目次

  1. OBDとは
  2. OBD点検とは
  3. OBD点検が必要な理由
  4. OBD点検とOBD検査の違い
  5. 2021年10月から追加される検査手数料
    1. 継続検査の場合
    2. 新規検査の場合

 国土交通省によると、車載式故障診断装置(OBD)とは、「On-Board Diagnostics」の略称で、車両に搭載されたコンピューターで制御されるシステムの状態を監視し、故障の有無を自己診断し記録する装置のことです。

 具体的には、ABSやESC(横滑り防止装置)、衝突被害軽減ブレーキ、エアバッグなどが監視対象になります。今後、普及が進むことが予想される自動運転技術に用いられる電子制御装置の目に見えない故障に対応するねらいがあります。

 OBD点検とは、「スキャンツール」をOBDに接続し、OBDに記録されている各種装置の故障の有無や作動状況を読み出して、安全に走行できる状態であるかを確認する点検のことです。

 スキャンツールがない整備工場では、警告灯の点灯の有無がないかどうかで確認します。

スキャンツールを使ったOBD点検のイメージ(国交省の資料から引用)

 2021年10月1日から、自動車の12ヶ月ごとの定期点検項目に「車載式故障診断装置(OBD)の診断の結果」が追加されることになりました。

 大型特殊自動車、被牽引自動車、二輪自動車をのぞき、ほぼすべての自動車が対象になります。

 衝突被害軽減ブレーキを搭載した車が上り坂の右カーブを走行中、前方に車両がないのに急ブレーキがかかり、運転手がケガを負う事故がありました。事故原因を調べたところ、衝突被害軽減ブレーキシステムのレーダーセンサーの取り付け角度が誤っていたことがわかりました。

 自動車で次々登場する新しい電子制御システムに対し、これまでの車検制度は追いつけていませんでした。そこで、OBD点検を通じて適切な整備につなげて誤作動を減らすねらいです。

 OBD点検とOBD検査は名前は似ていますが、開始時期、対象となる車、診断方法などに違いがあります。

 OBD検査とは、車検などの際にOBDを活用して電子的に故障診断をする検査のことです。具体的には、スキャンツールで車両に故障コードが出ていないかを読み出し、自動車技術総合機構のサーバーへ送信すると、サーバーから合否判定の結果が戻されるしくみです。診断されて、もし保安基準に適さない故障コードが見つかれば「不適合」とされてしまいます。

 OBD検査の対象となるのは、今後出される新型車になります。開始時期は、国産車と輸入車で異なります。

  • 国産車……2021年10月以降の新型車が対象。2024年10月から検査開始
  • 輸入車……2022年10月以降の新型車が対象。2025年10月から検査開始

 OBD点検とOBD検査は将来的にはどちらも併せて実施されることになります。

 OBD検査の開始に向けて、2021年10月1日から、自動車の検査の際に支払う法定手数料として、技術情報管理手数料が1台あたり一律400円追加されます。

 追加された手数料は、自動車メーカーが提供する故障診断に必要な情報管理、全国の検査場(車検場)や整備工場が利用する情報システムを運用していくための費用に使われる予定です。

 国交省の公式サイト内の「自動車検査の法定手数料変更のお知らせ」(PDF方式)によると、改定後の手数料は次の通りです。

手続きの種類 手数料
持ち込み検査 普通自動車 2200円
小型自動車 2100円
小型自動車(二輪) 1700円
大型特殊自動車 1800円
軽自動車 1800円
指定整備 普通自動車 1600円(OSS,1400円)
小型自動車
小型自動車(二輪) 1100円
大型特殊自動車 1200円(OSS,1100円)
軽自動車 1500円
手続きの種類 手数料
持ち込み検査 普通自動車 2500円
小型自動車 2400円
小型自動車(二輪) 2000円
大型特殊自動車 2100円
軽自動車 1800円
指定整備 普通自動車 1600円(OSS,1400円)
小型自動車
小型自動車(二輪) 1100円
大型特殊自動車 1200円(OSS,1100円)
軽自動車 1500円

 この費用は、手数料は、自動車メーカーが提供する故障診断に必要な情報管理、全国の検査場(車検場)や整備工場が利用する情報システムを運用していくために使われます。そのため、対象車両でなくても手数料を支払う必要があるので注意が必要です。

 詳しくは国交省の公式サイトで確認してください。