無借金経営はよい財務体質か 中小企業が恒常的に利益を伸ばす9のヒント
会社経営で資金繰りに余裕があり財務が健全であることは、企業が力強く永続するための必須事項です。それでは常に良好な財務体質を構築するには経営者は何をなすべきなのでしょうか?筆者がコンサルタントとして関わった事例をもとに解説します。
会社経営で資金繰りに余裕があり財務が健全であることは、企業が力強く永続するための必須事項です。それでは常に良好な財務体質を構築するには経営者は何をなすべきなのでしょうか?筆者がコンサルタントとして関わった事例をもとに解説します。
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才能を遺憾なく発揮し、社名や社長本人も名を馳せ、都心に事務所を構える創業9年で年商3億円のA社がありました。あるとき、その会社の経理マネージャーをしている知人から相談を受けました。
「社長自身仕事はできる人なのですが会社の財務状況自体は、思うように好循環しておらず一日も早く良くして欲しい」との内容です。
私がコンサルをしている複数の会社で融資実績のある金融機関を即座に紹介し、当座は事なきを得ました。しかし、財務体質が悪いことには変わりありません。
そのうえで、「なぜそうなってしまっているのか?」「何をどうすれば安心経営が出来るのか?」を一緒に考えることにしました。
その会社は、当月分を中心に支出と収入、その結果としての現金残高チャートを管理しているエクセルがありました。それはそのまま存続させつつ、まずは3か月先のキャッシュフローチャートを作成しました。
企業はキャッシュフローチャートを作成し、現金の推移を直視していき、今後経営に役立てます。しかし、中小企業の経営者のなかには、会計や経理を税理士や担当者に任せきりにしてしまい、自分自身はキャッシュフローチャートだけではなく決算書も解析できないという方も少なくありません。
しかし、「今後この会社はやっていけるのか?」「このまま資金繰りで困ることはないのか?」など、近い将来の財務状態が気になって仕方ない経営者の方が多いのではないでしょうか。
それだからこそ不安を払拭し、近い将来の現金の流れを掌握していくキャッシュフローチャートが必要なのです。キャッシュフローチャートがあればどの月に余裕がありどの月で資金ショートや少額現金残が発生するのかが明確になります。
A社の場合、私がコンサルとして関わった時点での借入残高は出資者からの借入が340万円、日本政策金融公庫からが590万円だけでした。それ以外の金融機関等からの借入金は0円です。
それは前の財務担当役員が、金融機関からの借入に消極的で、今のお金の使い方・経費を制御し、借入を行わず、兎に角にも関連支出を抑えることのみを強調していたそうです。
いわゆる自転車操業的に会社を回していました。無借金経営も、もちろんありで、それも素晴らしいことです。しかし、自分の在任中は汚点を残せないとの思いがあったようで、会社の発展・社長自身の才能を発揮し、素晴らしい仕事が増えていくという最優先課題よりも会社の財務状況をこれ以上悪くしない方に力点が置かれていました。
確かに一般的に売上を今のままを維持することを前提に考えると、経費をできるだけ抑え、やり繰りをしていくとの強い意志を持つことは大切かもしれません。しかし、財務体質を強くするには、無駄な経費・過分の外注費を使わない事と同時に、売上を伸ばし、利益率を改善する必要があります。
優れた財務体質企業になるための具体的なヒントとして、筆者が考える方法を9項目挙げます。9項目をどのように実践すれば良いかを考えることが、恒常的に利益を生み出す原動力となります。
もちろん単価を上げることは簡単ではありません。競合他社との差別化あるいは唯一無二のビジネスモデルを構築しなくてはなりません。ブルーオーシャンを見つけ出す必要があります。
A社では社長自身がクリエーターとして他を圧倒する個性とパフォーマンスを有してはいたもののその高価値が報酬価格には反映していませんでした。1社1社クライアントの検証を実施し、まずはクリエーターが2、3年前と比して手掛ける作品の社会的価値がかなり高度になっていることをクリエーター自身が自覚することから始めました。
プロデューサーの見積提出時に今まで積算していた1日人工を1.3~1.5倍に設定しました。1つ1つの案件でコツコツ0.3~0.5の上積みをし、それがそのまま純利益に直結、余裕のあるキャッシュフローが構築されつつあります。
「深耕」とは、今までの顧客を総ざらいし今後さらに受注量を増やすための売り込み・営業活動を徹底的に実行することを指します。また、「探索」とは、現在また将来において社会や顧客のニーズを的確に分析しそのニーズに応えるための自社ビジネスモデルを適宜開発し、新規受注の拡大を図ることを指します。
A社社内No.2の女性アートディレクターと新進気鋭の若き男性プロデューサーそして副社長の私とともにプロジェクトを立上げ、毎週木曜日朝9~10時に定例プロジェクト会議を行い疎遠になっていたクライアントでこのプロジェクトコンセプトにエンゲージメントが上手くいきそうな企業に向けDMを発信、面談アポの取れたところに訪問営業をかけました。
著しい成果はこれからですが、以前お付き合いのあった某有名芸能プロダクションからの依頼で数年後日本武道館コンサートを目標にしている大変有望な女性3人グループの総合的なアートディレクションを行うこととなりました。これは社会的にも価値のある大きな仕事となることと期待しています。
社長自身も才能を開花させ社会評価を高めるために映画監督としての新規分野へ挑戦し徐々に実績を残しています。
もともと日本政策金融公庫以外の金融機関との融資取引はなかったのですが、地元の信用金庫、地銀に新たに口座を開設し融資チャンネルを増やし資金繰りが円滑になりました。前段にあるように企業価値を高め、将来に渡り活躍が期待出来るとの金融機関評価をもらえました。
マスメディア・SNSへの露出を増やし、社会から受け入れられ、会社または社長自身の知名度を上げることも必要です。そのために社内外問わず専門家によるプロジェクトを作り展開しています。
社会価値評価を高めるために電波・紙媒体への露出拡散のために専門家(出演交渉などのプロ)とも契約しテレビ出演など複数現在進行しています。
子会社KT社を東京応援コンセプト企業として拡散する運動をA社と社長個人が三位一体となり展開しており、大手企業T社、Sストリーム、S区観光協会のご協力のもとSリバーストリートのロゴオブジェベンチを設置し、製作費用420万円をクラウドファンディングにより多数の方々に支援いただき、シナジー効果として社会認知を向上させました。
常に顧客にとって好結果を出し、それをひたすら積み重ねていきましょう。10打数10安打の強い意志を持ち社員全員が仕事に向き合い、最初は数十万円の小規模仕事でも顧客に喜ばれる実績をコツコツと積み重ね、その結果顧客の基幹となる数千万円以上の大規模PR事業の受注へとつながっています。
優れた仕事をする一流企業・一流の個人と仕事をし、その仕事そのものを実績財産としましょう。
通常なかなか掴めないチャンスではありますが、会社や社長が有名になる事で一流企業・一流の個人からも仕事がどんどん来ていてそこで積む経験も今後に繋がる大きな財産になっています。
社員・協力関係者(内製と外注)の業務パフォーマンスを向上させる方法を身につけるよう心がけましょう。
パフォーマンスとクオリティーと費用のバランスチェックを適宜実施する。1on1ミーティングなどで社員の潜在能力を引き出す「適材適所」も大切です。
3条件とは次の通りです。どれが欠けてもうまくいきません。
月次財務諸表・月次キャッシュフローチャートの作成、財務担当者の設置、役員など重要ポストへの財務状況を共有しましょう。クリエイティブ業界に特化した内容ではありますが、他業界にも汎用できるので参考になればうれしい限りです。
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