娯楽という「文化」を提供し続ける

 東京都など首都圏1都3県で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた2度目の緊急事態宣言が出た2021年1月8日の朝。

 「どんなに苦しい時でも、人は娯楽や息抜きが必要。そういう『文化』を提供しているんだと誇りを持って、お客様をお迎えしましょう」

 東京・池袋駅西口に近い大型アミューズメント施設「ロサ会館」を運営するロサラーンド(東京都豊島区)の伊部知顕(さとあき)取締役(43)は、社内会議で従業員に向けてこう呼びかけました。

亀甲模様とピンク色の外壁が特徴的なロサ会館の外観。開業から50年余と老朽化が進み、再開発の対象街区にもなっている。

 「池袋西口界隈を歩く人は、やはり朝から少なかったですね。前回の2020年4月の緊急事態宣言では初めて『全館休業』に踏み切りましたが、時短営業を考えています」
 そう話す知顕取締役は、3代にわたってロサ会館を運営してきたロサラーンドの後継者として現場の指揮をとっています。

ボウリング、ビリヤード……戦後の娯楽文化けん引

 ロサ会館の開業は1968年10月。ロサはスペイン語で「バラ」を意味します。池袋の繁華街にあって東京の大衆娯楽をけん引しただけでなく、日本のアミューズメント文化の発展にも大いに貢献しました。

 終戦翌年の1946年に開業した「シネマ・ロサ」などの映画館は、今も経営を続け、インディーズ作品にも強くコアな映画ファンを魅了。オープン当初からあるボウリング場は今も2フロアで営業しています。

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