2021年4月1日から変わること一覧 制度変更や法律の改正をチェック
4月の新年度から70歳までの働く場の確保が企業の努力義務になり、同一労働同一賃金は中小企業でも義務化されます。消費税の「総額表示」の義務化も始まりました。中小企業を取り巻く制度や法律はこれからどのように変わるのか。これを機会に確認してみてください。
4月の新年度から70歳までの働く場の確保が企業の努力義務になり、同一労働同一賃金は中小企業でも義務化されます。消費税の「総額表示」の義務化も始まりました。中小企業を取り巻く制度や法律はこれからどのように変わるのか。これを機会に確認してみてください。
目次
2021年4月から施行される改正高年齢者雇用安定法とは、70歳まで働ける機会の確保を企業の努力義務とする内容です。事業所の規模にかかわらず、毎年6月1日時点の高年齢者の雇用状況を毎年7月15日までに国に報告する義務があります。法律違反をしても罰則はありませんが、ハローワークから指導される場合があります。
パートタイム・有期雇用労働法によって策定された「同一労働同一賃金ガイドライン」は、2021年4月1日から中小企業にも適用されます。
同じ職場で同じ仕事をしている正社員と、非正規雇用労働者は、その待遇と賃金を同じにすべきという考え方です。賃金だけでなく、通勤交通費や住宅手当などの諸手当や、休暇などといった待遇面でも不合理な格差を無くすことがポイントです。
消費者向けの値札や広告などで、商品やサービスの価格を表示する場合には消費税を含めた「総額表示」が2021年4月1日から義務づけられました。
総額表示の義務づけは、消費者に対して、価格を表示するときのものです。そのため、製造業者や卸売業者が、小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログ、見積書、契約書、請求書など事業者間での取引は対象外です。
4月だけでなく、2021年1~3月にも知っておきたい法改正や制度の変更があります。
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小学校に通う前の子どもや、要介護の家族がいる場合、仕事中でも急な呼び出しを受ける場合があります。
これまでは半日または1日単位でしか、子どもの看護休暇や介護休暇をとれなかったのですが、2021年1月1日からは育児・介護休業法施行規則が改正され、時間単位で取得できるようになりました。
これまでは1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は対象外でしたが、ほぼすべての労働者が対象になっていますので注意が必要です。対象から外すことができるのは、下記の労働者で、労使協定で認められた場合のみです。
また、休暇の取得は、原則「中抜け」なしの時間単位ですが、中抜けありも含め、弾力的な利用が可能となるように事業主が配慮することが求められています。
2021年3月1日から法定雇用率が2.3%に引き上がるため、対象となる事業主の範囲が従業員43.5人以上に広がりました。
労働者派遣法の改正で、2021年1月と4月に変わる6つのポイントを紹介します。まずは、2021年1月の改正内容は次の4つです。
まず、派遣会社が派遣労働者を雇い入れるときに、教育訓練や希望者に対するキャリアコンサルティングについて説明を義務付けました。
次に、これまで書面で作らなければならなかった労働者派遣契約について、パソコンへの保存など電磁的記録でも良いと認められました。
さらに、派遣労働者からの苦情の処理について、派遣先が誠実かつ主体的に対応すべきだと明記されました。
最後に、日雇派遣での解除にも休業手当の支払を厳格化することが明らかにされました。
4月の改正内容は2つです。まず、派遣会社は、雇用安定措置についてて、派遣社員の希望する内容を聴取しなければならなくなりました。さらに、聴取結果を事業所ごとに作成が義務付けられた派遣元管理台帳に記載しなければならなくなりました。
マージン率など派遣会社に情報提供義務があるすべての情報について、インターネットなど適切な方法で情報提供しなければならなくなりました。
会社法がおよそ5年ぶりに改正され、2021年3月1日から施行されました。改正内容は多岐にわたりますが、法務省のパンフレット「会社法が改正されます」(PDF方式:1.19MB)によると、おもなポイントは次の通りです。
さらに、2022年には、株主総会資料を自社サイトに掲載し、株主総会資料を提供することができる制度(株主総会資料の電子提供制度)も設けられます。
2022年からも重要な法改正が続きます。中小企業に関係する主なものを紹介します。
公益通報者保護法の改正が2022年の6月までに施行される予定です。消費者庁の公式サイトによると、大企業に対し、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備を義務付ける内容で、従業員数300人以下の中小企業などは努力義務となっています。具体的内容は指針が作られる予定です。
雇用保険法が改正され、2022年1月から65歳以上の副業者について、労働時間を合算して週20時間以上の場合は雇用保険の被保険者となります。
職場のパワーハラスメント対策が法律で定められ、パワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務になりました。中小企業は当初、努力義務でしたが、2022年4月1日から対応しなければならなくなります。
女性活躍推進法の改正で、自社の女性活躍に向けた行動計画や情報の公表を義務づけられる企業は、これまで常時雇用する労働者が301人以上でしたが、2022年4月からは101人以上まで広がります。
法律改正で、パート・アルバイト短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用が2022年10月から広がります。日本年金機構のサイトによると、次の通りです。
対象となる事業所は、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時500人から常時100人を超える事業所へとなります。さらに対象も雇用期間が1年以上見込まれる短時間労働者から2か月以上見込まれることとなります。
2024年には対象となる事業所が常時50人を超える事業所となりますので注意してください。
厚労省によると、改正労働基準法は、1カ月60時間を超えて時間外労働をさせた場合、法定割増賃金率を5割以上の率に引き上げることを定めています。中小企業はこれまで猶予が認められていましたが、2023年4月からはこの猶予が廃止されます。
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