があります。
年金や健康保険の保険料についても、納付の猶予制度があります。日本年金機構は「納付の猶予を受けず、保険料を納付しないままにしておくと、納付期限を経過し、督促状の送付を受け、さらには指定期限を経過し、延滞金が発生する場合がありますので、お早めにお近くの年金事務所へご相談ください」と説明しています。管轄の年金事務所や健康保険組合に相談してください。
金融庁によると、金融機関も、元本の返済や利息の支払について、迅速かつ柔軟に対応することが求められています。何もしないと、口座から自動的に引き落とされてしまいます。売上が戻るめどが立たない場合でも、一人で悩まずに、まずは相談することを勧めています。
国土交通省が業界団体に、賃料の支払い猶予に柔軟に対応するよう依頼しています。国は猶予に応じた場合の固定資産税の納税猶予措置などを講じています。賃料の負担が重い場合は、まずは賃貸人に一時的な支払の猶予や賃料の減額のお願いをすることが大切です。テナントの事業が続かなければ、明渡しを行った上で、新たなテナントを探さなければいけません。その間の賃料も当然入りません。そのような事態を避けるために、賃料の支払を待ってもらうことは、お互いのためですので、まずは支払について相談することが大切です。
堂野達之弁護士は新規融資について動画で解説しています。
新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の資金繰り支援のために、さまざまな融資制度があります。特別支援融資には、①政府系金融機関による融資、②民間金融機関による信用保証協会の保証付融資、③各自治体を通じた融資があります。いずれも、元本の据置期間や返済期間が長期で、利子も低いか実質ゼロです。
新規融資以外の支援制度(持続化給付金など)も含めた情報は、経済産業省の新型コロナウイルス感染症関連サイトにほぼ集約されています。堂野弁護士は「新規融資を含めた支援制度は、頻繁に内容が更新・追加されるので、こまめに情報をアップデートをすることをお勧めします」と話しています。
宮原弁護士によると、事業継続のためには、事業への熱意や金融機関をはじめとする関係者との信頼関係が必要です。不信感を持たれては、交渉のテーブルにすらついてもらえない場合があります。「公私を捨ててでも会社の再建を目指すとの強い覚悟、姿勢を示すことで、金融機関、賃貸人、従業員などの関係者から会社に対する理解や共感を得られる」といいます。
経営者は孤独です。しかし、一人で悩んでいても、なかなか解決できません。困ったときは、専門家に相談してみませんか。
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