陶磁器の産地、瀬戸市とは

 愛知県瀬戸市は、陶磁器の産地です。やきものの産地としての歴史は古く、約1000年前から途切れることなく、やきものの生産を続けています。今でも瀬戸市にある愛知県陶磁器工業協同組合(愛陶工)には陶磁器メーカーを中心に、約280社の企業が加盟しています。
 そんなやきものの産地に「アルミックス」はあります。サビ、腐食、高温に強いセラミックスでボルトや焼成用冶具、パイプなど様々な製品を作っています。

 「陶磁器の産地だからといっても、ファインセラミックスの製造には、あまり関係がないのです。陶磁器を作るには産地の土が大事です。ですが、ファインセラミックスの主原料は産地(瀬戸)以外からも購入できます」

 アルミックス社長の西口友二さんは開口一番、こう話します。では、なぜ、やきものの産地に工業的な製品が根付いたのでしょうか。

ファインセラミックス

 ファインセラミックスとは、陶器の原料でもあるセラミックスの化学組成や結晶構造などを精密に制御して製造し、新しい機能や特性を持たせたものです。京セラによると、ファインセラミックスが一般化したのは1970年代以降。1959年の創業当初から稲盛和夫氏から注目し「従来のセラミックスとは異なり、工業用部品として高い付加価値を有するもので、その価値は量で量るものでは無く、物性的にも構造的にもファインなもので無ければならない」と訴えてきたと説明しています。

ファインセラミックス製造業が集まるメリット

 陶磁器組合には、ファインセラミックス製品を製造する工場が約40社加盟しているセラミックス部会があり、西口社長の会社も加盟社の1社です。西口社長は48歳です。先代の健康上の理由に伴い、会社を継ぎ、瀬戸市でファインセラミックスの工場を経営しています。

 西口社長は記者の疑問にこう答えました。
 「瀬戸市には陶磁器組合があります。組合はセラミックス製品を製造する会社も情報交換の場となっています。社長同士が集まる場があり、情報のやり取りをしています。生の情報を交換できるメリットがあります。組合の関係での仕入れや販売も少なくないです」
 (陶磁器の)産地ながら、セラミックス製品を製造するメーカーが加盟しコミュニティを形成しています。言ってみれば、こうした陶磁器の産地としての土壌に成立したセラミックスという新しい芽といえます。

 「例えばこの会社はこういったものを作っているとか、また、この会社はこうしたものを得意にしている」と産地ならでは情報の共有ができ、そして住み分けができており自然な形の協業体制ができているといいます。

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