最後に大型厨房機器「やっと片付けが終わる」

 弁護士のもとを訪れた福井さん。まず「会社の業績が良くないので閉めたいと思っています」と切り出しました。とはいえ、会社の閉め方に詳しいわけではありません。

 弁護士は「会社を破産して、経営者も自己破産するなら今すぐできます。ただ、今は自己破産しなくても良い方法があります」と助言しました。相談を進めるなかで、会社資産の売却や債権の回収を行い、その資金で債務の弁済するという「清算」の手続きをすることに。傷が浅く、資金が残っているうちに事業を整理することで、取引先への影響を最小限に抑え、職を失う従業員にも手当を出せると判断しました。

 5月上旬、弁護士の主導で清算に向けた準備が始まり、福井さんは全店舗の閉鎖を発表し、「イロモア」は事業を停止しました。店舗の片付けを進め、最後に残ったのが大型厨房機器の撤去でした。

 これまで売上低迷の対策を考えることに忙しく、落ち着いた時間はまったく取れませんでした。葛藤を乗り越えて廃業を決めてからは「やっと片付けが終わる」という感覚でした。

ふいによみがえる思い出

 最後の厨房機器の搬出を迎えた当日。取材に訪れたメディアも見守る中で、作業が始まりました。業務用冷蔵庫などが次々に撤去され、店舗だった場所はただの空間に変わっていきます。

冷蔵庫などの搬出を終えた厨房
冷蔵庫などの搬出を終えた厨房

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