最新装置に積極投資した父

 ケー・アイ・エスは、飯野さんの祖父・吉太郎さんが1931年に始めた天然香辛料専門店「飯野商会」が前身で、2021年4月に創業90年を迎えます。世界中から様々なスパイスを仕入れて加工し、 食品メーカーや外食産業、スーパーなどに卸しています。同社が扱ったスパイスはスーパーのお惣菜やレストランのメニューなどに使われ、多くの消費者が口にしています。

 主力商品は、単品のスパイスや、複数を調合したミックススパイス、そして複数のスパイスに塩、ハーブ、調理エキスなどを加えたシーズニングという商品です。 顧客のニーズに合った風味や粒度のスパイスを、少量多品種、オーダーメイドで扱っています。

 飯野さんによると、先代で父の吉昭さんが1983年、高温の水蒸気を使って食品を殺菌する気流式殺菌装置を導入し、現在の成長に貢献したといいます。「先代はまだ売上が7億円ぐらいのときに、土地を売って1億円を投資して装置を導入しました。その殺菌方法は今も主流で、会社を支えてくれました」

ケー・アイ・エスは世界中から取り寄せた大量のスパイスを、顧客のニーズに合わせて調合しています

父の大腸がんが発覚

 飯野さんは、自分が会社を継ぐと漠然と思っていました。しかし、学生時代はラグビーやアメフトに打ち込み、将来を深くは考えていませんでした。大学卒業後、ヨーグルトを主力とするカルピス味の素ダノン(現ダノンジャパン)に入社し、食品業界の基本を学びましたが、1年ほどで退社し、23歳で家業に入ります。

 飯野さんの上の世代はバブル期で多くが大企業に流れ、家業には父親と飯野さんの世代をつなぐ人材がいませんでした。早めに世代交代するために、呼び戻されたといいます。

 飯野さんが家業に入ってからは工場勤務、営業、仕入れを担当し、28歳で常務、31歳で専務取締役兼生産技術本部長に就任しました。しかし、あくまで経営陣の一人という認識で、承継はまだ先のことと思っていました。そんな中、当時社長だった父親の大腸がんが発覚します。2006年3月、飯野さんが34歳の時でした。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。