臭みを抑えた卵が看板に

 竹鶏ファームは1965年、志村さんの曾祖父が創業し、現在約45,000羽の鶏を飼育しています。主に飲食店や小売店に卵を販売し、年商は2億4000万円にのぼります。

 1994年、祖父と父が消臭効果のある竹炭を餌に混ぜて与え続け、卵の生臭さの軽減に成功したのが転機になりました。クセのない味で卵白の弾力が強いこの卵を「竹鶏物語」と名付けて販売したところ、地元で高い人気を得ました。

竹鶏ファームは自然豊かな土地で約45,000羽の鶏を飼育しています(同社提供)

 志村さんは幼い頃から休日に家業を手伝っていましたが、「お駄賃につられてやっている感じで、あまり好きではありませんでした」と話します。

 大学卒業後、東京の会社に就職し、業務用コーヒー豆の営業をしていましたが、うまくPRできませんでした。会話のきっかけに、実家の卵の話をしたところ盛り上がり、顧客はコーヒーではなく、竹鶏ファームの卵を購入してくれました。「卵のことは楽しく話ができたので、やっぱり好きなんだって感じました」

 先代の父・浩幸さんからは「家業を継がなくてもいい」と言われていましたが、次第に養鶏業への思いを募らせ、2010年、24歳で白石に戻りました。

「竹鶏物語」から「竹鶏たまご」へ

 2歳年上の兄・竜海さんも後から実家に戻り、2人は徐々に経営に携わり始めます。1次産業が少子高齢化に苦しむ中、「養鶏を子どもたちがあこがれるかっこいい仕事にしたい」と、漠然と考えていました。

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