福井寿和

ふくい・としかず

青森市在住、飲食店運営会社のイロモアの元代表取締役。外資IT系企業などを経て青森に帰省後、2014年に市議会議員に立候補したが落選。2015年に親族から借りた200万円でカフェをはじめ、5店舗にまで拡大。従業員は約50人、年商1億5000万円を超えたが、新型コロナウイルスの影響で事業継続を断念し会社の清算手続きに入った。決断に至るまでの背景をつづった「全店舗閉店して会社を清算することに決めました」が2日間で140万PVを記録した。

新型コロナ 予兆は2月から

 「いよいよ来たか。早く終わってほしい」。そう福井さんが心のなかでつぶやいたのが2月のことでした。当時は、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染がニュースの中心を占めるようになりました。

横浜港に停泊したダイヤモンド・プリンセス号
横浜港に停泊したダイヤモンド・プリンセス号

 このころから客数が徐々に落ち始め、売上目標を達成できない日が多くなっていきました。「このままの状態が続いたら会社が危ない」と危機感を覚えましたが、それでも、当時はまだ、気持ちに余裕があったといいます。

 2月末には自らを奮い立たせるようにTwitterでこんな投稿をしていました。

 しかし、3月7日土曜日、オンラインで来店状況を見ていた福井さんは、見たことのない数字に目を疑いました。

「どの店も来店者がほぼゼロ」。

 全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、青森県内の小中高校などに休校が要請された後の初めての休日でした。通常の土曜日なら、どの店舗も満席です。しかし、この日は40人ほど入れる店の席が埋まりません。「倒産」の二文字が頭をよぎり、冷や汗が背中をつたいます。

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