家業の悩みはどこに相談するべきか 後継ぎを支える仲間を紹介(前編)
中小企業経営者の後継ぎ、といっても継ぐ前なのか、継いだ後なのか、会社の経営状況によっても悩みは様々。ツギノジダイが7月18日に開いたオンラインイベント「中小企業の日All Meetup」に登壇した各団体のプレゼンテーションをもとに、どの団体に行けば同じような課題を持つ仲間に出会えそうかを紹介します。
中小企業経営者の後継ぎ、といっても継ぐ前なのか、継いだ後なのか、会社の経営状況によっても悩みは様々。ツギノジダイが7月18日に開いたオンラインイベント「中小企業の日All Meetup」に登壇した各団体のプレゼンテーションをもとに、どの団体に行けば同じような課題を持つ仲間に出会えそうかを紹介します。
「中小企業の日All Meet up」とは、7月20日の「中小企業の日」を前に、オンラインで開催したイベントです。延べ約100人が参加しました。前編は午前に登壇した、グラフトプレナー、ONE JAPAN、跡取会、跡取り娘ドットコム、家業イノベーション・ラボを紹介します。
中小企業庁 によると、中小企業の日とは、中小企業基本法の公布・施行日である7月20日を指します。7月の1ヶ月間は「中小企業魅力発信月間」と定めています。中小企業への正しい理解を広める機会として様々なイベントが開催されています。
家業を継がなかったとしても「家業をうまくサポートしたい。家業を活かして新しい価値を世の中に生み出したい」と考える人を応援しているのが「グラフトプレナー」です。運営メンバーの山崎実さんは「家業を継ぐ子ども以外のきょうだいにも、家業に貢献したいという熱意のある人がいます。家業に別の形で関われないかを一緒に考え、新たな継ぎ方を提唱したい」と話しました。
新型コロナの影響でなかなかイベントが開催できないなか、山崎さんたちは「家業エイド」というSlackコミュニティを立ち上げました。100人以上が参加しており、家業や家族、仕事で使うツールなどに関する質問が投稿されています。家業エイドは、グラフトプレナーのサイトから申し込めます。
「ONE JAPAN」は、大企業の若手中堅社員の有志による実践型コミュニティです。おもに3つの活動を通じて、日本に挑戦の文化をつくろうとしています。
共同代表の濱松誠さんは「中小企業診断士の資格を持ったメンバーもいます。私たちは大企業だけで閉じようとは考えていません。大企業、ベンチャー、中小企業の枠を取っ払って、同世代でともに日本をより良くしていきましょう」と呼びかけました。
具体的なプロジェクトはこれからですが、ほかの登壇団体と協業に向けた話し合いが始まろうとしています。
名古屋や東海地方を中心に、中小企業の後継ぎやその候補が、悩みを相談し合う団体が「跡取会」です。30代を中心とした跡取りが参加しています。メンバー全員が中小企業の後継ぎですが、将来継ぐことを考えている学生や家業に戻る前の会社員もゲスト参加できます。
会長の森朝奈さんは「勉強会というよりも、リアルな跡取りの声を交換しています」と話します。最近では「ウィズコロナ」での取り組みについてディスカッションを重ねています。この日も、軽くてメガネが曇らないフェイスシールドを作ろうとしている自動車部品製造の「旭鉄工」、オンラインでの活動もしている慈眼寺副住職など様々な取り組みが報告されました。跡取会の参加希望者は、「跡取会公式LINEアカウント」で受け付けています。
女性経営者の割合は増えつつあるものの、後継ぎの女性が集まれる場がほとんどない状況を変えようと、2019年に立ち上がったのが「跡取り娘ドットコム」です。「跡取り娘の絶対安全地帯」を掲げ、女性後継者の交流会や活動のプロデュースをしています。
7月もメンバーが、産廃業を地域に愛される会社にしようと奮闘している石坂典子社長に学ぼうと、石坂産業を訪ねました。代表の内山統子さんは「経営の話はもちろんですが、個人の悩みを共有、共感できる場になっています」と話します。妊活や産休、夫婦別姓などの悩みについて経営者の視点で話せるそうです。
「家業イノベーション・ラボ」は次世代の経営者向けに立ち上がった学びと実践のコミュニティです。掲げているテーマは「家業×自分らしさ」です。先代のビジネスモデルをそのまま引き継ぐのではなく、時代や自分にあった形で継ぐことで「ビジネスモデルのイノベーション」を呼びかけています。
オンラインでの活動も活発です。商品開発や外部人材の活用といった個別のテーマだけでなく、家業の課題についてメンターと議論しながら事業を磨き上げる「事業ブラッシュアップ会」など多様なイベントを開催しています。
後編は、イベントの午後の部に登壇したベンチャー型事業承継、ワークデザインラボ、#東京せがれ、グロービス経営大学院を紹介します。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。