営業活動とは何か 成果を上げるための基本的な流れと支援ツール3つを紹介
「営業」は会社に売り上げをもたらし、会社の存続に必要なお金の源泉となります。一方、日本の中小企業には、「営業」になんとなく苦手意識があったり、人材が足りていない状況があったりするものでしょう。営業活動とは何か、営業活動の具体的なやり方や役立つツールなどを説明します。
「営業」は会社に売り上げをもたらし、会社の存続に必要なお金の源泉となります。一方、日本の中小企業には、「営業」になんとなく苦手意識があったり、人材が足りていない状況があったりするものでしょう。営業活動とは何か、営業活動の具体的なやり方や役立つツールなどを説明します。
目次
営業活動とは、会社に売り上げをもたらす一切の活動のことです。
一般的に、営業力が弱い会社とは、サッカーに例えると、確実に点が取れるストライカーが存在していないチームのようなものだと言っていいでしょう。
サッカー同様、いくらディフェンスが強くても、得点出来なければ試合に勝つことはできません。勝つためには、点が取れるストライカーが絶対に必要です。
では、営業活動とは具体的に何をするのでしょうか。筆者は営業のやり方を「インバウンド営業」と「アウトバウンド営業」の二つに分けて考えています。
「インバウンド営業」とは、何らかの形で顧客や見込み客の方から自社の方にコンタクトしてもらい、商談化させる営業方法です。
一般的には、各種のメディアやインターネットなどを使って広告を出し、電話やメールなどでのコンタクトを促します。
S社はノベルティーグッズの商社です。同社はインターネットのワードリスティング広告(検索キーワードに合わせて広告メッセージを表示する広告)を使って集客しています。
「ノベルティー」「名入れ」などの広告メッセージを見た見込み客から電話やメールで問い合わせが入ると、営業担当者が電話か訪問してヒアリングし、商談化しています。
同社の営業活動は、典型的な「インバウンド営業」です。
一方、「アウトバウンド営業」はその逆です。「アウトバウンド営業」は通常、こちらから顧客や見込み客へアプローチしてニーズなどをヒアリングし、商談化します。
通常は、紙やEメールによるダイレクトメール、テレマーケティングなどを使ってアプローチします。
T社は外構工事用特殊塗料のメーカーです。同社は、全国の設計事務所へ定期的に送るダイレクトメールを使って自社製品をアピールし、商談化しています。
ダイレクトメールに掲載された同社の広告を見て、関心を持った人が同社へ返送ハガキか電話で問い合わせをすると、同社から製品サンプルが送られてくる仕組みです。
なお、多くの営業現場では通常、「インバウンド営業」と「アウトバウンド営業」が完全に切り分けられることはなく、併用されています。
一般的に営業力の強い会社は、商材の特性に合わせて「インバウンド営業」と「アウトバウンド営業」を使い分けています。
では、実際に営業活動をどのように行うべきでしょうか。筆者は、業種や業態を問わず、以下のプロセスを経ることをお勧めしています。
なお、このプロセスは、新規に顧客を獲得するという前提に立っています。
営業活動の最初のステップは、販売する製品・サービスを明確にすることです。
信じられないかもしれませんが、この最初のステップができていないケースが少なくないのです。飲食店に例えるなら、最初にメニューを決めてから営業することと同じです。
しかし、企業では販売する「メニュー」なしに営業してしまうケースが多く見られます。まずは何を販売するのかを明確にしてください。
次のステップはターゲットを明確にすることです。
ここでのポイントは、ターゲットはできるだけ細かく設定することです。
B2B(法人向け)商材であれば具体的な社名や対象エリア、B2C(消費者向け)商材であれば性別、年齢、居住地域、職業など、具体的に設定します(これを「ペルソナ」と呼びます)。
なお、ターゲットは複数あっても構いません。
次のステップはメッセージです。設定されたターゲットに対するメッセージを具体的に決めます。
メッセージには、製品・サービスの概要を記すだけでなく、顧客にとって何がメリットであるのかを記す必要があります。
また、「お問い合わせ」「資料請求」「サンプル請求」などの、ターゲットがアクションを起こすための手段を必ず付けて下さい。
次のステップはターゲットへのアプローチ方法を決めることです。
テレビや新聞などのメディア、インターネット、ソーシャルメディア、ダイレクトメール、テレマーケティング等々、予算とスケジュールに合わせて最適なアプローチ方法を考えましょう。
なお、アプローチ方法については、可能であれば複数用意し、結果を比較できるようにしてください。
アプローチを開始し、顧客・見込み客から反応があれば、対話を開始します。
顧客の声を聞き、ニーズなどをヒアリングし、それに対するベストなソルーションを提供してください。
単なる問い合わせの場合でも、どのような問い合わせであったのかという情報を残しましょう。
見積もりやサンプルの依頼などについては、出来るだけ迅速に対応するのが大切です。また、それらに関する情報もすべて残してください。
商材にもよりますが、一般的に専門性の高いB2B商材ほど、商談開始からクロージング(商談成立)までに時間と手間がかかります。その場合、顧客との対話が切れないように関係維持に努力してください。
顧客との関係を維持し、強化し、クロージングすることが営業活動の究極の目標です。
商材によっては、簡単には売れないものも少なくないでしょう。また、ターゲットにアプローチをしてみても、反応がさっぱり返ってこないといったケースも多いでしょう。
その場合は、最初のステップ「販売する製品・サービスを明確にする」からやり直します。それでも反応がない場合も、さらにこのステップからやり直してください。
営業活動のプロセスを繰り返し、PDCA(Plan Do Check Action)サイクルを繰り返すことで営業活動の精度を高めることが可能になります。
結果がなかなかでなくても決してあきらめず、努力を続けてみましょう。
顧客との対話を開始し、関係性を維持・強化する上で必須の営業支援ツールがあります。それはCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)ソフトです。
なお、営業支援ツールではCRMとは別にSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)ソフトもあります。
SFAソフトは、どちらかというと営業マンのスケジュール管理や営業日報作成機能などの営業マンの活動を支援する機能や、各商談を見える化する機能が強いです。
ゼロベースで営業し、顧客との関係を構築しながらクロージングするというプロセスにおいては、CRMの方が適しているでしょう。
なお、CRMとSFAとは競合する関係ではなく、お互いを補完し合う関係にあります。CRMソフトの多くが、SFA機能も同時に提供しています。
CRMソフトを使えば顧客との対話から得られた顧客の情報、問い合わせの内容、商談の状況、クロージングの可能性などの情報を、すべて全社で共有することが可能になります。
一般的なCRMソフトでは顧客データベース、企業データベース、スケジュール管理、コミュニケーションツールなどが利用でき、営業効率を大きく高めることが可能です。
また、多くのCRMソフトはパソコン以外にスマートフォンやタブレット端末からもアクセスできるので、在宅ワークやリモートワークにも対応可能です。
以下に筆者お勧めのCRMソフトをご紹介します。なお、サービスの内容は、2021年2月時点でのものです。
世界中の多くの企業が使っているCRM。他社製品にくらべ、比較的導入しやすいとされています。ソーシャルメディアとも連携でき、使い方も簡単です。サポートもしっかりしています。
ECやウェブサイトをベースにしたCRMを導入するのであればHubspotがおすすめです。メールやアクセスなどのトラッキングができるので、ネットを使ったインバウンド営業に打ってつけです。最小限の機能だけ使うのであれば無料で使えます。
言わずと知れたCRMソフトのリーディングソフトです。CRMのみならず、SFAの機能も同時に利用できます。カスタマイズや、各種の外部システムとの連携もできるので、CRMを極めるのであればお勧めです。ただし、利用料金はやや高めです。
以上のCRMソフト以外にも多くのCRMソフトが存在していますので、利用したい機能や目的、予算などを見ながら自社にマッチするものを選んで下さい。
なお、CRMソフトの基本や導入のポイントについては、別の記事「顧客管理とは?CRMソフト導入のポイントは?経営者のための基本」に詳しく書いてありますので、ぜひご覧になってみてください。
以上、営業活動とその具体的なやり方、おすすめの営業支援ツールなどにつき説明させていただきました。
営業活動を展開する上での最大のポイントは「あきらめないこと」です。
特に社内に新たに営業チームを組織し、ゼロベースで営業活動を開始するといった場合は、なかなか結果が出ないケースが少なくないでしょう。
しかし、最初は結果が出なくても、小さな勝利を積み重ねることで結果を出すことが出来ます。決してあきらめず、努力を続けてみましょう。
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