【飲食業は件数高止まり 宿泊業は落ち着き】コロナ後のM&A動向を解説
国内のM&A動向を調べると、新型コロナウィルスの影響で2020年3月に新規の売り案件が大幅に増加しました。その後、宿泊業は落ち着きを見せたものの、飲食業は高止まりしています。日本中のM&Aサイトの情報を自動収集している検索エンジン「MANDA」が分析しました。買い手が検索する言葉の上位などいくつかのデータをご紹介します。
国内のM&A動向を調べると、新型コロナウィルスの影響で2020年3月に新規の売り案件が大幅に増加しました。その後、宿泊業は落ち着きを見せたものの、飲食業は高止まりしています。日本中のM&Aサイトの情報を自動収集している検索エンジン「MANDA」が分析しました。買い手が検索する言葉の上位などいくつかのデータをご紹介します。
M&A検索エンジン「MANDA」は、家業であるソフトウェア開発会社を継がない経験をした森田洋輔CEOが、中小企業の事業承継問題を解決したいと考えて立ち上げたサービスです。
様々なM&Aプラットフォームから自動で情報を収集し、全国のM&A案件をデータベース化し、およそ4000~5000件が検索できます。今回は、そのデータをもとにM&A動向を分析しました。「TRANBI(トランビ)」や、「Batonz(バトンズ)」で全体の約6~7割を占め、競い合っている様子が下記のグラフから見えてきます。
月ごとの動向をみていくと、M&A市場が大きく動いたのが、2020年3月。新規案件登録数が700件を超えました。新型コロナによる政府の緊急事態宣言がきっかけだったとみられます。
3月以降も前年と比べると比較的高い水準が続いています。森田さんが分析したところ、冒頭で紹介したグラフのように、飲食業は過去1年間(2019年3月~2020年2月)の月平均23件と比べて2020年3月は約5倍に増加し、その後も前年比の約2倍を推移しています。宿泊業は、過去1年間の月平均27件と比べて3月は約4倍に増加しまいたが、直近の7月以降は、前年並みに落ち着いてきています。
帝国データバンクによると、政府の資金繰り支援により、2020年上半期では全体の倒産件数は抑えられたものの、飲食業の上半期の倒産件数は392件で、2000年以降で上半期としては最多となりました。また、ホテル・旅館など宿泊業の上半期の倒産件数も前年同期比約2.4倍の73件で、2011年度上半期(74件)に次いで2番目の高水準となっています。
ただし、買い手が探している業種は、売り案件の多い業種にとどまりません。MANDAで買い手が検索する業種の上位を抽出しました。
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MANDAのサイトで検索される約3500あるキーワードのなかから、2019年11月1日~2020年10月30日に検索された上位20位を紹介します。買い手の関心上位は「不動産」「塾」「医療」ですが、「飲食」と「飲食店」が別にカウントされているため、合計するとさらに順位が上がります。
「不動産」で検索すると、10月31日現在で728件、「医療」で426件、「飲食」で905件などと登録件数の多いものが上位に見られます。一方で、「塾」で207件、薬局で89件などと売り手の登録件数とは必ずしも連動はしない事業も上位に見られ、幅広い分野への関心が伺えます。
買い手が絞り込み検索をしている地域は以下の通りです。都市部が多いものの、全国各地で絞り込んで検索している例が見られます。
M&A案件の登録が増えて買い手市場の様相です。森田さんはさまざまなM&A関係者と情報交換するなかで、「これまでM&Aに積極的だった買い手は、新型コロナという不確定要素により、活動が消極的になったところが増えました。逆に、これまでM&Aをしていなかった企業や個人が、積極的に参入しようと動きだしているように感じています」と話しています。
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