経営者はデジタルトランスフォーメーションを「変化に弱い企業は負ける」
あらゆる産業で、デジタル技術を使ってまったく新しいビジネスモデルが急成長するゲームチェンジが起きています。このような現象は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼ばれています。DXに向き合うことが必要な理由、具体的な事例について、真のDXを提唱する「ABEJA」PaaS事業部マネジャーの佐久間隆介さんに聞きました。
あらゆる産業で、デジタル技術を使ってまったく新しいビジネスモデルが急成長するゲームチェンジが起きています。このような現象は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼ばれています。DXに向き合うことが必要な理由、具体的な事例について、真のDXを提唱する「ABEJA」PaaS事業部マネジャーの佐久間隆介さんに聞きました。
DXとはもともと「ICTの浸透により人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことを指します。スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念です。
おなじみのAmazonに代表される書籍、それから広告や小売だけでなく、タクシー(例えばUber)、宿泊サービス(例えばOYO)といった分野で、業界歴が浅くても、データを分析する強みを生かして急成長する例が出てきました。
その理由として、デジタル機器や通信料などの費用が大幅に下がって普及しやすくなった一方で、ビジネス環境としてデジタル技術を活用したイノベーションを起こしやすい環境が整ってきたことがあります。
しかし、国内の企業では、経営者がDXと向き合って業務改善を望んでも、社内システムが複雑化・ブラックボックス化など、なかなか進められないという声が多いことも事実です。
↓ここから続き
経済産業省が2018年に発表した「2025年の崖」というキーワードを盛り込んだ「DXレポート」には経営面のリスクとして次の3点が書かれています。
こうした課題を克服できない場合、日本経済として2025年から2030年にかけて年間12兆円の経済的損失を被る「2025年の崖」があると指摘しています。佐久間さんは「一言で言うと変化に弱い企業は負けるということを感じる時代になってきました」と話します。
DXでよくある誤解は「デジタル技術を導入することだ」と考えてしまうことです。たとえば、チャットボット、自動音声認識やAIなどのデジタル技術を導入することだけを DX と捉えてしまうことを指します。
しかし、佐久間さんは「デジタルツールを並べて導入計画の線引きをするだけでは、トランスフォーメーションが起きません。何のために導入するのかをもう一度、見直す必要があります」と指摘します。
ABEJAが考える「真のDX」とは、デジタル上に業務が移るだけでなく、その結果、顧客への付加価値が高まったり、サプライチェーンが効率化されたりして圧倒的な経営インパクトが生まれることです。
「たとえば、顧客に届けるまでの労力や時間がかなり節約でき、その分、人材を研究開発、顧客へのアフターサポートにつぎ込んで価値を上げる。それぐらいの効果・インパクトが見込めない限り、DXと向き合う意味はありません」
真の DX 実現に欠かせないのが、デジタル上での継続的な「カイゼン活動」です。新しいデジタルツール導入後に、業務フローが変わってセンサーなどのIoTデバイスの数が足りなくなった、データ分析をするAIを開発したが、データの条件が変わったなど状況が変わることはよくあります。
状況に合わせてセンサーなどのIoTデバイスを取り換えたり、データを整理したりとPDCAを回しつつづける必要があります。佐久間さんは「ITの導入、運用は人が介在しないとよりよくなりません。日本人が得意としてきたカイゼン活動は、デジタルの世界でも大切です」と話します。
たとえば、自動車メーカーがDXを考えるとどんなことができるでしょうか。ロボティクスの自動化、報告書などのペーパーレス、コールセンターのデータを効率的に探せるシステムなどを駆使して、コストを下げて、顧客への情報を早く届けられます。さらにMaaSプラットフォームをつくり、提携サービスを増やすことで提供価値も上げられます。
佐久間さんは「これから勝っていく企業は、自社の強みを磨き上げる企業です。DXでも、企業の付加価値が源泉になることは変わりません。付加価値の源泉を理解してピボットすることが大切です」と話しています。
(続きは会員登録で読めます)
ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。