シェアオフィスに持ち込みもOK コロナ禍で存在感を増すテレキューブ
(最終更新:)
導入したそもそもの理由は、アウトバウンド(顧客への働きかけの強化)業務への対応や不足する会議室スペースを担保するため。それが、昨年の緊急事態宣言を機に増加したウェブ会議で、業務に不可欠な存在へと一躍躍り出たのがテレキューブでした。テレワーク解禁を機にオフィスを縮小し、移転先のシェアオフィスにまでテレキューブを持ち込んだというtoBeマーケティング。“働き方5.0”ともいわれる新時代、その存在価値を紐(ひも)解きました。(文:阿部志穂)
アウトバウンド拡大で会議室不足が顕著に
toBeマーケティングは、顧客のマーケティング成果を最大化するために、デジタルマーケティング戦略の策定支援やツール導入支援、ツール導入後の活用支援などを行っている会社です。マーケティングオートメーションの導入支援などを通じ、1400以上の会社で“マーケティング施策の伴走役”を担ってきました。
2015年に2名で創業した会社は年々成長を続け、いまや100人規模の組織に。ハイペースな採用でオフィスがみるみる手狭になるため、ほぼ年に1回のペースで拡張移転を繰り返してきたといいます。
まだ新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年、拡張移転したばかりの東京・新橋オフィスでは、すでに会議室が足りないという課題が発生していました。というのも、営業施策の一環としてアウトバウンド(顧客への電話発信業務)を強化したところ、通話業務に集中するために会議室を使用するメンバーが増えてしまったのです。そんな事態を解消するために、代表取締役CEOの小池智和氏が白羽の矢を立てたのがテレキューブでした。
「プレスリリースなどを見て、こういうものを導入すればアウトバウンド業務にも集中することができるだろうと直感しました。将来的に弊社であとどのくらい社員が増えるのか? 次はどのタイミングで移転するのか? といった不確定要素が多い中、会議室の増設にコストをかけるよりも納得感の高い選択肢のように感じられたのです」
ベンチャーにとって、コストが抑えられる月額制も魅力の一つでした。
「現在、いろいろなサブスクリプションモデルができていますが、こういったワークブースまでが月額制になっていたのは驚きました。加えて、設置がしやすくレイアウト変更時などに可動できることも大きい。今後の増設も容易という点で、当社に非常にフィットする製品だと感じました」
「集中できる」「使いやすい」と好評だったが……
テレキューブ導入当初、社内の利用ルールは「空いていれば使ってもいいよ」というゆるいものでした。ところが、一人で行う業務専用に作られていることもあって、利用してみると圧倒的に作業がしやすい、集中できると、社員から好評を博します。テレキューブ経験者の増加に比例して、その利用率も上昇。ほどなく予約制を採用することとなりました。
ところが、さっそく2台目、3台目の増設を……と検討する段階になって、新型コロナウイルス感染症が拡大しはじめます。
実はtoBeマーケティングは、それまでリモートワークを行っていませんでした。社員全員が出社して活気のある雰囲気の中で仕事をすることがモットー。経営層は、便利な場所にある広くて働きやすいオフィス、ワークエンゲージメントが高まるオフィス作りにこだわっていました。
「ですから“出社して仕事をするスタイル”を崩したくなかった。新型コロナウイルスの報道が盛んになって希望者の在宅勤務は徐々に認めるようになったものの、経営者仲間の会社が次々にテレワークに移行する中、我々は全社的な決断をできずにいたんです」(小池氏)
そんな中で発出された、1回目の緊急事態宣言。toBeマーケティングはこれまでの方針を一転し、4月以降一切の出社を禁止にします。
「ただ、緊急事態宣言下でもたくさんのお客様とのプロジェクトは進行していますし、ウェブ会議のアポイントメントもどんどん入ります。半ば強制的に始まったテレワークですが、始まった以上、一刻も早くその環境を整えなければなりません」
小池氏は、さっそく在宅でウェブ会議ができる環境を整えるための一時金を社員に一律支給。ここから、toBe マーケティングが5年かけて培ってきたチームワークが発揮されます。
社員各自が自宅などで業務に取り組む中、ビジネスチャットツールSlack(スラック)でのやりとりが活発化。「こういうことをしてみたら便利だった」「こういう使いやすいグッズがある」など、日々獲得したノウハウが共有され、瞬く間にナレッジとして蓄積されていきました。
また、これまで実施していなかった朝会、夕会も、オンライン上で自然発生的にスタート。入社したばかりのメンバーとのコミュニケーションも円滑になったといいます。
どんなオフィスになってもテレキューブはマスト
2カ月後。社員一丸となって創りあげた環境によって、100%テレワークでもこれまで通りのパフォーマンスが発揮できるまでになっていました。
「私が感じるテレワークのメリットは、移動時間がなくなること。その分、お客様に向き合う時間、作業にあてられる時間が増やせるので、1人あたりの生産性も上がるんです」と話すのは、坂本元気COO。「当社でも、以前よりむしろ業務効率が上がったという声を多く聞きますし、そもそもがデジタルマーケティング領域の会社なので、相性の良い働き方だったと思います」
そのため、緊急事態宣言の解除を受けて「今後の出社は自由」としても、オフィスで仕事をするメンバーが全体の1割にも満たない状況が続くように。この時点でメンバーにアンケートを実施すると「今後も、テレワークで質の高いサービスをお客様に提供できると思う」と答えた社員が9割。そして「出社する人がいないのなら、家賃コストを社員の教育や報酬面に振り向けてほしい」という意見も相当数見られたといいます。
それを受け、2020年11月、通算5回目となるオフィス移転を実施。
東急不動産が100%出資するビジネスエアポート恵比寿を選んだのは、それまで入居していたオフィスが東急不動産の物件だった関係もあってのこと。退居の相談をしたところ、転居先としての提案を受けたといいます。比較的早く居抜きで入居できるテナントが見つかったこともあり、内装工事などの必要なくすぐに入居できるのは魅力的でした。
ただしその規模は、定員わずか10名というスペース。これまで拡大路線を続けてきたtoBeマーケティングにとって、創業以来の大規模な縮小移転です。
解体して組み立てられる柔軟性にも驚き
「シェアオフィス移転に際して大変だったのは、必要なものを選ぶこと。オフィスにあるものすべてを把握したうえで、どれを捨てるのか、倉庫に入れるのかを判断し、本当に必要なものだけを新オフィスへ運ぶわけです」。今回のオフィス移転計画の責任者、役職の鈴木氏はそう振り返ります。
そんな中、数少ない“必ず持っていくもの”の筆頭にあげられたのがテレキューブでした。「おそらく、ブイキューブさんも想定していなかったと思いますが(笑)、どれだけオフィスが狭くなっても私たちにとってマストなもの。テレキューブはそこまでの存在になっていました」
ビジネスエアポート恵比寿とその入居先のビルへは、早い段階でテレキューブの持ち込みを打診。重量約352㎏、幅1200㎜×奥行1200㎜×高さ2315㎜という大きさなどビルセキュリティーの基準をクリアすると、鈴木氏は、オフィスレイアウトのプランニングもテレキューブを中心に行いました。
一方、受け入れ側のビジネスエアポートでは、このような案件を持ち込まれたのは初めてだったこともあり「まず驚いたのが正直なところ、その後、仕様をウェブなどで確認したときは本当に入るのだろうか……と心配にはなりました」と店舗責任者の堀川氏、菱村氏。
「ただ、一見大きなオフィス家具といった見た目ですが、想像以上に簡単に解体して組み直すことができるんですね」。toBe マーケティングのスムーズな移転の様子を目の当たりにした両氏は、その点にも驚いたといいます。
ビジネスエアポートを運営するライフ&ワークデザインの原口氏は、こうしたケースにも今後は前向きに対応していきたいと話します。「オフィス拡大が成長の証しとはいえないいま、縮小移転は逆にトレンドです。働き方の多様化に伴ってシェアオフィスにもいろいろな選択肢が出てきている。今回のようなご要望も、こちらでできることであればお応えし、最大限のスペース活用につなげていただきたいと考えています」
選択肢を広げるテレキューブの存在
100名の従業員がゆとりを持って働けるオフィスから、その1/10以下のスペースへと大胆な縮小移転を行ったtoBeマーケティング。
CEOである小池氏がシェアオフィスへ移転して感じている最大のメリットは、やはりコスト面。オフィス賃料で年間約1億円の削減。それを新規事業の開発や顧客開拓、社員の教育や採用に振り向けることができるのは、今後の成長戦略を描くうえでも会社としては非常に大きいと話します。
「また、場所の制約がなくなったことで、関東圏以外のお客様との商談が増えているのもうれしいですね。アポイントメントの数が増えすぎて、社員からは不満が出ているのも事実ですが(笑)」
現在借りているのは、定員5名の個室オフィスが2部屋。そのうちの1室にテレキューブも設置されています。業務の中心が明確にウェブ会議に移行した現在、一つの大部屋に社員が集まって業務に当たることは現実的ではないと小池氏。
「これからのワークスタイルで重要なのは、ウェブ会議を行う場所をいかに確保するかです。いま出社している社員は、アウトバウンドコールやウェブ会議の予定がたくさん入っているからテレキューブを使いたいという人がほとんど。席を確保するために出社も予約制になるほどで、テレキューブの存在価値はコロナ前より圧倒的に高まっています」
コロナ禍がまだ落ち着きを見せない中、オフィスの在り方は今後も多様な変化をしていく可能性があります。そんなときにフレキシブルに対応できるテレキューブの存在は、経営者にとって心強い存在になるでしょう。
「この先、出社する社員が増えたら、同じ規模の部屋を三つ、四つ増やすかもしれません。大きめの部屋を借りて、そこにテレキューブを2台、3台と追加する方法もありますね。テレキューブがあると、施工も発注も、オフィスの作り方から変わると思います。サブスクリプションで増やすことも減らすことも容易というモデルは、我々の選択肢を大きく広げてくれるのです」
テレキューブで「いつでも」「どこでも」働ける
テレキューブは、あらゆる場所に設置できる、スマートワークブース。内部にはテーブルとイス、Web会議が利用できるPCが設置されており、セキュリティーが保たれた静かな環境で、電話やWeb会議、業務に集中できます。
スチール製で防火性に十分配慮された仕様となっており、大掛かりな設置工事は必要ないので、従来の家具と同様の扱いでオフィスにも設置可能です。
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