機密性の高いプライベート空間「集中力が段違い」

 SMN社は、マーケティング・テクノロジー事業を展開するソニーグループの会社です。世界レベルの技術力をベースに機械学習・ビッグデータ高速処理、パーソナライズという三つのテクノロジーを軸にして、広告配信サービスを提供しています。

 きっかけとなったのは、やはりこのコロナ禍です。
 2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出されると、真っ先に困ったのがクライアントとの打ち合わせの場所だったと執行役員の谷本秀吉さんは振り返ります。「先方を訪問することもできず、自分のオフィスを使おうにも社の通達で出勤することができません。打ち合わせをするにも適当な場所が見つからず、『これは困ったぞ』と思ったときに、テレキューブの存在を思い出しました」

ネクスジェンデジタル代表取締役 兼 SMN執行役員・谷本秀吉氏(オンライン取材の画面より)。

 以前から気になっていた、クライアントが入るビルのエントランスに並ぶ電話ボックスのような箱。聞けば、スキマ時間を利用して仕事をするためのワークブースとのことでした。室内には椅子とテーブル、電源が設置されているので、入室してカバンからPCを取り出せばすぐに仕事に取りかかることができます。
 初めて話を聞いたときは「公共スペースのデッドゾーンにこういう場を設けるのは一つの手だな」と軽く興味を持つ程度だった谷本さん。緊急事態宣言が出て「今こそアレを使うときでは」と思い至ったといいます。

 「実際に使ってみたら、そこは高い遮音性を備えた完全なプライベート空間でした。私は子会社ネクスジェンデジタル株式会社の代表職も兼務しており、コンフィデンシャルな情報も扱います。打ち合わせや資料作成をカフェなどで行うことには、抵抗がありました。それが、テレキューブを使うと一瞬で安心安全の場に身をおける。そのありがたさ、利便性を肌身に感じました。視界が遮断されて外からも中の様子がわからないようになっていますし、発揮できる集中力が段違いです」

 それから、たびたびテレキューブを使うようになった谷本さん。用途として多いのは、やはりウェブを介した会議やクライアントとの打ち合わせです。その合間に行うデスクワークも、テレキューブ内では本当に集中して取り組めるといいます。

 「(1度目の)緊急事態宣言が解除された後は、ウェブ会議もあれば対面での打ち合わせもあるといった具合にミーティングのスタイルが流動化してきました。これにより、ますますテレキューブを利用する機会が増えています」。打ち合わせと打ち合わせの間に、訪問先の近くにあるテレキューブでウェブ会議をこなしたり作業をしたりするなど、以前ならいったん会社に戻っていた移動時間を仕事にあてているので、コロナ前より確実に生産性も上がっているというのです。

シェアオフィスとのすみ分けで柔軟なテレワークを実現

 2015年に東証マザーズへの上場を果たし、組織も業績も順調な成長を続けてきたSMN社では、新型コロナウイルスが拡大する前から、オフィススペースの不足が課題になっていました。そのため、2年ほど前からシェアオフィスや駅にあるワークスペースを利用するなど、試行錯誤を続けてきました。

 「いいところがあるよ!」。課題に取り組む人事総務部の石川玲子さんにテレキューブを提案したのは、他ならぬ谷本さんでした。

SMN人事総務部・石川玲子氏(オンライン取材の画面より)。

 緊急事態宣言の発出でオフィス拡張の機運はリセットされたものの、社内では「オンラインミーティングをどこでするのか」という新たな課題が生まれていました。もともと谷本さんがテレキューブの存在を思い出したのも、その解決策を模索していたからこそでした。

 谷本さんの話を聞いた石川さんは、「シェアオフィスも契約しているけれど、テレキューブを併用すれば、メンバーの自宅近くや客先の近隣などでもっと臨機応変な働き方を実現できる」と感じました。

 「それまで、シェアオフィスで機密性の高い空間を確保するためには、会議室を借りるしかありませんでした。シェアオフィスでもカフェでも、席の近くには誰かしらがいますから。そうすると時間あたりいくらという料金が別途かかり、経費がかさんでしまう。また、会議室を利用した各人が経費精算していたので、請求処理も煩雑でした」。こうしたバックオフィスで発生するさまざまな課題もテレキューブを法人契約したことで解消しました。

 メンバーからは「ウェブミーティングがとてもやりやすくなった」との声が多く届き、普段のデスクワークはシェアオフィスで、ウェブ会議や機密性の高い資料作りはテレキューブでといった使い分けも、自然にできるようになってきたそうです。

テレキューブの存在が推進した働き方への意識改革

 現在、SMN社でテレキューブを積極的に利用しているのは、やはり移動の多い営業職です。「こういった新しい施策は若い世代に刺さると思っていた私としては意外でしたが、経営層の利用も少なくありませんでした。上層部の人間ほど機密性の高い情報を扱うので、当然かもしれませんね」(石川さん)

 その経営層の一人で、当初は「ウェブ会議の場として1時間」という使い方が多かったという谷本さんは、いまやテレキューブに3、4時間滞在することも珍しくないといいます。「テレワークがスタートした頃は、カフェやカラオケボックスなど、仕事に適した場所を求めてさまよっていましたが、テレキューブはそもそも“仕事をする場”として作られた専用の空間。やはり、ここで仕事をしているとしっくりきてはかどります」

 ただ最近では、愛用者だからこそリクエストしたいこともいくつかあるといいます。「やはりWi-Fiはついていてほしいですし、作業用に拡張モニターが備えられているとうれしいです。HDMIケーブルをどうするかなど課題もあると思いますが……。また、現在ウェブサイトから予約をする仕組みになっていますが、外出先で利用するのであればアプリの方が圧倒的に便利なはず。アプリがほしいですね」

 こうした声を受けて、テレキューブを提供するテレキューブサービス社では、2021年中の早いタイミングでWi-Fiを実装すべく準備を進めており、その他についてもリクエストが多く寄せられていることから、検討中とのこと。ますます便利にテレキューブが利用できるようになりそうです。

 実は新型コロナウイルスが広まる前まで、「仕事は会社に出勤してみんなで顔を合わせて行うもの」、「定時までオフィスで仕事をして、直行直帰なんてもってのほか」と考えていたという谷本さん。初めてテレキューブを知ったとき、正直なところ「いったいこれの何が良いのかわからない」というのが本音だったそうです。

 「でも、こうして時代の転換点が来て実際にテレキューブを利用してみると、自分の中にあった働き方のルールや常識、慣習などがリセットされました。大げさなようですが、テレキューブで仕事をする経験が自分にとっての働き方改革になりました」
 ポストコロナの時代になっても、テレワークは継続するというSMN社。時間の有効活用につながり、かつ生産性を高めることができるテレキューブの利用を、今後も推奨していく予定です。

テレキューブで「いつでも」「どこでも」働ける

テレキューブは、あらゆる場所に設置できる、スマートワークブース。内部にはテーブルとイス、Web会議が利用できるPCが設置されており、セキュリティが保たれた静かな環境で、電話やWeb会議や業務に集中できます。
スチール製で防火性に十分配慮された仕様となっており、大掛かりな設置工事は必要ないので、従来の家具と同様の扱いでオフィスにも設置可能です。