「Go To トラベル」需要喚起難しく宿泊料金値下がり【3万施設調査】
政府の観光支援策「Go Toトラベル」の始まった7月22日から約1カ月間、オンライン予約可能な全国3万2541宿泊施設の宿泊料金の推移について、ビッグデータとAIを使った旅行検索サービス「atta(あった)」が分析したところ、宿泊需要が伸び悩んでいることがわかりました。一部好調な施設の特徴についても紹介します。
政府の観光支援策「Go Toトラベル」の始まった7月22日から約1カ月間、オンライン予約可能な全国3万2541宿泊施設の宿泊料金の推移について、ビッグデータとAIを使った旅行検索サービス「atta(あった)」が分析したところ、宿泊需要が伸び悩んでいることがわかりました。一部好調な施設の特徴についても紹介します。
「Go Toトラベル」とは、新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業界を支援することを目的に、宿泊または日帰りの国内旅行の代金総額の半分相当を国が補助する事業です。7月10日に観光庁が発表し、その後7月16日に東京発着分を除外する方針が出ました。事業は7月22日から始まりました。
旅行業者や宿泊事業者がこの制度を活用するためには、事前の登録申請が必要です。事業者向けの説明は公式サイトで確認してください。
国土交通省は8月25日「Go Toトラベル」の割引商品の販売開始から8月20日までで少なくとも延べ約420万人が利用したと発表しました。赤羽一嘉国土交通相は「それなりに効果があった」と話しています。
しかし、全国の宿泊施設に恩恵があったのでしょうか。大手旅行サイトなどと提携し、より安く予約できるサービスを提供しているatta が収集している宿泊料金のデータをもとに価格の推移を調べました。
今回の調査の概要は次の通りです。
調査結果の概要は次の通りです。
ホテルや旅館の多くは、旅行シーズンや予約状況に合わせて宿泊料金を変動させています。7、8月から4日間を抽出し、価格の推移を調べると、全体としてはチェックイン日が近づくにつれて、価格を下げており、Go Toトラベルが宿泊需要を十分喚起できていない傾向が見えてきました。冒頭に示したグラフをもとに説明します。
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グラフでは、チェックインする日が近づくにつれて価格を徐々に下げ、とくに最後の1週間でさらに下げていることがわかります。これは、予約が入らず空室を少しでも埋めようと施設側が大幅に割引していると考えられます。9月の4連休初日となる9月19日の宿泊料金もほかと同じように下落傾向となっています。
一方で、堅調に予約が入っていたのが、高級な施設でした。チェックイン50日前時点で1万円未満、1万円以上3万円未満、3万円以上5万円未満、5万円以上の宿泊料金だった施設を料金帯ごとに分けて調べました。
すると、5万円以上についてはチェックインの50日前から宿泊直前に向けて、宿泊料金が上昇していました。一方、3万円未満の宿泊プランはチェックイン日が近づくにつれて料金が下がり、苦戦していました。
とくに、Go Toトラベルが開始した後の価格差が広がっており、1泊5万円以上の高級施設に限れば、需要が高める効果があった可能性があります。また、元々人気だった露天風呂付きの部屋や、離れタイプの宿が、Go toトラベルでさらに需要が高まり、料金を上げた可能性も考えられます。
例年、夏の時期は避暑地の宿泊料金が上がる傾向にあるのですが、今年は明暗が分かれました。関東から近い避暑地の長野県は、直前で宿泊料金が上がり、予約が順調に集まっていることが伺えます。その一方で、北海道は全国平均並みでした。飛行機や鉄道よりも車で移動ができる近場での需要が高まった可能性が考えられます。
このほか、京都府、山口県、大分県、神奈川県、奈良県では、チェックイン直前になって大きく値下げしていました。こうした地域でも宿泊客の確保に苦戦しているようです。
宿泊料金を分析したattaの春山佳久社長は「データからは、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着かないとやはり旅行需要も増えないと考えられます。宿泊施設の役に立ち、宿泊される方々へも的確な情報を提供できるよう今後も継続してリサーチしていきます」と話しています。
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