合同会社SHERPAの訪問介護事業からスタート

 広島市内の障害者支援施設で働いていた岡本さんは、「地元の東広島市は訪問介護事業者が不足している」と感じていました。そこで、地域に必要とされているサービスを提供しようと2013年に地元に戻り、訪問介護事業を営む「合同会社SHERPA(以下、シェルパ)」を立ち上げました。もともと介護に対する高い専門性を持っていたこともあり、ケアマネージャーや医療機関から紹介が増え、多くの依頼が入るようになり、経営は順調でした。

シェルパが運営するのが「訪問介護事業所まる」

中古介護用品販売のきっかけは「引き取ってくれんか?」

 転機が訪れたのは今から数年前。介護が終了された方からの「車椅子を引き取ってくれんか?」という問合せでした。

 訪問介護をするなかで、不要になった介護用品を目にする機会は多く、以前より「何かできないか」と考えていた岡本さんは、この問合せをきっかけに、すぐに事業化へ向けて動き出しました。

市場ニーズはあると思っていたのに想定外の展開に

 しかし、岡本さんにとって、買取・再販事業というのは未知の領域でした。事業を始めたものの、どのように広げていけば良いかわからず、手探りの日々が続いていました。

 同じような業態からヒントを得ようと、中古自動車や中古自転車を販売する経営者仲間に相談し、買取・再販に関するノウハウを学び、サイトやチラシでサービス周知に取り組みました。しかし、反応はどれも一時的なものでした。

 そして、事業開始から1年が経過した2020年4月にハイビズを訪れました。

ハイビズでの相談風景

課題は強みを伝えきれていない

 岡本さんに状況を伺うと、「買取は月に数件程度、どこかでこのサービスを見聞きされた方が利用してくださっている」とのことでした。買取事業が思うように進まないと在庫不足となり、すると販売事業も伸び悩むという悪循環に陥っていました。

 しかし、「買取も販売も、実際にご利用いただいた方はとても喜んでくださる」とのことで、サービス内容は消費者のニーズに合っていることが確認できました。

 そこで、事業が伸び悩む理由として、次の仮説を立てました。

  1. 購入希望の方に対して強みや特徴がうまく伝えきれていない
  2. 買取・販売共に、利用者がどのようにサービスが受けられるのかイメージを持てない

 そこで、過去に利用された方を対象に話を聞いてみると、中古介護用品の購入は価格面でメリットはあるものの、「商品の性能が心配だった」「どこで何を購入すればよいか分からなかった」と感じられていた方が多く、あわせて、そもそもシェルパの買取・販売サービスを知らなかったという声もありました。

 また、訪問介護事業を行うシェルパは、これまで数多くの高齢者の方々を介護してきた実績に基づき、利用される方の身体状態やニーズに合わせた最適な提案ができるという強みがありました。そのため、利用者の中には購入ではなくレンタルをした方がお得になる場合もあり、その場合はレンタル事業者の紹介を行っていました。

 また、介護保険制度に関する知識も持っているので、介護認定区分に応じた保険適用や、介護保険制度利用申請などについてのアドバイスも可能でした。

「サービス+専門性」を無料ツールで利用促進

 そこで、ハイビズからは、無料ツール「LINE公式アカウント」を導入し、利用者とのコミュニケーション体制を強化、利用促進に取り組むことをアドバイスいたしました。

 購入希望者に対しては、最新の在庫状況や、購入に向けた悩み・疑問について気軽に連絡していただける体制を構築。さらに、中古介護用品の性能についても、購入後一定期間はメンテナンスフリー・全額返金保証という独自の商品保証制度をアピールし、安心してご利用いただけることを発信しました。

 一方、買取希望者に対しては、「LINE公式アカウント」を使った簡易査定により、買取希望者の「値段が付くのだろうか」という不安を取り除くことにつながり、以前より気軽に買取査定をしていただける体制が構築できました。

 また、利用促進策と合わせて、訪問介護事業者が中古介護用品の買取、再販事業を行うことに至った経緯や専門性を活かしたサービス展開にフォーカスして、広報戦略を打ち出していくこととしました。

売上は10倍に、新たな連携についても視野

 無料ツールを活かしたサービスの利点として、コロナ禍であることを踏まえた「非対面」というキーワードを取り入れ、マスメディア向けにプレスリリースを発信しました。

 すると、プレスリリースを見た地元新聞の取材の他、地元ラジオ局からも出演依頼が来るようになり、それまで月に数件だった問合せは一気に増加。毎日のように「車椅子を5年ほど大事に保管してきたが誰かの役に立つのだったら」といった買取査定依頼が寄せられるようになり、中古介護用品の買取・再販事業の売上は、短期間で10倍にまで成長しました。

 それだけではなく、報道を見た医療機関や福祉施設、ケアマネージャーからも「このような歩行器は取り扱っていないか?」といった中古介護用品の購入に関する問合せも多くなりました。

次の展開は買取エリアの拡大

 「取り組みの認知度が向上すれば、介護用品の購入、レンタルに次ぐ新たな選択肢として中古介護用品の流通につながる」と語る岡本さんは、すでに次の展開を検討しています。

 中古介護用品の買取・再販事業のさらなる成長に向け、専任の従業員を雇用し、中国地方全域へ買取エリアの拡大を目指しています。

 そのため、中古リサイクルショップと連携し、互いの専門性を活かした買取や再販につなげていきたいと考え、現在も岡本さんはハイビズに訪れています。

買い取った車椅子を再販に向けてメンテナンスを行う岡本代表

Hi-Bizは中小事業者の伴走支援を行います

 「東広島ビジネスサポートセンターHi-Biz(通称:ハイビズ)」は「お金をかけずに知恵やアイデアで売上アップに向けたサポート」を行う無料の経営相談所です。

 相談に来られる中小事業者、創業を目指す方との対話を通じて「いいとこ探し」を行い売上アップにつながる具体的な提案や実行のサポートをこれからもおこなっていきます。