【図解】kintone(キントーン)の使い方 機能・費用・導入手順を紹介
2万社以上が導入しているサイボウズの「kintone(キントーン)」。この記事では、サイボウズ公認 kintoneエバンジェリストが、特徴や機能、導入するときの考え方など、kintoneを活用した業務改善の勘所を解説します。
2万社以上が導入しているサイボウズの「kintone(キントーン)」。この記事では、サイボウズ公認 kintoneエバンジェリストが、特徴や機能、導入するときの考え方など、kintoneを活用した業務改善の勘所を解説します。
目次
kintone(キントーン)とは、クラウド上に業務アプリを構築することができる業務改善プラットフォームです。中小企業向けグループウェアを開発しているサイボウズが提供しています。最初に特徴や機能、メリットなど、基本的な部分をご紹介します。
kintoneにログインすると、ポータルと呼ばれる各機能の入口となる画面が開きます。
ポータルには、全体へのお知らせの掲載や、各アプリへのリンク、自分のタスク一覧、それからスペースと呼ばれる、部署や業務、プロジェクトなどの単位での情報共有を行うための個別のポータルへのリンクがあります。
kintoneでは、Excelでいうとシートにあたる1つのデータベースを、アプリといいます。
アプリの作成は、マウス操作で部品をフォームの中に並べていくという操作が基本となります。
データの入力画面(フォーム)を作ると、データベースが自動的に作られます。入力用のフォームを作ると、Excelのデータシートが自動で生成されるようなイメージです。
アプリを作るときには、プログラミングの知識は必要ありません。マウスのドラッグ・アンド・ドロップ操作でパーツを並べていくという、簡単な操作でアプリの構造を作ることができます。
kintoneの料金体系はユーザー課金となっています。アプリ作成数に制限はありますが、スタンダードコースで1000個のアプリが利用できますので、通常はこれで十分です。
アプリを追加することに対して費用はかかりませんし、担当者の方もアプリ構築の経験を積むことで、kintoneのスキルも高まっていきます。
従来型のシステム開発と比べると、「失敗コスト」(失敗することで発生する損失コスト)が非常に低いのが大きなメリットとして考えることができます。
このため、小さな改善を積み重ねながら、成功したものは残し、さらに発展させ、失敗したらやめる、という高速でPDCAサイクルを回すことが可能になっています。
従来のシステム開発では、最初のシステムを作るところに多大な時間とコストがかかります。
そのうえ、何か機能を変更・追加しようとする場合にも、影響範囲の調査等、われわれ利用者が考えるよりも時間と費用がかかることが多いです。
このため、初期の開発工数・開発コストが非常に大きくなり、かつ必要最小限ではなく、重厚長大なシステムになってしまうケースが多く見られます。
kintoneはクラウドサービスなので、モバイル機器や会社外からも業務システムを活用することができます。
テレワークを導入する際にも、kintoneのようなクラウドを基盤とした業務プラットフォームを活用することは必須だと言えます。
kintoneは自社に合わせた業務アプリを自由に設計して作ることができるプラットフォームです。
従来型のシステムのように「〇〇用システム」ではないことが、kintoneを理解しにくくしている要因かもしれません。
ここでは実際の業務への活用イメージを理解するため、アプリの活用例をいくつか紹介します。
会社名、担当者名、連絡先などお客様の情報を登録して、リスト管理するアプリです。
顧客の情報が変更されたときは、このアプリのデータを修正することで、常に最新情報をここで管理することができます。
また、作り方によってはその顧客に関するトピックスや営業案件、活動履歴などの関連した情報を顧客管理アプリから参照するような構成にすることも可能です。
営業案件が発生したときに、発生日や担当者、案件の詳細、見込みの確度等を登録し、活動の結果、案件がどうなったのかを記録するアプリです。
顧客管理アプリと連携させるようにすることで、案件管理から顧客の詳細情報を参照したり、逆に顧客管理アプリから、案件管理アプリの内容を参照させるような連携を作ることもできます。
またグラフや集計表で、全体の案件の状況(発生状況や確度の構成、金額、担当者ごとの案件数)を見える化することも可能です。
出張にかかった経費、旅費を申請し、精算するための承認を得るためのアプリです。
承認のためのワークフロー機能をもたせることはもちろん、実績データがデータベースに蓄積していくため、出張データ(回数や経費等)を分析したり、集計結果を見える化したりすることも容易です。
日々の業務の日報を登録するアプリです。
アプリを使ってきっちりとしたフォーマットと、上司の確認・承認プロセスを作ることも可能です。
何か集計したい数値データがある場合は、アプリを使うメリットが大きいですが、日報のようなコミュニケーション・情報共有の場としては、「スペース」機能を使うという方法もあります。
フリーフォーマットで記載し、「イイね」ボタンやコメントも可能なので、より多くのメンバーへ現状を共有することができ、他の人の日報を読むことで、助け合いやアドバイスが自然発生することも期待できる、オススメの活用法です。
これからkintoneの機能の説明をしていくにあたり、基本となる用語を整理しておきましょう。
kintoneでは、1つのデータベースの単位を「アプリ」と呼びます(Excelの1つのシートのようなイメージ)。
アプリの中には、「レコード」と呼ばれる1セットのデータがあります(Excelスプレッドシートの1行、1枚のデータ帳票のイメージ)。
レコードには、複数のデータ項目を持つことができます。この一つひとつのデータの項目の単位を「フィールド」といいます。
用途に応じて、必要な項目を並べたオリジナルの一覧画面を作り、登録しておくことが可能です。
一覧画面では、表示するレコードの条件や並び順などを指定できます。また必要に応じて、画面上から絞り込み条件や並び順の変更もできます。
業務のシーンによって、適切なデータを持つ一覧画面を使い分けることができます。ここはエクセルと大きく違うところです。
kintoneでは、2つのアプリ間を連携させることができます。
例えば、顧客リストアプリを作っておき、それと連携した形で案件管理アプリのレコードを作る等、kintoneをうまく活用するために、まず理解することが必要な機能です。3つのアプリ間連携を紹介します。
レコードのステータスをいくつか定義し、各ステータスを定められたルールに従って変更していく機能です。各ステータスには、次のステータスに進めるアクションボタンを押すことのできる「作業者」を指定することができます。
これを活用することで、ワークフロー的な業務プロセスを表現したり、タスク管理的に各レコードのステータスを管理したりすることができます。
kintoneアプリの通知には次の3つの種類があります。
パソコンでアプリを作ると、同時にモバイルからも利用できる画面が自動的に設定されます。モバイル用画面を別途開発する必要はありません。
またスマートフォンのブラウザや、アプリで開いた場合は、モバイル表示に特化した画面となっていて、デバイスの種類を問わず利用することができます。
kintoneはクラウドサービスなので、インターネットの接続環境さえあれば、会社の外からや自宅からもアクセス可能です。社外からのアクセスに制限をかけることもできます。
社内ネットワークからしかログインできないようにしたり、許可された機器からしかアクセスできないようにしたりと制限をかけることができます。
また個別のアプリに対しても、細かくアクセス権の設定をすることができますので、必要に応じた情報管理を行うことが可能です。
利用者がkintoneにログインして行った、登録や変更、承認などの操作は、システム的に記録されます。これはあとから編集できない、システムの記録であるため、監査等の証跡としても活用可能です。
業務の見直しやIT化を行うタイミングというのは、従来から行ってきた無駄な作業や無駄なやり取りを「やめる」ことができる貴重なチャンスです。
従来型のシステム開発では、後から機能を追加するコストが非常に割高であることもあって、迷ったものは最初に作るけど、実際は使われないということが頻発していました。
一方、kintoneは機能の追加や見直しをすることのハードルが非常に低いのが特徴となっています。
私はよく「アプリを作ったときが業務改善のスタート」ということを話すことがあります。最初は極力シンプルにする。迷ったら「まずやめられないか?」をよく考えてみることが、業務を見直しながらIT化を進めるときに重要です。
ITを使って会社の業務を改善し、生産性を向上させることは、もはや特別なことではなく、経営者としては今すぐに取り掛かるべき課題といえると思います。
今世の中ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が大きく話題となっています。
DXを語るとき、デジタルを使った革新的なビジネスモデルに注目しがちですが、顧客に対して価値を提供するためのビジネスモデルを変革させるためには、ベースとなる社内の業務のスタイルも、IT(デジタル)を活用したスタイルへと変化していくことが必要です。
このためには、社内にデジタルに強い「業務改善型人材」(定められた業務を効率的にこなすだけではなく、既存の業務を見直し、変革をリードしていくことができる人材)を育成していくことが最も重要だともいえます。
従来の業務システムは、業者に注文して納品してもらい、自分たちは使うだけというものがほとんどでした。
一方、kintoneは自社の業務の変化や、環境の変化に応じて、自分たちで変化させていくことができる、という意味で画期的なITツールだとも言えます。
自社内の業務改善職を育成し、kintoneを使いこなした業務改善を継続的に推進させるため、サイボウズが行っている「kintone認定資格」にチャレンジしてもらうのも、スキル獲得、自信獲得のための良い方法だと思います。
業務改善を継続的な企業の活動・文化として定着することに成功している企業の成功事例を読み解いていくと、多くのケースで「伴走者」の存在を知ることができます。
ここで言う伴走者とは、知識やスキル面でサポートしてくれる存在であったり、時にはモチベーションを上げてくれたりするような存在です。
ほとんどのケースにおいて、自社内に伴走者がいるというケースは少ないという印象があります。
伴走者を得る方法には、大きく2つの方法が考えられます。1つ目は「外部業者を活用する」こと。具体的には、メーカーであるサイボウズや、支援をしてくれる外部の業者を活用することです。
もうひとつの方法は「自分から外に繋がりを作る」ことです。これは従来のIT活用においてはあまり見られなかった、kintone特有の現象かもしれませんが、kintoneにおいては「コミュニティー」というものが特別な存在感を発揮しているように見えます。
これらについて具体的に説明していきましょう。
最初は誰もkintoneを使ったことがなく、知識やスキルも持っていないのが普通です。社内の業務改善の「はじめの一歩」を成功させ、早く軌道に乗せるため、外部の力を上手く活用するのも良い選択肢と言えます。
自社に合った業者をどうやって見つけるか?という疑問を持たれる方が多いと思います。
メーカーであるサイボウズに相談すると、パートナー企業を紹介してもらえます。あるいは、SNSやブログ、YouTube、サイボウズのイベント登壇など、いろいろな場で情報発信をしている個人や会社の中から、自社に相性の良い伴走者を見つけるという方法もあります。
ただし、外部に委託する際に気を付けておきたいことがあります。
必ず自社のメンバーから「IT化担当」「業務改善担当」を選出しましょう。そして経営者は、そのメンバーが自分事として取り組めるようにサポートすることが大事です。
その他のサポートを受ける方法としては、サイボウズが実施している「導入相談カフェ(オンライン対応)」もオススメです。
サイボウズの専門スタッフが業務内容についてヒアリングしてくれ、課題に合った活用法を紹介してくれます。kintoneのデモもあるので、自社に合った活用イメージを掴みやすいです。
外部の業者の力を活用することで、費用はかかりますが短時間で初期の成果を得ることは可能です。
しかし、理想は社内で自立的に業務改善が推進され、「変化していく文化」を醸成することです。
私がさまざまなユーザーと交流したり、事例を聞いたりしていると、「孤独なkintone担当者」の話をよく聞きます。社内にkintoneの担当者が自分1人しかいなくて、悩みを相談する人がいなくて、行き詰まっているという話です。
外部の伴走者を確保できない場合、自分でなんとかする必要があります。
その強力な解決策として「コミュニティーを活用する」という方法があります。
kintoneを取り巻く、ユーザー間のコミュニティー活動は非常に盛んで、サイボウズが公式に持っているユーザーコミュニティサイト「キンコミ」を始め、TwitterやFacebookなどのSNSにおいても、ユーザー間の横のつながりによる助け合いを多く見ることができます。
業務の見直しを行い、kintoneアプリを作って展開するためには、kintoneの基本的な機能を知ることは最低限必要です。
kintoneの機能をひと通り学ぶためには、上述の認定資格の中の「kintone認定アソシエイト」を取得するつもりで、対策テキストやヘルプサイトを活用し、実際にkintoneを操作しながら学ぶのが近道です。
kintoneアプリを作るのに、プログラミング言語の知識は必要ありません。しかし基礎的なデータベースの考え方は必要です。Excelのワークシートが、作る人によってレベルがさまざまなのと同様、kintoneにおいてもある程度の基本となる知識が必要となります。
kintoneアプリを作り始める前にやるべきことがあります。「業務」の現状把握と改善ポイントの整理を行い、これからどんなアプリを作ればいいのか、しっかりイメージを掴むことです。
アプリ作成の操作自体は非常に簡単ですが、「何をどう作るか」の部分は決して簡単ではありません。この過程をキチンと行うことが、業務改善におけるポイントです。
そのためには、kintone化したい業務の現状を明らかにし、改善ポイントはないかという目で見直しを行います。業務の現状を分析する考え方としては、次の3つの要素の軸で考えてみるとよいでしょう。
1つめは、フローチャートに代表される「業務フロー」です。
ここで意識するべきポイントは、「業務の始まりと終わり」を整理すること。業務には必ず、始まりとなるトリガーがあるものです。
フローチャートを書いてみたときに、始まりと終わりがよくわからない場合は、もう一度見直してみましょう。
業務フローを作成するときは、作業の流れ・順番の他、担当する部署や担当者がはっきりとする書き方を心がけるとよいでしょう。
2つめは「データ」です。その業務を進めていくときに、どのようなデータが扱われているのかということです。例えば何かの申請業務であれば、申請書に記入するべき項目がこれに該当します。
データの構造と流れを理解するときには、「インプット」と「アウトプット」を意識すると良いと思います。
1つの作業には必ず「〇〇を〇〇する」のように、インプットとアウトプットの間に作業が存在するというふうに考えてみるといいでしょう。
ここで整理したデータ項目が、kintoneアプリのフィールドになります。
もう1つが「コミュニケーション」です。フローチャートでは「矢印」で表されていますが、適切に把握・分析するために、そこをもう少し詳しく掘り下げてみましょう。
例えば、シンプルな承認プロセスで、申請者が承認者に申請書フォーマットを提出するとしましょう。
申請書の送付手段は決められているのか?紙に印刷したものを手渡しするのか、電子ファイルをメールで送るのか?
あるいはFAXで送付する場合もあるかもしれません。まずは現状をありのままに整理してみましょう。
次に、申請書の内容で確認したいことがある場合も想定します。
承認者はどのような行動を取るでしょうか?申請書を「差し戻し」として突き返すのか、それともちょっと電話や口頭で「ここのところはどうなっているの?」と聞いて、納得がいけばそのまま承認するのでしょうか?
みなさんの業務の現場でどのような行動がなされているかを、きちんとヒアリングして把握しておかないと、やたらと堅苦しくて時間ばかりかかってしまう業務になりかねません。
kintoneではこの例のような、ちょっときちんとした「差し戻し」も実現できますし、申請書フォーマットの横でコメントのやり取りを行い、スピーディーに確認を行い、かつそれを記録として残しておくこともできます。
「業務」の現状把握・改善ポイントの整理をしたら、いよいよアプリの作成です。
kintoneアプリを作るには、さまざまな種類のフィールドを組み合わせて、レコードのフォーム画面を作ります。前の項で説明した、業務の構成要素の「データ」に該当します。
作りたいデータの種類に応じて、適切なフィールドを選んでいく必要があります。
予め設定してある選択肢を選択させることでデータを作るフィールドにも何種類かあります。用途に応じて適切な選択肢を使い分けることが可能です。代表的な3つの選択系フィールドを紹介します。
kintoneにかかる費用は、次のとおりです。
コース名 | 料金 | コース内容 |
---|---|---|
ライトコース | 1ユーザーあたり月780円 |
アプリ数:最大200個 プラグイン・連携ザービス・カスタマイズ機能は利用不可 |
スタンダードコース | 1ユーザーあたり月1500円 |
アプリ数:最大1000個 プラグイン・連携ザービス・カスタマイズ機能は利用可 |
kintoneのライセンスは2種類あります。利用することができるアプリの数や、プラグインや連携サービスを使うことができるかどうかでどちらを契約するか決める必要があります。
もちろん契約後のコース変更も可能となっていますので、まずはライトコースでスモールスタートを目指してもいいでしょう。
一方で、それぞれのライセンスは最低ユーザー数5人から始めることができます。
スタンダードコースでも月間のライセンス料金は7,500円から始められますし、解約もいつでも可能なので非常に簡単に始めることができるようになっています。
アプリ数に制限(スタンダードコースだと1000個)があるとはいえ、kintoneを活用する業務の数(アプリの数)が増えれば増えるほど、アプリ毎の単価は下がっていくことがわかります。
最初の1アプリが使われ始めたら、なるべく早く、次のアプリへと展開を広げていくことがkintone導入をスムーズに進めるためのコツとなります。
社内で稟議を通さないといけない立場の場合、あらかじめ想定される費用をある程度予想した上で、kintoneにかかる費用を試算しておく必要があります。
例えば、近い将来、帳票出力のプラグイン・連携サービスを使うことが明白な場合、kintoneスタンダードコース(ユーザーあたり月額1,500円)に加えて、帳票連携サービスの月額価格を想定しておくなどです。
kintoneのライセンス自体はユーザー数にもよりますが比較的安価なイメージで見られることが多いですが、プラグインや連携サービスの中には、料金体系が月額サブスクリプション体系となっているものもあります。
kintoneをどの領域まで活用するのかをある程度予測して、概算費用を把握しておくことは非常に大切です。
スモールスタートでライトコースから始めるのも良いと思います。
ライトコースから始めると、プラグインが使えないため、kintoneの標準機能をより使いこなそうと工夫するプロセスを経験することは非常に有益です。
私がおすすめする考え方は、kintoneの標準機能でできないことにして、ぶつかったときは、そのやり方が本当にベストなのか、再度考え直す機会とするという考え方です。
何でも要望に応じて開発することができる、従来型のフルスクラッチによるシステム開発と比較すると、標準機能の少なさが目立つかもしれません。
しかし、フルスクラッチによるにシステム開発では、実際にはほとんど使われない機能を大量に実装してしまったりすることも多く、良くわからないものはとりあえず付加して作っておく、という考え方には大きな問題があるものだと思います。
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