格安チェーンに押されて中途半端に

――安東さんは1996年、新卒でビジョンメガネに入社し、早くから店長や本社の教育担当を経験されました。

 入社半年で店長となり、その後、本社で社員教育の担当を務めました。接客だけでなく、目の構造や視力の計算などの座学も勉強しました。早くから店長や教育担当を経験したことで、自身の成長につながりました。

 入社当初は今のような低価格のメガネチェーンはなく、2万~3万円の商品でも購入していただけました。でも、2000年代に入ると、格安チェーンの拡大で、5千円程度でメガネが買えるようになり、価格では勝てないようになりました。モノだけでなく、知識や技術で差別化しないといけないということは、社長になる前から考えていました。

 ビジョンメガネでもレンズ込みのロープライスのメガネをそろえたこともありました。単価を安くすれば一定の販売個数が必要となり、人が集まる場所への出店や、広告宣伝が欠かせません。しかし、当時の店舗は街の中心部にあったわけではなく、中途半端な戦略になってしまいました。

安東さんの入社当時のプロフィル。質問は①出身校、②生年月日、③血液型、④出身地、⑤あなたを動物に例えたら、⑥好きな言葉、⑦特技

「あみだくじ」で覚悟を決めた

――ビジョンメガネは経営が悪化して2009年に上場を廃止し、2011年に安東さんが39歳で社長に就任しました。もともと自分が指名される予感はあったのでしょうか。

 いえ、まったくありませんでした。当時は会社が傾く中で創業者が経営から退き、何人も社長が交代している状況ではありましたが、「まさか自分に・・・」というのが正直なところでした。

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