社長から「新しいことを」「口出ししない」

――八ッ橋の魅力を知ってもらおうと、2011年に鈴鹿さんが始めた新事業「nikiniki」について教えて下さい。

 2010年ごろ、社長から「何か新しいことをやってみないか」と提案されました。「自分が口出しをすると、今までと同じものしかできないから口出ししない」と言ってくれました。

 もっと八ッ橋を地元の京都の方に愛してもらいたいと思ってきました。「お土産として観光客の人が食べるもの」「私たちが食べるものじゃないでしょ」と言われるのが悲しかったんです。だから、新しい事業では、京都の人に食べてもらえるものにしようと考えました。

カレ・ド・カネールの「シナモン アズール+ブルーベリー」。甘く炊いたきんぴらゴボウと合わせたことも。鈴鹿さんは「生八ッ橋の原材料はお米なので、ごはんのおともでも合うんだなと思いました」。(聖護院八ッ橋総本店提供)
カレ・ド・カネールの「シナモン アズール+ブルーベリー」。鈴鹿さんは「生八ッ橋の原材料はお米なので、ごはんのおともでも合うんだなと思いました」。(聖護院八ッ橋総本店提供)

「八ッ橋」を前面に押し出さない

 「八ッ橋」という名前を前面に出して、それだけで「お土産の八ッ橋」と離れられてしまってもいけないので、「nikiniki」という別ブランドを立ち上げました。
 生八ッ橋を使ったお菓子で、コンフィやアイスやカスタードクリームと合わせられるカレ・ド・カネールや、色と形にこだわった季節の生菓子と、バリエーションを持たせて興味を持ってもらおうと考えました。

 季節の生菓子の日持ちは1日限りで短いですが、ショートケーキを買うような感覚で買ってもらえたらと、「日持ちを長くしよう」と考えるのはやめて作りました。

――もともとの始まりは、お母様の思い出の味でもあったとうかがいました。

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