業務改善のツール2つを専門家が解説 選び方や取り組み方のコツも詳しく
業務改善を図る上で、ITツールの導入を検討していませんか。しかし、単に導入するだけでは問題は解決しません。少人数で業務をこなし、長時間労働が常態化している場合だと、効果が見えにくい場合があります。そのため、中小企業の経営者はツールの導入前に業務改善に向けた2つのポイントをおさえることが重要です。
業務改善を図る上で、ITツールの導入を検討していませんか。しかし、単に導入するだけでは問題は解決しません。少人数で業務をこなし、長時間労働が常態化している場合だと、効果が見えにくい場合があります。そのため、中小企業の経営者はツールの導入前に業務改善に向けた2つのポイントをおさえることが重要です。
目次
中小企業では、一人の従業員がいくつもの仕事を抱え、誰もが時間に余裕がありません。それにより、次のような弊害が生じています。
市場や消費者のニーズ、世の中の仕組みや取引先の状況など、企業を取り巻く環境は常に変化し続けています。企業が生き残りながら成長を遂げていくためには、環境変化に対応するためのイノベーション(事業の改革)に取り組む必要があります。
しかし、中小企業ではイノベーション(事業の改革)に取り組みたくても一向に前に進まないことが多くあります。その最大の原因は、従業員に時間と気持ちの余裕がないからです。
このような状況を放置し続けていると、ジリ貧経営に陥ってしまいます。
国が打ち出した働き方改革によって、企業に「長時間労働の是正」や「従業員に一定の有給休暇を消化させる」などの義務が生じましたが、そのことへの対応に苦慮している中小企業が多く見られます。従業員が仕事で一杯一杯になっていることで、帰りたくても帰れない、休みたくても休めない状況に陥っているからです。
このような労働環境の悪さに耐えられずに会社を辞めてしまう従業員もおり、人材が定着しないという経営者の悩みも解決できずにいます。
中小企業には、その人にしかできない業務というものが数多く存在します。そのため、退職者が出るたびに社内が混乱してしまいます。
とりあえず誰かが退職者の業務を引き引き継ぐのですが、従来の業務を抱えたまま引き継いだ業務もこなしていかなければならなくなるため、引き継いだ人間が疲弊してしまいます。
さらに、新しく人が入社したときも、整理されていない状態で引き継いだ業務を渡すことになるため、新しく入ってきた人も混乱してしまいます。
業務改善を実現させるためには、従業員に対する意識付けを行った上で、業務の仕組みを変えていく必要があります。
業務の仕組みを変えるキーワードとなるものが、次の二つです。
業務改善への取り組み方法が明確になったとしても、従業員がその気にならなければ、実現は不可能です。
従業員をその気にさせるために、経営者が次のような働きかけを行うことが効果的です。
従来の業務をそっくり抱えたまま新たに生まれる業務に対応しようとすると、仕事が増える一方になります。よって、定期的に業務の見直しを行い、業務をスリム化していく必要があるのです。
業務をスリム化するというのは、「今ある仕事を、今後も同じような形でやり続ける必要が本当にあるのかどうか」という視点に立った上で、次の順序で形を変えることができないかを考えるということです。
止めても支障のない業務は、思い切って止めます。
止めることができなくても、範囲やプロセスを減らすことができるのであれば、思い切って減らします。
減らす部分がなくても、やり方を変えることで時間を減らせるのであれば、思い切ってやり方を変えます。
中小企業には、そのヒトにしかできない業務が数多く存在します。すなわち、ヒトに仕事を付けてしまっているのです。そのことが原因で、休みたくても休めない状況に陥り、担当者が辞めてしまうと社内が混乱してしまうのです。
このような課題を解決するために、「仕事にヒトを付ける」取り組みを行うことが効果的です。つまり、こなせる(対応できる)人が複数存在する業務を増やしていくということです。
業務の仕組みを変えた上で、業務の効率化に役立つツールを活用すると、業務改善効果がさらに向上します。
従業員を雇用する会社は、次のような勤怠管理を行う必要があります。
これらの事務作業や確認作業に、経営者自身や管理部門の人間が多くの時間を取られています。このような状況を改善するために、勤怠管理用のサポートツールを活用することが効果的です。
勤怠管理用サポートツールの代表的なものに「ジョブカン勤怠管理」があります。クラウド上で勤怠情報を一元的に管理することが可能で、瞬時に状況を確認することができます。加えて、ペーパーレスによる管理が可能なため、勤怠情報を探し出す手間が省け、保管場所の確保も必要なくなります。
「ジョブカン勤怠管理」には、次のような機能が備わっています。
タイムカードや出勤簿による出退勤時刻の記録では読み取りミスや記入漏れ、不正打刻などの問題が生じます。しかし、「ジョブカン勤怠管理」を使えば、従業員個人のICカードなどと連動した多様な方法で正確かつ本人でしか打刻できない方法で出退勤時刻の記録を行えます。
出勤管理は、リアルタイムで従業員の勤務実績を確認できる機能です。従業員の出勤状況の一覧表示や編集、就労中か休憩中かなどの従業員の勤務状況の確認、労働人数・総労働時間・人件費などの予実管理を行えます。
シフト管理は、スマートフォンやパソコンと連動した共有画面から、従業員によるシフト申請や申請に基づくシフト作成を行える機能です。従業員に対するシフト募集メールの送信や、無料通話アプリのLINEによる一週間分のシフト確認などが行えます。
休暇・申請管理は、出勤管理機能やシフト管理機能と連動させつつシンプル化した休暇の申請・承認フローで、休暇管理を行える機能です。勤務年数や所定労働日数に応じた年度ごとの有給休暇を自動で付与したり、LINEを使って有給休暇残日数の確認できたりする機能を備えています。
工数管理は、従業員の勤務時間と工数が適正であるかどうか、すなわち生産性の良し悪しを分析できる機能です。従業員の日々の工数を簡単な作業で入力でき、部門ごと、職種ごと、個人ごとなどの多様な視点での分析を行うことができます。
「ジョブカン勤怠管理」を会社として使いこなすために、次の対応を行うことが効果的です。
そうした上で、30日間の無料トライアルを利用しながら小まめに無料のサポートサービスを利用することで、システムを使いこなせるようになるはずです。
メンバー間で情報を共有し、意見をまとめ、方針を統一するために会議の場は必要です。しかし、中小企業の従業員からは、「会議に時間を取られることが長時間労働につながっている」という声も多く聞かれます。
この問題に対して、ツールを活用することで、メンバー全員が一堂に会さなくても、メンバー間での情報共有や意見交換、方針の確認を行うことができます。
このことに役立つ代表的なツールに「チャットワーク」があります。チャットワークは、チャットを介してメンバー間でやり取りを行うことができるビジネスコミュニケーションツールであり、次のような利便性があります。
「チャットワーク」には、次のような機能が備わっています。
グループチャットを作ることで、複数のメンバーとチャットを通じた会話を行うことができます。特定の相手との一対一のチャットもでき、グループチャット内に蓄積されたメッセージをキーワードで検索もできます。
自分が担当しているタスク(業務)や自分が依頼したタスク(業務)を期限ごとに確認できるため、スケジュール管理がしやすいのも特徴です。さらに、人から依頼されたタスク(業務)が完了した時に、依頼者に対して通知が行きます。
チャット内でWordやExcelなどのオフィスファイルや画像ファイルなどを共有し、自由にアップロードできます。加えて、今までにどのようなファイルをアップロードしたのかを簡単に確認できます。
チャットに参加したメンバーとビデオ通話や音声通話を行うことも可能です。さらに、通話中に、自分のパソコン上で開いたファイルなどの画面を相手と共有できます。
「チャットワーク」で会議を行う場合は、次の対応を行う必要があります。
そうすることで、グループチャットを介して、いつでも会議を行うことができるようになります。
グループチャットの管理者には、プロジェクトを取り仕切る人間がなるのが効果的です。
チャットワークの料金プランには無料と有料3種類の合計4種類がありますが、最も料金が高い有料プランには、社外ユーザーからのアクセス防止やモバイル端末からの利用制限、ファイル誤送信の防止などの高度なセキュリティ機能が備わっています。
ツールの活用を考える時は、次の二つのことに留意する必要があります。
社内全体でツールを活用することで、業務改善効果が生まれてきます。このことより、皆が使いこなせるようなツールである必要があります。よって、導入を決める前に、使ってほしい人たちが使いこなせるのかを確認することが大切です。
加えて、本格的にツールを活用する場合は料金が発生します。ただし、お試しの機能を無料で提供しているツールも多いので、無料のサービスを使いこなしながら、ツールを活用することによる課題やリスクの存在を確認した上で、本格的な運用を決定することが重要です。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。