目次

  1. 勤怠管理システムとは?
    1. 勤怠管理でよくある悩み
    2. 勤怠管理システムができること
    3. 勤怠管理システム導入の前に
  2. 勤怠管理システム導入の手引き
  3. 勤怠管理システムの紹介
    1. KING OF TIME
    2. ジョブカン勤怠管理
    3. 人事労務freee
    4. Touch on Time
    5. jinjer勤怠
    6. Money Forward クラウド勤怠
  4. 各勤怠管理システムの比較表

 会社には、原則として従業員の労働時間を管理する義務があります。出勤怠や労働時間の情報を管理するシステムを勤怠管理システムといい、その情報は給与計算や人事考課、会社の制度作りなど多岐に利用されます。

 勤怠管理の手法ではタイムカードが想像しやすいと思います。勤怠管理は日々のことですので人力で行おうとすると、どうしても労働時間の計算に関して人的ミスが発生し、月の集計に時間がかかります。例えば、給与を誤って支給したり、修正に時間がかかることがあったり、勤怠管理の確認作業のため担当者が残業することになるかもしれません。こういった勤怠管理のコストを削減し、効率化を行うのが勤怠管理システムです。

 勤怠管理を人力で行う場合、よくある問題は給与締め日から支給日までのあいだ、給与担当者の負担が大きくなるという点です。締め日から支給日間に連休などがあると、なお期限は短くなり、残業をしたという担当者は少なくないでしょう。また、担当者が一人だと、ノウハウが個人に蓄積されるのみで、担当者が退職することになりわかる人が社内にいなくなった、という例もあります。

 勤怠管理はどのような規模・業種の会社でも求められるため、多くの勤怠管理システムが提供されています。勤怠管理システムにより特徴や強みは様々ですが、共通して次のことができます。

  • 多様な打刻方法により労働時間を正確に記録
  • 裁量労働制やフレックスタイム制などの労働時間管理制度に応じた労働時間の計算
  • 給与計算に必要な情報のエクスポート
  • 保険料率など関連法規に自動で更新・対応

 勤怠管理システム導入にあたり、よく出がちな意見が「自社の勤務形態は複雑だからカスタマイズをしなくては……」というものです。

 ただ勤怠管理システムを導入する際は、カスタマイズを前提とした考えを一度置いた方が良いと思います。なぜなら、カスタマイズをしなければならないほど一般的ではない労働時間管理制度はそう無く、ただ単に自社の労働時間管理制度を把握していないだけの場合があるからです。また、カスタマイズすることによって、コストや時間がかかることも考えられます。

 そのため、まずは現在運用されている自社の労働時間管理制度を確認しましょう。労働時間管理制度は、就業規則の労働時間の部分に書いてあることが多いです。

 なお、労働時間管理制度は大きく4つに分けられます。

  • 変形労働時間制
    ○1カ月単位の変形労働時間制
    ○1年単位の変形労働時間制
    ○1週間単位の非定型的変形労働時間制

  • フレックスタイム制
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 裁量労働制
    ○専門業務型裁量労働制
    ○企画業務型裁量労働制

 どのシステムを検討するかについては、次の事項を必ず確認しておきましょう。

  • 自社の労働時間管理制度を扱えるか確認する
    導入前にカスタマーセンターへ自社の労働時間管理制度の場合、どのように初期設定を行うか問い合わせる
  • 給与計算システムを利用している場合は連携可能な勤怠管理システムを調べる
    システムのサイト上に連携システムの一覧があるものがほとんどなので、一覧に利用している給与計算システムと連携されているか調べる
  • CSVでインポート・エクスポートされる項目を確認する
    システムマニュアルに書いてある場合が多いが、不明であればカスタマーセンターに問い合わせる
  • 従業員の打刻オペレーションが適当か確認する
    こちらもシステムマニュアルに書いてある場合が多いが、不明であればカスタマーセンターに問い合わせる

 勤怠管理システムの導入には、総務担当部署があればその部署が主体となって進めていくかと思いますが、導入後の打刻は従業員全員が行うオペレーションとなります。どの事務所でも、例えば在宅勤務者でも可能で負荷の少ないオペレーションであるかは重要なポイントです。

 勤怠管理システムは無料のものから有料で年末調整やマイナンバーまでフォローするものなど、価格と機能は多岐にわたります。そこで、利用社数の多い6つの勤怠管理システムを紹介します。各勤怠管理システムの比較がしやすいように表にまとめ、それぞれについて特徴を解説します。

勤怠管理システム6つについて、特徴や費用、向いている会社の観点で比較しました
  • スケジュール・シフト管理ができる
  • 有給休暇の管理ができる
  • 海外時間・英語対応
  • 年額108,000円/税抜(30名規模の場合)

 「ヒューマンテクノロジーズ」が提供するシステムです。KING OF TIMEの特徴はスケジュール管理とシフトの予実管理が簡単な点です。スケジュールは任意の期間単位で設定ができ、そのスケジュールに対して実際の勤務実績との差異がリアルタイムで確認できます。また、テレワーク・在宅勤務や時差出勤にも対応しており、特定のIPアドレスからのみ打刻を許可したり、時差出勤パターンを登録したりすることも可能です。

 アルバイトなどのシフト制の従業員や、テレワーク勤務者が多い会社に向いている勤怠管理システムです。

 「KING OF TIME」の公式サイトはこちら。

  • 必要な機能を選択して利用できる
  • 工数(タスク)管理ができる
  • 日勤・夜勤・複数回の休憩など複雑なシフトパターンへの対応が容易
  • 年額108,000円/税抜(出勤管理・工数管理機能利用・30名規模の場合)

 「Donuts」が提供するシステムです。打刻方法はLINEやSlack、指静脈認証打刻などがあったり、管理画面UIのカスタマイズが簡単であったりと自由度が高い勤怠管理システムといえます。ジョブカンシリーズには勤怠管理のほか、労務管理や給与計算もあり、それらを1つにまとめた人事労務バリューパックも提供されています。労務関係以外にも、経費精算やワークフロー、採用管理の同シリーズもあります。

 バックオフィス業務のシステムを利用したことが無い会社や、夜勤業務のある医療業界などが利用しやすい勤怠管理システムです。

 「ジョブカン勤怠管理」の公式サイトはこちら。

  • 勤怠管理と給与計算がシームレスに行える
  • 年末調整・マイナンバーに関する機能がある
  • (一部プラン)勤怠アラートが利用できる
  • 年額323,760円/税抜(プロフェッショナルプラン・30名規模の場合)

 「freee」が提供するシステムです。人事労務freeeの強みは給与計算まで行えることです。勤怠入力の方法にもよりますが、勤怠情報が即座に給与計算に反映され、月途中でも残業(法定外労働)時間手当の確認が出来ます。会計freeeと連携すると給与計算関係の仕訳が容易になります。

 給与計算システムの新規利用・乗り換えを検討している場合や、既に会計freeeを利用している会社に適している勤怠管理&給与計算システムでしょう。

 「人事労務freee」の公式サイトはこちら。

  • 独自開発のタイムレコーダーを用意
  • 生体認証によるなりすまし防止を実現
  • リアルタイムで勤務状況を把握・集計
  • 年額108,000円/税抜(30名規模の場合)

 「デジジャパン」が提供するシステムです。タイムカードの用意がなく、さまざまな打刻システムを用意しているのが特徴です。ICカードを読み取るレコーダー、指の静脈情報を読み取るレコーダー、またどちらの打刻方法でも読み取れるタッチオンタイムレコーダーなどがあります。スマホからの打刻にも対応しているため、営業職や在宅勤務者の管理もスムーズにできます。また読み取った打刻情報は、リアルタイムで集計され、ほかの給与計算システムと連携も可能です。

 就業ルールが異なる従業員を、一元管理したい場合におすすめな勤怠管理システムです。

 「Touch on Time」の公式サイトはこちら。

  • PC以外に、スマホやタブレットから打刻が可能
  • 申請に対して独自のワークフローを設計できる
  • AIが残業時間を予測
  • 年額108,000円/税抜(30名規模の場合)

 「ネオキャリア」が提供する勤怠管理システムです。PC以外にスマホやタブレット、ICカードなどで打刻ができます。スマホの場合はカメラを起動させることで、不正打刻を防ぐことも可能です。また、勤怠管理システムとは別に人事管理システムや給与計算システムなども用意されていて、自社が抱える課題にあわせて機能が増やせます。

 アルバイトが多く働く接客業やスマホを持ち込むことが難しい製造業に向いている勤怠管理システムと言えるでしょう。

 「jinjer勤怠」の公式サイトはこちら。

  • さまざまな労働時間管理制度に対応
  • 自動でアップデートして法改正に対応
  • アラート機能が充実
  • 年額125,760円/税抜(スモールビジネスプラン・30名規模の場合)

 「マネーフォワード」が提供する勤怠管理システムです。基本の労働時間制に加えて、変形労働時間制やフレックスタイム制、裁量労働制などに対応しています。アラート機能も充実しているので、各従業員の打刻ミスにすぐに気づけます。

 また、インポート機能も優れているため、各従業員の有給利用実績や休暇付与のデータを簡単に移行できるのも特徴。既存のシステムがしっくりきていない場合に、検討して損はないと言える勤怠管理システムです。

 「Money Forward クラウド勤怠」の公式サイトはこちら。

 より良い勤怠管理システム導入には、予算と望む機能をあらかじめ決定しておき、各システムと照らし合わせながら選ぶことが不可欠でしょう。それぞれの特徴を参考に、自社に合った勤怠管理システムを検討してみましょう。

勤怠管理システム6つについて、特徴や費用、向いている会社の観点で比較しました