中高生アスリートの「食トレ」にラーメン ヒット要因はターゲティング
1世帯当たりの中華そば(外食)の年間支出額が7年連続全国一位の山形市にある製麺所が、県内中高生アスリートを支えるスポーツトレーナーの課題意識に賛同し、さらにアスリートフードマイスターも加わり「アスリートを応援するラーメン」が商品化されました。戦略づくりを支援した山形市売上増進支援センターY-biz(ワイビズ)から紹介します。
1世帯当たりの中華そば(外食)の年間支出額が7年連続全国一位の山形市にある製麺所が、県内中高生アスリートを支えるスポーツトレーナーの課題意識に賛同し、さらにアスリートフードマイスターも加わり「アスリートを応援するラーメン」が商品化されました。戦略づくりを支援した山形市売上増進支援センターY-biz(ワイビズ)から紹介します。
山形市でスポーツジム「楽トレスペースGreen」を運営する草苅大悟さんは、山形市内でデイサービスやリハビリ、トレーニング支援事業を行う一方で、県内の高等学校で野球やバスケットボールのトレーナーも務めています。
成長期である中高生の部活動の現場では、身体を大きくするためにトレーニングの一環として大量の食物摂取を強いられがちです。苦労しながら時間をかけて食べるアスリートたちの「量が多すぎて食べられない」「栄養が偏りがちになる」といった悩みを多く聞いてきました。
“運動に適した栄養を摂取すること“が正しい食事トレーニング(食トレ)ですが、一部にある「食トレ=大量な食事で身体を大きくすること」という誤った認識にも課題を感じていました。
ある時、県外の野球強豪校の監督から「無理にたくさん食べさせない。食べやすい麺類を用意し、同じ量を食べてもより多くのタンパク質が摂取できる工夫をしている」と聞き、食トレの現場に「おいしく食べやすく効率的にたんぱく質が摂取できる麺類」を企画できないかと考えました。
山形市内で整骨院を営み、東京オリンピックではメディカルスタッフとして活動予定の芹川武志さんに相談しました。さらに芹川さんから酒井製麺所専務の酒井昌夫さんを紹介され、ここから3者が協業して商品開発がスタートしました。
Y-bizに相談に訪れたのは、商品開発の方向性が大枠で決まった段階でした。一方、販売方法、情報発信などの具体性をどのように高めるかについて課題がありました。
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中学硬式野球をする現役中学生アスリートの父である、Y-bizの尾上雄亮プロジェクトマネジャーがアドバイスを担当しました。
いくら可能性ある企画でもターゲットが不明確だと選ばれる商品にはなりません。そこで中高生アスリートの保護者をコアターゲットに「食トレ」に最適な麺とし、対象競技も野球やラグビー、柔道などと明確にすることを提案しました。さらに100gあたりのタンパク質の含有量もラーメンの分野で日本最大級を目指すことを提案し、特徴を明確にしました。
商品コンセプトを整理し、開発を進めた結果、100gあたり小麦、卵白、大豆と3種類のタンパク質を計25.7グラム含み、ラーメンとしてのタンパク質含有量が日本トップクラスの「スポ麺」が完成しました。
3種類のタンパク質を配合することで体内吸収率がアップし、効果的な栄養補給を促します。また、食物繊維も8.3グラムと豊富で、腸内環境を整えコンディションアップが期待できる点も特徴となりました。
中高生アスリートの身体づくりに「ラーメン」という意外性と、タンパク質含有量日本トップクラスという機能性を打ち出して新商品のプレスリリースもサポートしました。結果、地元テレビ4局、全国紙含む新聞3社、そのほかネットメディアでも多数紹介されました。
山形市内のカスカワスポーツ本店での先行発売を皮切りに、酒井製麺所の直売所とオンラインストア、アスリートのコンディショニングを支援する整骨院などターゲットに相応しい場所で販売し、栄養強化食品やサプリメントをライバルに販路開拓を進めています。
狙いどおりスポーツ店の栄養補助食品コーナーにラーメンが並ぶ意外性が功を奏し、想定を大幅に上回る売上となりました。
Y-bizでは、スポーツ専門誌への情報発信も支援し、野球専門誌にも「スポ麺」が紹介されました。また、芹川さんと草苅さんは高校や大学の運動部を対象に「スポ麺」を用いた食トレ講座も積極的に開催し、情報発信の強化を図っています。また、酒井製麺所の酒井さんは食が細くなってきた高齢者の栄養摂取にも活用してほしいと、高齢者施設への慰問にも「スポ麺」の提供を予定しています。
スポ麺の公式サイトでは、アスリートフードマイスターがレシピ集も公表しています。
「いくら可能性のある企画でもターゲットが不明確だと選ばれる商品にはならない」。この事例に限らず、売れる商品企画において重要な視点だと思います。
Y-bizでは、「誰がどんなシーンで選ぶべき商品なのか」という視点を大切に相談者の強みを見出し、売り上げアップの支援を続けていきます。
山形市売上増進支援センターY-biz(ワイビズ)は「地域活性化は地方創生に必要不可欠であり、地元企業の売上増には伴走型支援が欠かせない」との佐藤孝弘市長の考え方に基づき、東北初・県庁所在地初のビズモデル型支援施設として2019年1月に始動しました。
売上アップに特化した伴走型支援機関として、京都に次いで長寿企業が多いと言われる山形で創業支援から老舗の新サービス開発・販路開拓までサポートしています。相談は1回60分。何度でも無料です。
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