目次

  1. 業務改善助成金とは 2022年度補正予算案で拡充方針
  2. 業務改善助成金の助成対象
  3. 業務改善助成金の助成率
  4. 業務改善助成金の補助上限
  5. 助成金が支給されるまでの流れ
    1. 助成金交付申請書の提出
    2. 助成金交付決定通知
    3. 業務改善計画と賃金引上計画の実施
    4. 事業実績報告書の提出
    5. 助成金の支払い
  6. 申請受付

 厚生労働省によると、業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げるための制度です。機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練など生産性向上のための設備投資をし、最低賃金を一定額以上引き上げた場合、設備投資にかかった費用の一部を助成します。

 2022年度補正予算案では、次のような拡充案が示されました。

  1. 助成上限額:特に最賃引き上げが困難と考えられる、事業場規模30人未満の事業者に対して、助成上限額を引き上げ
  2. 助成対象経費:特例事業者の助成対象経費を拡充
  3. 事業場規模を100人以下とする要件を廃止

 助成対象となるのは次の条件を満たす必要があります。

  • 中小企業事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること

 そのほかにも条件がありますので、厚労省の公式サイトで確認していください。

 助成率は最低賃金によって異なります。()内は生産性要件を満たした事業場の場合です。

870円未満 870円以上920円未満 920円以上
9/10 4/5(9/10) 3/4(4/5)

 補助上限は、事業場規模30人未満の事業者の場合、次のように引き上げられます。

引き上げる人数 30円引上げ 45円引上げ 60円引上げ 90円引上げ
1人 30万円→60万円 45万→80万円 60万→110万円 90万→170万円
2~3人 50万→90万円 70万→110万円 90万→160万円 150万→240万円
4~6人 70万→100万円 100万→140万円 150万→190万円 270万→290万円
7人以上 100万→120万円 150万→160万円 230万円 450万円
10人以上※ 120万→130万円 180万円 300万円 600万円

※事業場内最低賃金が920円未満の事業者、コロナの影響により売上高等が15%減少した事業者または物価高騰等により利益率が3%ポイント以上低下した事業者のいずれかの場合

 このほか、特例事業者の助成対象経費の拡充もあります。特例事業者には、コロナの影響により売上高等が15%以上減少した、または原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化などの外的要因により利益率が3%ポイント以上低下した場合が当てはまります。

 そのうえで、助成対象が定員7人以上または200万円以下の自動車、貨物自動車、パソコンなどの端末及び周辺機器に加え、その「関連する経費」も含まれるようになります。

 拡充された業務改善助成金を申請できるようになるには、2022年度補正予算案が国会で成立した後になります。

 業務改善助成金を申請してから支給されるまでの流れは以下の通りです。ただし、支給されるのは、業務改善と賃金の引き上げをした後になるので注意してください。

 厚労省の申請書等記入例(PDF方式:4295KB)を参考に、交付申請書(DOCX形式:115KB)を作り、各都道府県にある労働局に提出してください。申請書には、生産性向上のための業務改善計画と、賃金引上計画が必要です。

 都道府県労働局が審査し、内容が適正と認めれば交付決定通知が届きます。

 申請書で書いた業務改善計画に沿って、設備投資をしてください。また、賃金引上計画に沿ってき、事業場内の最低賃金を引き上げてください。

 業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記した「事業実績報告書」を作り、都道府県労働局に提出してください。労働局の審査が通れば、助成金額が確定し、事業主に通知されます。

 助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書を提出してください。

 業務改善助成金の申請は、各都道府県労働局雇用環境・均等部室で受け付けています。所在地・連絡先は厚労省の公式サイトから確認してください。