約束手形の支払期日までの日数を60日以内へ 11月から運用開始へ
下請け業者にとって手形サイト(振出日から支払期日までの日数)の長期化が資金繰りを悪化させているとして、中小企業庁と公正取引委員会は2022年2月、サイトが60日を超える手形で下請け代金を支払っている発注元の約5000社に対し、できるだけ早く手形サイトを60日以内に短縮するよう要請しました。2024年4月には手形サイトを60日以内に短縮する新指導基準をつくり、半年程度の周知期間を置き、11月1日から運用を開始する予定です。
下請け業者にとって手形サイト(振出日から支払期日までの日数)の長期化が資金繰りを悪化させているとして、中小企業庁と公正取引委員会は2022年2月、サイトが60日を超える手形で下請け代金を支払っている発注元の約5000社に対し、できるだけ早く手形サイトを60日以内に短縮するよう要請しました。2024年4月には手形サイトを60日以内に短縮する新指導基準をつくり、半年程度の周知期間を置き、11月1日から運用を開始する予定です。
約束手形とは、代金を支払う振出人が、受取人などに対して、期日に手形に書かれた金額の支払いを約束する有価証券のことです。
手形を使うと、支払期日までの期間が現金振り込みよりも2~3倍長い傾向があります。さらに、その間の利息が支払われないばかりか、発注先に資金繰りのコストを負担させています。
こうした状況が、下請け業者の資金繰りを悪化させる原因になっているとして、経済産業省は、2026年をめどに約束手形を廃止するよう産業界や金融界に働きかけています。
公正取引委員会の公式サイトによると、発注元には、下請法(下請代金支払遅延等防止法)は次の4つの義務を課しています。
口頭で発注することによるトラブルを避けるため、発注元は発注内容を明記した書面を交付しなければいけません。
発注元は検査するかどうかを問わず、発注した物品を受け取ってから60日以内のできるだけ短い期間内に下請代金の支払期日を定めなくてはいけません。
発注元は下請取引の内容を記載した書類を作成し,2年間保存しなければなりません。
発注元の支払が遅れた場合は遅延利息を支払わなければなりません。
これまで支払いサイトは繊維産業で90日、その他業種は120日とされてきました。しかし、公取委は2024年をめどに一律60日以内にするよう下請法の運用を見直す方針です。サイトが60日を超える手形を、下請法の「割引困難な手形等」に該当するおそれがあるとして指導の対象にする見込みです。
具体的には、約束手形の指導基準(通知)を新設し「今般、改めて業界の商慣行、金融情勢等を総合的に勘案して、指導基準について、業種を問わず60日とする」と明記する予定です。
さらに一括決済方式及び電子記録債権に関する通知の「120日以内(繊維業の場合は90日以内)」との部分を「60日以内」に変更する予定です。
指導基準を2024年4月中につくり、半年程度の周知期間を置き、2024年11月1日から運用を開始する予定です。
しかし、中小企業庁と公正取引委員会が下請取引の実態を把握するために調査したところ、約5000社の発注元は、サイトが60日を超える手形で下請代金を支払っていました。
そこで、今後の見直しも見据え、手形サイトを60日以内にする要請をしました。今回の要請は、手形だけでなく、一括決済方式や電子記録債権についても含まれます。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。