FC15店を運営

 マルチ・フランチャイジーという業態をご存知ですか。様々なフランチャイズチェーン(FC)に加盟し、複数の店舗を地域密着型で展開している会社のことです。今回はフランチャイズビジネスへの大胆な転換で成功を収めた事例として、愛知県岡崎市の大岡屋を取り上げます。大岡屋は現在、地元を中心にファミリーマート5店、名古屋名物赤から5店、韓国料理の韓丼2店など計15店を経営しています。

 特定のFCの店を10軒以上展開する業態をメガ・フランチャイジーと呼びます。しかし、同社のようにコンビニエンスストア(CVS)や外食産業など複数の業態を展開しているケースは稀です。他にも、美容院に特化した経営コンサルティング業や、セミナービジネスも展開しています。

 大岡屋は1909年(明治42年)、今の社長である鈴木裕之さんの曽祖父が起業しました。戦前は、塩や蚕、海産物などを扱う問屋でした。戦後すぐに酒類の取り扱いを始め、ビール大手4社の特約店となり、東海北陸地域で五指に入る酒類問屋へと成長しました。

大岡屋は鈴木さんの曽祖父が問屋として創業しました

 大岡屋は現在、年商27億円ですが、今から20年前は売上300億円を誇る三河地区ナンバーワンの酒類問屋でした。鈴木さんは2002年、36歳の時に4代目として、父から事業を引き継いでから、わずか数年で酒類問屋を、今のマルチ・フランチャイジーへと転換したのです。

顧客との会話で抱いた危機感

 鈴木さんは1988年に大学を卒業し、オーストラリアの大学院に留学しました。1年を過ぎた時に祖父が他界します。この時、父から「家に帰って手伝え」と言われ、急遽帰国。当時社長だった父と会葬のお礼に回りました。この時、父はある酒販店のお客様から「今年はもっともっとビールを売るからな!」と励まされました。

鈴木裕之さんの経営者としての出発点は強い危機感でした

 鈴木さんは逆に、この言葉に強い危機感を覚えました。本来、お客様の励ましはありがたいものです。ところが、当時の酒類問屋は、売っても売っても儲からない構造的な問題を抱えていました。年間取引額が大きな顧客が必ずしも「良いお客様」とは限らなかったのです。

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