目次

  1. 中小企業の資金繰り 再生支援へシフト
  2. セーフティネット保証4号、2024年6月末で終了
  3. コロナ借換保証も2024年6月末で終了
  4. コロナ経営改善サポート保証、2024年12月末まで延長
  5. コロナ資本性劣後ローン、2024年12月末まで延長
  6. 日本公庫等のコロナ特別貸付、2024年12月末まで延長
  7. セーフティネット貸付、2024年12月末まで継続

 2024年4月に民間金融機関による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済開始の最後のピークを迎えるのを前に、経済産業省は3月、「再生支援の総合的対策」を公表しました。

 それによると、コロナ禍から続く資金繰り支援は、能登半島地震の被災地に配慮しつつも、資金繰り支援策についてはコロナ前の水準に戻し、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援を基本とする方針に切り替えました。

今後の中小企業向け資金繰り支援
今後の中小企業向け資金繰り支援(経産省の公式サイトから https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240607002/20240607002.html)

 そこで、資金繰り支援策の今後のスケジュールについて整理しました。

 セーフティネット保証4号とは、自然災害などの突発的事由により、売上高が減少している中小企業・小規模事業者の資金繰り支援措置のことです。新型コロナ支援のための「コロナセーフティネット保証4号」は借換目的での利用のみ継続となっていましたが、2024年6月末で原則終了となります。

 ただし、能登半島地震の影響が残る地域は「コロナ借換保証」を継続します。対象地域は、災害救助法適用地域をベースに、利用実績や復旧状況を踏まえつつ、7月以降3ヵ月ごとに見直す予定です。

 コロナ借換保証とは、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関と対話しつつ「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。

 コロナ借換保証制度は原則終了するものの、たとえば、100%保証で借換可能とする小口零細企業保証や、認定経営革新等支援機関(金融機関等)の支援を条件に保証料を低減する経営力強化保証(80%保証)などは引き続き活用する予定です。

 また、能登半島地震の影響が残る地域は「コロナ借換保証」を継続します。対象地域は、災害救助法適用地域をベースに、利用実績や復旧状況を踏まえつつ、7月以降3ヵ月ごとに見直します。

 一方で、コロナ経営改善サポート保証は2024年12月末まで延長となります。コロナ経営改善サポート保証とは、経営サポート会議や中小企業再生支援協議会の支援を受けてつくった経営改善・再生計画にもとづいて、中小企業が事業再生に必要な資金を信用保証協会の保証付き融資として受けられる制度です。

 資本性劣後ローンとは、万が一、倒産した時にほかの負債より返済の順位が後回しになるため、金融機関からは自己資本とみなされるローンのことです。

 コロナ禍で積みあがった過大な債務等に苦しむ事業者に対して、その財務内容を改善し、新規融資を供給しやすくする手段として、日本政策金融公庫(日本公庫)と商工中金による新型コロナ対策資本性劣後ローンの貸付制度があります。貸付限度額は15億円に引き上げて延長していましたが、今回さらに2024年12月末まで延長することになりました。

 日本公庫等のコロナ特別貸付は、売上5%などの減少がある場合に、基準利率0.5%を引き下げるといった対応をとってきましたが、金利引下げ幅を縮小の上、2024年12月末まで延長されることになりました(2024年6月時点で、5年貸付:中小事業:1.5%国民事業:1.45%)。ただし、新規の設備融資資金は除きます。

 このほか、資材費などの価格高騰対策として実施している日本公庫等の「セーフティネット貸付(利益率▲5%→金利▲0.4%)」は、2024年12月末まで継続します(5年貸付の場合、金利引下げ後は2024年6月時点で中小事業:1.1%、国民事業:1.7%)。