今治タオルの事例やGoogleに学ぶ 会社名や製品名のネーミング
会社名や製品名のネーミングの重要性が高まっています。その理由の一つに、新型コロナによる非対面の経営・営業活動の場面で「客観的に、一目で覚えやすい、機能も想像できること」が重要になっていることがあります。具体的な事例をもとに顧客視点のネーミングのコツや作成手順を解説します。
会社名や製品名のネーミングの重要性が高まっています。その理由の一つに、新型コロナによる非対面の経営・営業活動の場面で「客観的に、一目で覚えやすい、機能も想像できること」が重要になっていることがあります。具体的な事例をもとに顧客視点のネーミングのコツや作成手順を解説します。
商品の名前には、デジタルとの相性が良いものと悪いものがあります。デジタルの特徴を意識しながらネーミングすることで、経営・営業活動を効率化できます。さらに、売上や利益の最適化も見えてくるのではないでしょうか。
デジタルと相性の良いネーミングとは、デジタルにおけるもう一つの商標ともいうべきドメイン(URL)を最適に取得できる名称のことです。「短い名称」「英語」「.com」「.jp」で構成されている方が高価な資産となります。
URLの打ち間違えを減らし、覚えやすく、デジタル上での販促活動、マーケティングの効率化にもつながります。ドメインは商標と同じく基本的に早く申請した方が取得できます。
加えて、素晴らしいドメインは、事業そのものよりも価値を持つこともあります。たとえば、GMOインターネットは2014年に「z.com」を8億円で取得しました。また、身近な話では、知人の中小企業で、4000万円でドメインの譲渡依頼がありました。
このように、時代とともにネーミングが持つべき視点は広がり、同時に金銭的価値も上昇したのです。そこで、ネーミングについて基礎から解説します。
ネーミングの役割と重要性は下記の3点でまとめることができます。
世界では、一目でわかる名前をつける会社や製品が、顧客の理解や共感を得て成功しています。顧客に一目見てもらうのもコストがかかり、努力が必要です。もし、1回で覚えてもらえるならどれくらい効率化されるでしょうか。また、説明不要ならどれくらい時間は短縮されるでしょうか。
仮にビジネスがうまくいかなくても、商標とドメインを獲得することは独自の資産価値を持ちます。良いネーミングの方が、良い商標・ドメインの資産になるでしょう。先述の通り、小さなビジネスよりも名前が大きな価値を持つことも十分あり得ます。
良いネーミングは、経営戦略に則り、法的にもクリアされているべきです。そうすることで持続的で、安全なビジネスを運営することが可能となります。
昨今、デザインやブランディングの領域において、戦略が見直されています。それは見る側、顧客を中心と考えること、簡単であることです。「顧客中心設計(ユーザーセントリック)」ともいわれます。
代表的な会社は、googleです。
あなたの会社の製品は、自分たちの言いたい長所や好きな言葉をネーミングに使っていませんか?顧客に意味や利点が伝わりきらず、機会損失になっていることもあり得ます。
ネーミングにおいての戦略で「読めること」と「わかること」は重要です。そんな簡単なこと……と思われるでしょう。しかし、下記のようなことはありませんか?
会社の製品を知らない、または興味のない顧客がすぐに理解し、興味を持ってくれるでしょうか?そうでなければ、追加説明が2、3回、30秒間必要になります。それが展示会、営業会ならどれくらいの損失になるでしょうか?そして、ネーミング設計の損失は継続するのです。
今治タオルはリブランディングするときに、ブランド商品認定マークを「imabari towel Japan」にすることで、日本人も外国にも読めるようにしました。その結果、2004年に36.6%だった認知度は、2014年時点で76.9%へ上昇しました。
世界で成長している企業名は、中学生でもわかる単語を組み合わせて、伝えています。理解・共感を集め、説明時間を省いています。
こうした名前からは、会社や製品の輪郭が想像できます。CBinsigntsによると、世界の急進企業の象徴であるユニコーン企業たちのトップランキングの約半数を簡単な英語の組み合わせが占めています。
ここは欧米だけではなく、シンガポール、インドなども含みます。ただし、命名登録が特殊な中国企業を除きます。
筆者が立ち上げた会社も、日本国内だけではなく、アジアにおけるデザインと経営の繋ぎ込みによる成長サポートに注力しているために「Design and Management(デザインと経営)」というシンプルな名前にしています。
初めて会う海外の方にも『何をしている会社ですか?』と聞き返されることが少なく、「どんなプロジェクトをしているのか?」「特にどのような領域が得意か?」など、より具体的な話へと進めることができ、特に重要な人物と話す時は貴重です。
このようなスピード感は、勢いのある会社や不特定多数の顧客などを対象とする時は、大変な価値を持ちます。
ネーミングの基礎があまりに簡単と思う方も多いでしょう。しかし、それほどまでにネーミング意図のわからない会社・製品が多いのです。逆にいえば、チャンスとも言えます。
現代においてデジタルを意識したネーミングは必須ですので、そちらを加味した手順を紹介します。
まず、商品の強みと弱みを再確認しましょう。強い部分、弱い部分をストレートに表現するだけではうまくいかないことも多いのですが、改めてネーミングするチームで、長所短所は確認しましょう。
つぎに商品を売る地域や国を整理しましょう。国は言語、文化、商標、ドメイン全てに影響しますので数年先の事業計画も確認しましょう。
さいごに、商品を売る相手を想像しましょう。年齢、趣味、生活、性別などを意識しましょう。そのうえで達成するべきは、命名をするチーム全員が、会社や製品の事業計画を理解し、どの国・地域の、どのような人が商品を買ってくれる方か、理解できている状態です。また、販売対象の国の文化を学び、やってはいけないことも調査・共有できていることも大切です。
まず、販売する地域、国を意識して言語を選択しましょう。日本国内だけなら、日本語。世界なら英語。中国も意識するなら、不吉な音は避けることなどが一例です。
つぎに、ネーミングに使うキーワードを50-100個ほど挙げましょう。小、中学生の辞書の中にある単語を基本として、簡単で長所も含まれそうだなと思うものを数多く選びます。たとえば、発明したすごい扇風機をネーミングするなら、単語はスマート、AI、カンタン、ファン、扇風機、サーキュレーターなどです。
最後に、選出したキーワードを組み合わせてネーミング案を10個ほど作りましょう。
まずは、商標を確認しましょう。弁理士などプロとの相談の上、確認することをお勧めします。
つぎに、ドメインを獲得しましょう。ムームードメイン、お名前ドットコムなどでドメインが取れるか確認しましょう。日本の会社、製品であれば.comや.jpなどが取れることが重要です。
加えて、デザインのしやすさを確認しましょう。
商標が申請できそうかどうかは、名前だけではなく、国や職種によって異なるため、申請が完了する、通過するまでは安心はできません。公表は避けましょう。
この段階で、記者会見、プレスリリース発表、販促などを開始できます。ネーミングは完了した段階です。
ネーミングの作成手順以外に、気をつけた方が良いポイントや、ライバルに差をつけるためのコツをいくつか紹介します。ネーミングはすぐに決めることはできます。しかし、その判断の後ろにある重要性に気づいていただけたら幸いです。
Googleで画像検索を行うと、言葉に対して、世間の人たちがどのようなイメージを持っているか分かります。言葉を図に変換できるのです。
たとえば、ロボ、メカ、マシンはそれぞれ似たような言葉ですが、イメージは全く異なることがわかります。
どれにしようか迷ったから、会社全体で投票してみるというのは、あまりお勧めできません。ネーミング草案の個性が無くなり、普通になりすぎてしまうこともあります。本当に良いアイデアが二つ残り、会社内の愛着も大事にしたいという場合などに実施しましょう。
ドメインは安価で簡単に取れます。そのためにアイデアが確定する前に取ってしまうという選択肢もあり得ます。世界向けなら.comを優先して、国内だけなら.jpでも良いですし、中国なら.cnをはじめとして特別な準備も必要となります。
世界企業のネーミング基準で評価されている項目は、シンプルさと説明性のバランスです。一方で、自分たちの言いたいこと、哲学性については、あまり言いすぎると「よくわからない」と思われてしまう可能性があります。
日本と共通する考え方とも言えますが、”シ(死)”や”ク(苦)”など悪いことを連想させる音は避けましょう。中国に行けば会社や製品の名前は、漢字に置き換えるため、音の重要性が高まるのです。
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