経営者が社員と絵文字でやりとり 中小企業がSlackを使いこなすコツとは
テレワークだけでなく業務の効率化のためにもチャットツールを導入する企業が増えています。それでは、どのような使い方ができるのでしょうか。また、どのように始めれば良いのでしょうか?ビジネス向けのツールの一つである「Slack」を提供するSlack Japanの 佐々木聖治さんにオンラインインタビューしました。(構成・牧野佐千子)
テレワークだけでなく業務の効率化のためにもチャットツールを導入する企業が増えています。それでは、どのような使い方ができるのでしょうか。また、どのように始めれば良いのでしょうか?ビジネス向けのツールの一つである「Slack」を提供するSlack Japanの 佐々木聖治さんにオンラインインタビューしました。(構成・牧野佐千子)
Slackとは、チャンネルベースの企業向けメッセージプラットフォームです。人、データ、アプリをセキュアにつなげるプラットフォームで、2400以上の商用アプリを連携可能、カスタムアプリは70万以上です。
企業としては、世界17か所で活動しています。2500名以上いる従業員も、現在はSlack上で活動しています。
――Salesforceが2020年12月、Slack買収の最終契約の締結を発表しました。買収でSlackのサービス、使い勝手は変わるのかどうか、日本国内でのサービス体制はこれからどうかわりますか?
今回の買収は、Slackにとってすばらしい節目になりました。買収の完了に向けて手続きが行われているところです。『乞うご期待』と言わせていただきたいのですが、よりデジタルの世界でトランスフォーメーションのお手伝いができるようにしてきいたいと考えています。
――Slackを導入している国内の大手企業ではソフトバンクやYahoo!JAPANなどが知られています。Slackは、IT企業やスタートアップでの導入が多いというイメージがあります。それ以外の業種や中小企業での利用はいかがでしょうか?
Slackは2017年秋から日本語版を提供して、今年で4年目。業種を問わず、企業規模を問わず、様々な組織や企業の皆さんにお使いいただいています。広がりのスピードに私自身も驚いているところです。
創業133年の老舗『カクイチ』では、Slack導入で意思決定スピードが4倍に。社員に対して社長がメッセージを共有し、社員がコメントするなど、コミュニケーションの距離が近くなりました。コロナ禍でも業績が落ちない非常に良い成功例となっています。
――Slackをはじめ、各社のチャットツールは、生産性向上とともに語られることが多いようです。メールと違ってコミュニケーションはどう変わるのでしょうか?どのように働き方改革に役立ちますか?
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リモートワークの課題で、日本企業が抱えるものは大きく2点あり、仕事における帰属感と生産性となっています。メールに関しては、各自の意見がバラバラで断片的で、コミュニケーションが閉ざされており、会話のスピードが遅いのですが、それをSlackに置き換えればメッセージを顧客サポート、人事評価などサブジェクトごとに整理でき、生産性の向上につなげることができます。
メールを捌く時間の削減、情報の検索や、アプリケーションの切り替えなどの業務時間を削減できると考えると、1人当たり100万円に近い価値の創出が可能となります。
――チャットツールを導入しようとすると、なじみのない企業では社員同士でコミュニケーションをとっていると「何、遊んでるんだ!」と見られてしまうこともあります。いろんな年代がいる中小企業でチャットツールを使うには、導入前にどんなことから始めるべきですか?
必ず抑えるべき4つのポイントというのを用意しています。
Slackを主なツールにして、他のものを補助的に使うなどしていただいて、それぞれの職場でのルールを決めて使っていただければと考えています。
――アンバサダーですが、どういった人を選べばよいのでしょうか?
それはもう、どなたでも。ただ、忙しい課長さんなどだと、なかなかそういった事に時間が割けないことも。デジタルネイティブの若い人なら時間もかからず、なじんでいただけるので、若手の方をノミネートしてがんばっていただくのはおすすめです。
――チャットツールは組織のマネジメント、組織運営にどう影響するのでしょうか?
三重県のマスヤさんというおせんべいの会社では、組織拡大で経営層の管理統制型の限界に直面していたところ、Slackを導入し改善。武蔵精密工業さんでは、機密保持を重視するモノづくり企業の特有文化で、コロナ禍での迅速で安全なツールとして活用いただきています。
距離のみでなく、時間の差も縮めることができます。いつ何時でも現場の起こっていることが共有できるということです。
――現場が離れているところの課題を、共有できるのがおもしろいですね。
課題を共有できるだけでも、その先の業務への取り組み方が違う動きになってくると思います。
――経営層になると職場で気軽に社員と話すのも難しくなります。1on1で面談できると良いですが、会社規模によって難しいこともあります。経営層の考えていることを社員に伝えるのにチャットツールを使ってもよいのでしょうか?
経営陣のみなさまこそ、Slackなどで、社員に積極的にメッセージを発信していただくことをしていただきたいと思います。ソフトバンクの宮内社長は専用のチャンネルを設けて、社員さんから反応をもらえるようにしています。絵文字の反応も大変うれしいとおっしゃっています。
先ほどのカクイチさんの例でも社長のつぶやきチャンネルを設けて、日々つぶやかれていて、社員さんからもとてもたくさんのコメントが寄せられ、その反応を見るのが楽しくてしょうがないとおっしゃっています。こうした発信によって会社の中のカルチャーも変わっていく。社員さんが社長に意見を言いやすい環境ができてきているのかなと感じます。
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