目次

  1. 労災保険の特別加入制度とは メリットも紹介
  2. 特別加入の対象となる事業
  3. おもな労災保険の保険給付の種類
  4. 保険料の計算方法
  5. フリーランスの労災保険の特別加入、いつから?

 厚生労働省の公式サイトによると、労災保険は、労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する制度です。労働者以外でも、一定の要件を満たす場合に任意加入でき、補償を受けることができます。これを「特別加入制度」といいます。

 労災保険に特別加入するメリットは、仕事中や通勤中のケガ、病気、障害または死亡等に対して、補償を受けられることにあります。

 厚労省の公式サイトによると、2024年秋から、新たに特別加入の対象となるのは、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないフリーランス(特定受託事業者)です。

 消費者のみから委託を受ける場合や、企業等からの業務委託を受けているが、当該業務とは異なる事業について、消費者から委託を受ける場合は、対象外となるため注意してください。

 特別加入を申請するには、今後設立予定の特定受託業務の特別加入団体を通じて加入申請書等を所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出することになる見込みです。

 企業等からの業務委託の例として、厚労省は次の業務を挙げています。

  • 翻訳、通訳(外国書籍の翻訳、海外出張時の同行通訳)
  • 講師、インストラクター(ピアノ教室、スポーツジムのインストラクター)
  • デザイン、コンテンツ制作(広報用のイラスト作成、集計プログラム作成)
  • 調査、研究、コンサルティング(商品売買のための市場調査)
  • 商品(保険、電子機器等)の営業代行
  • 療養(補償)等給付…労災病院または労災指定病院等において必要な治療等が無料で受けられます。それ以外の医療機関等で治療等を受けた場合には、治療等に要した費用が支給されます。
  • 休業(補償)等給付…休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の60%(特別支給金20%と合わせて80%)が支給されます。
  • 障害(補償)等年金…1年あたり給付基礎日額の313日(第1級)~131日(第7級)分が支給されます。
  • 障害(補償)等一時金…給付基礎日額503日分(第8級)~56日(第14級)分が支給されます。
  • 傷病(補償)等年金…1年当たり給付基礎日額の313日(第1級)~245日(第3級)分が支給されます。
  • 遺族(補償)等年金…遺族の人数に応じ、1年あたり給付基礎日額の245日(4人以上)~153日(1人)分が支給されます。
  • 遺族(補償)等一時金…右記(1)の場合は給付基礎日額の1000日分が、(2)の場合、1000日分から既に支給した年金の合計額を差し引いた額が支給されます。(1)遺族(補償)等年金を受ける遺族がないとき。(2)遺族(補償)等年金を受けている方が失権し、かつ、他に遺族(補償)等年金を受けられる者がない場合であって、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないとき
  • 葬祭料等(葬祭給付)…31万5千円に、給付基礎日額30日分を加えた額または給付基礎日額60日分のうち、いずれか高い方の額が支給されます。

 厚労省によると、保険料および被災時の給付額を算出する基礎になるものを給付基礎日額といいます。特定フリーランス事業に従事する者が所得水準に見合った適正な給付基礎日額を16段階のうちから選択して特別加入団体が申請し、労働局長が承認した額が給付基礎日額となります。

 この給付基礎日額に365をかけた保険料算定基礎額に0.3%をかけたものが、1年間の保険料となります。

 たとえば、給付基礎日額が1万円の場合、保険料算定基礎額は365万円となり、年間保険料は1万950円となります。

 フリーランスが労災保険に特別加入できるのは、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の施行日からとなります。法律の施行期日については、2024年11月1日となる見込みです。