2024年から変わること 時間外労働の上限規制・社会保険の適用範囲拡大
2024年(令和6年)は、いわゆる「2024年問題」に関連する時間外労働の上限規制が始まるなど働き方改革により様々な制度変更があります。また、社会保険の適用範囲拡大にも注意が必要です。そのほか中小企業が把握しておきたい2024年の制度変更などをまとめました。
2024年(令和6年)は、いわゆる「2024年問題」に関連する時間外労働の上限規制が始まるなど働き方改革により様々な制度変更があります。また、社会保険の適用範囲拡大にも注意が必要です。そのほか中小企業が把握しておきたい2024年の制度変更などをまとめました。
目次
電子帳簿保存法(電帳法)とは、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律です。2年間の宥恕措置期間が2023年12月31日で廃止となり、電子取引データ保存の義務化がいよいよ2024年1月からスタートします。
国税庁によると、申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある事業者が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合は、書面ではなく、その電子データを保存しなければなりません。
NTT東日本とNTT西日本は2024年1月から固定電話のIP網へ段階的に移行し、距離や時間帯に応じて料金体系が異なっていた通話料金が、全国・全時間帯一律となります。固定電話から固定電話へは3分で9.35円です。
また、多くの通話料金割引サービスが終了します。
労働安全衛生規則が改正され、テールゲートリフターの操作に係る特別教育が2024年2月から義務付けられます。
テールゲートリフターの操作者に対し、学科教育4時間、実技教育2時間の安全衛生に係る特別の教育を行うことが必要になります。
2024年3月1日から、改正戸籍法が施行され、戸籍謄本等の広域交付ができるようになりました。戸籍届出時における戸籍証明書等の添付負担も軽減されます。
日本郵便は2024年3月1日からすべての国・地域で「通関電子データ」の送信を必須とし、宛先が手書きの国際郵便物を引き受けないと発表しました。
通関電子データ送信の義務化とは、国際スピード郵便(EMS)や国際小包、通常郵便物などを送る場合、差出人の住所・氏名・内容品などの情報を電子化した「通関電子データ」を各国の郵便事業体に送ることを義務づけるものです。
2024年度税制改正大綱は、交際費課税の特例の適用期限を3年延長し、経費として認められる1人あたり5000円以下の飲食費を1万円以下まで拡充する方針を明記しました。2024年4月1日以後に適用予定です。
働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されています。物流業・建設業・医師など一部の業種では上限規制が猶予されてきましたが、2024年4月からは上限規制が設けられてきました。
トラック・タクシー・ハイヤー・バスなどの自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間、休息時間の基準を定めている「改善基準告示」が2024年4月1日から改正されました。
企業が従業員の給与を増やせば、法人税から一定額を差し引ける賃上げ促進税制は、国会での法案成立後、2024年4月から拡充・延長される予定です。
厚労省の公式サイトなどによると、石綿障害予防規則の一部が改正され、石綿の切断の作業などで、湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うことが義務付けられます。
使用者から労働者に対する労働条件明示のルールが、2024年4月から変わります。労使間の認識のズレや、有期雇用者の無期転換をめぐるトラブルを未然に防ぐ目的で、現在使用者側に義務付けられている明示事項に新たに4項目が追加されます。
厚労省の公式サイトによると、化学物質による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則等の一部が改正され、2023年4月と2024年4月にそれぞれ施行されます。
改正建築物省エネ法により、2024年4月から、新しい「建築物の省エネ性能表示制度」が始まります。
国土交通省によると、建築物の販売・賃貸を行う事業者は、新築建築物の販売・賃貸時に、定められたラベルで省エネ性能を表示することが努力義務となります。
厚生労働省によると、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則等の改正により、2024年4月から障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。現行、民間企業での障害者の法定雇用率は2.3%とされていますが、2024年4月より2.5%、2026年7月より2.7%へ段階的に引き上げられます。
また、障害者差別解消法が改正され、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されます。
狭隘な建築現場で使用される一側足場からの墜落・転落災害が発生しているため、2024年4月から、本足場を使用できる幅が1m以上の場所では、本足場の使用が義務付けられます。
ただし、つり足場を使用するとき、または障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは、この限りではありません。
相続登記の義務化とは、相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になるという制度のことです。これまで相続登記は任意でしたが、2024年4月1日からは義務となります。
商標のコンセント制度とは、特許庁によると、先行登録商標と同一または類似する商標でも、先行登録商標権者の同意(コンセント)があれば後行の商標の併存登録を認める制度のことです。不正競争防止法の改正で、コンセント制度が導入されることになり、コンセント制度に関する改正商標法の規定は、2024年4月1日から施行されます。
2024年4月1日、労働基準法の施行規則などの改正が施行され、裁量労働制の導入や継続に新たな手続きが必要となりました。専門業務型と企画業務型の裁量労働制の両方に影響します。
公正取引委員会は2024年5月、下請法上の買いたたきの解釈・考え方が明確になるよう、下請法運用基準を改正しました。
二地域居住の促進を通じて、地方への人の流れを創出・拡大するための「改正広域的地域活性化基盤整備法」が2024年5月に成立しました。公布から6ヵ月以内に施行する予定です。
たとえば、都道府県が二地域居住に関係する「広域的地域活性化基盤整備計画」をつくったとき、市町村が二地域居住の促進に向けた具体的な施策が盛り込む「特定居住促進計画」を作成できるようになります。
国土交通省はトラックの標準的運賃について、運賃水準を8%引き上げる新たな運賃を告示し、2024年6月1日から施行します。燃料高騰分や高速道路料金なども含めて適正に転嫁できるよう、運賃水準の引上げ幅を提示したものとなっています。
国土交通省の公式サイトによると、2021年に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受け、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)が施行されました。さらに、資源有効利用促進法省令が改正され、建設発生土が適切に利用・処分されるよう、搬出先の盛土規制法の許可等の確認や搬出後の土砂受領書等の確認が義務づけられています。
さらに2024年6月からは、ストックヤードに搬出した場合も最終搬出先まで確認を行うことが義務づけられます。
国立印刷局によると、2024年7月前半を目途に、1万円、5000円、1000円の3券種を改刷する予定です。
表面に描かれる肖像画は1万円札が「日本の資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一、5000円札が津田塾大学を創設した津田梅子、1000円札が血清療法を確立した北里柴三郎となります。
中小企業庁は2024年6月末でコロナセーフティネット保証4号とコロナ借換保証を原則終了させる一方、コロナ禍の影響が続いている事業者への再生支援にシフトするため、コロナ経営改善サポート保証やコロナ資本性劣後ローンは、2024年12月末まで延長します。
2024年10月、社会保険の適用対象がさらに拡大されます。2024年10月以降は、企業の規模要件が常時100人超から常時50人超に変わります。
これまで社会保険の適用外となる働き方をしていたパートタイマーも、改正により新たな加入対象となり得るため、企業と従業員双方に大きな影響が予想されます。
2024年10月1日施行の商業登記規則等の一部を改正する省令により、これまで会社登記簿謄本(登記事項証明書)などで公開されていた代表取締役の住所を非公開できる制度「代表取締役等住所非表示措置」が始まります。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)で、節税を目的として、短期間で脱退・再加入を繰り返す事例が増えているため、令和6年度(2024年度)税制改正大綱で、2024年10月から共済契約を解約し、再度契約を締結すると、解約日から2年間は損金算入ができなくする方針が示されました。
自動車技術総合機構の特設サイトによると、OBD検査は、自動運転技術等の電子装置に搭載された自己診断機能である車載式故障診断装置(OBD)を利用した新たな自動車検査手法です。
2024年10月以降、車検時に車検証の備考欄に「OBD検査対象」などの記載がある車両については、通常の検査項目に加えてOBD検査を実施する必要があります。
中小企業庁と公正取引委員会は2022年、サイトが60日を超える手形で下請け代金を支払っている発注元の約5000社に対し、できるだけ早く手形サイトを60日以内に短縮するよう要請しました。
さらに2024年11月には、サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提に、下請法の運用を見直します。
2024年11月1日から、フリーランス(特定受託事業者)も、労災保険に特別加入できるようになります。
トランシーバーやインカムなど一部の周波数を用いるアナログ簡易無線機が、2024年12月から使用できなくなります。12月以降、使い続けると電波法違反で処罰されるおそれがあります。
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