経営やマネジメントに関心

 石川樹脂工業は1947年に創業しました。多様な樹脂素材を使い、外食産業向けの食器や厨房用品、仏具や工業製品などを自社で成形、加工しています。

 そんな地方企業で新商品開発をリードするのが、専務の石川勤さん(36)です。父親の章さんが現在、代表取締役会長を務める家業で育ちましたが、東京大学工学部から外資系大手のP&Gというキャリアを歩みます。「両親からは家業について何かを言われることなく育ち、色々なものを見て経験したい気持ちがずっとありました」

 自分は世の中で何ができるのか、一人で生きていくために必要な知識や経験を身につけるにはどうすればいいのかを考え、経営やマネジメントへの関心を高めました。

P&Gで学んだ「小さな経営者」

 優れたマーケティング戦略で知られるP&Gでの仕事内容は、財務、会計、内部統制、コスト改善と多岐にわたりました。具体的には、工場の立て直し、家電のブランド戦略、国内の物流改善などを2、3年のサイクルで担い、そのすべてで「いち社員ではなく、小さな経営者」という姿勢で仕事を進めることを求められたといいます。

 「戦略を立てて、実行、改善していく。それをものすごいスピード感で行ううちに、経営戦略のプロとして鍛えられ、いまの自分を作り上げてくれた時間でした」。中でも刺激を受けたのは、シンガポールに赴任していた時の上司だといいます。「世界で戦うために必要なものは何かを考え続ける大切さを教えられました」

 それでも、CFO(最高財務責任者)の右腕まで上り詰めた一方、大企業ゆえに自分の意志決定が及ばなくなっていったことに葛藤が膨らんだといいます。

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