借り入れ9千万円、自己破産は免れられる?経営者保証ガイドラインをチェック
(前回の続き)カフェなどを運営する「イロモア」の元代表取締役の福井寿和さんは全店を閉め、会社の清算手続きに入っています。事業停止時点で、金融機関からの借り入れが約9000万円ありました。一部は経営者の個人保証もしています。返済しきれない負債は今度どうなるのでしょうか。
(前回の続き)カフェなどを運営する「イロモア」の元代表取締役の福井寿和さんは全店を閉め、会社の清算手続きに入っています。事業停止時点で、金融機関からの借り入れが約9000万円ありました。一部は経営者の個人保証もしています。返済しきれない負債は今度どうなるのでしょうか。
政府広報オンラインによると、経営者保証とは、会社が金融機関から受ける融資について、連帯保証人として経営者個人による保証をつけるというものです。資金調達が円滑になる反面、保証後に経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を防げる要因となっているといった課題があると言われてきました。
この課題を解決し、中小企業を活性化させるため、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」が「経営者保証に関するガイドライン」をつくりました。2014年(平成26年)2月1日から適用されています。ガイドラインは、中小企業、経営者、金融機関に共通する自主的なルールという位置づけです。
ガイドラインは経営者の個人保証について、
などを定めています。
経営者保証に関するガイドライン事務局では、専門家が電話相談(03-6262-5075)を受け付けています。このほか、オンラインでも相談することができます。
福井さんの会社は事業停止時、金融機関からの借入が約9000万円ありました。一部は個人保証もしていましたが、ガイドラインに沿った処理が行われた場合、返済しきれない負債については免除され、自己破産も免れられます。手元にある程度の資金が残り、これからどのような仕事を始める場合でも再起しやすい状況になると考えられます。
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この連載の筆者である石動は、青森県八戸市で、公認会計士、税理士、司法書士などの士業を主として活動しています。年に数件ほど経営が苦しくなった企業から相談を受けています。地域柄、大企業はないため、年商は多くても数億程度の小規模企業ばかりです。
相談を受けるときに、「もっと早く来てほしかった」と感じることが多いです。資金的余裕があれば、不要資産の売却とコストカットで現預金を確保し、事業を立て直す時間を稼ぐことができる可能性が高まります。
例えば、月末の支払いを払えない状況で専門家に相談しても、できることは限られます。経営状態が悪ければ金融機関の審査も厳しくなるため、新規融資も難しくなります。時間が経過するほど取れる手段は減っていくため、苦しい状況になった場合は、早期に専門家の支援を受けることを検討してもよいでしょう。
税理士と顧問契約を結んでいる場合、経営についての助言を受けられることが多いです。毎月、試算表の作成を依頼していれば、税理士は経営の悪化に気付いているはずです。資金繰りの予測もできるため、早期に数字を把握できるよう支援を求めることを勧めます。必要に応じて、顧問税理士以外の専門家にセカンドオピニオンを依頼してもよいでしょう。
今回、取材させていただいた福井さんも会社の清算手続き中ですが、いまも将来への不安を抱えています。清算手続き中の会社はどうなるのか、家族の生活はこれからどうなるのか、これからどうやって食べていこうか……。それでも、人生を悲観せず、こうしてインタビューに答えるのには、ある思いがあるからだそうです。
(最終回「事業停止は早期に決断すべきか?コロナで廃業した33歳が学んだこと」は、6月26日に配信しました。)
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