慶事・法事・接待のニーズが低下する和食店

 埼玉県狭山市は人口約15万人、都内から特急で約40分のベッドタウン。狭山茶の産地というイメージが強いですが、実は工業団地が2か所存在するものづくりの町という側面もあります。

 和食店の「旬彩遊膳 味叶」は、店主・齊藤孝史さんが毎日市場へ行き仕入れてくる新鮮な魚介類や野菜を使った、ボリュームたっぷりの日替わりランチが人気です。24年前に齊藤さん夫婦が自宅で開業し、10年前に国道沿いの交差点そばという好立地である現在の場所に移転しました。

 ところが、もともと材料への強いこだわりから原価率が高かったことに加え、移転による店舗家賃が利益を圧迫。かつては収入の大半を担っていた慶事や法事、大人数での接待などのニーズが低下したことで、2019年5月にSaya-Bizに相談に訪れた時点で売り上げ・利益ともに課題を抱えている状況でした。

Saya-Bizでの相談風景

売り上げアップに向けてまずヒアリング

 売り上げアップのカギを見つけるために、まず始めたのは事業についてのヒアリングです。この時点ではホームページやブログ、SNSを全く活用していなかったため、お店の歴史や現状について事細かに伺うことからのスタートでした。

 具体的な話を伺ってみると、味叶の「強み」の種が次々と明らかになってきます。まず、ご店主の料理人歴は30年以上。16歳のころから修業をはじめ、狭山市の隣、入間市にある有名和食店では25人ほどいた板前のトップ・花板を務められた経験がありました。

 そして、メインのお客様層は、シニアの女性グループや家族連れとのことでしたが、隠れたファンとして経営者が家族連れで来店することが多いとのこと。「経営者のお客様が『高い料亭の食事は飽きたから』なんて言いながらいらっしゃるんだよ」という店主の話を伺い、「逆に舌が肥えたお客様に選んでいただけるだけの技術をお持ちだということなんだな」と店主の料理の素晴らしさをその場で確信することができました。店主の腕と経験に間違いがないとわかれば、売り上げ向上のカギは「ターゲットに情報が伝わっているかどうか」です。

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