目次

  1. 緊急事態宣言下での「無観客開催」の要請とは
  2. 各団体が発表した声明
    1. 音楽4団体「精神的にも限界」
    2. 緊急事態舞台芸術ネットワーク「エビデンスにもとづいた対策を」
    3. 全国興行生活衛生同業組合連合会「一定の制限下の元で営業を」

 政府が2021年4月25日から出した緊急事態宣言では、国家試験や業務上必要かつオンライン化や延期が困難な説明会、基本的人権の確保にかかわるイベントなど社会生活の維持に必要なものを除いて、原則として、無観客での開催を要請しました。

 要請された施設は主に次の通りです。

  • 劇場等……劇場、観覧場、演芸場など
  • 集会場等……集会場、公会堂など
  • 展示場……展示場、貸会議室、文化会館、多目的ホールなど
  • ホテル……集会のためのホテル、旅館など
  • 運動施設……野球場、ゴルフ場、陸上競技場、屋外テニス場、ゴルフ練習場など
  • 遊技場……テーマパーク、遊園地など

 緊急事態宣言の延長が明らかになるなか、各団体が、要請の撤廃や科学的な根拠(エビデンス)にもとづく対策を求める声明を発表しました。主な団体の声明を紹介します。

 日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会は連名で「緊急事態宣言の延長に際しての声明文」を出しました。声明文を抜粋します。

 この(無観客開催の)要請が事前予告なく、お客さまにご案内する期間の猶予も与えられずに⾏われ、政府・⾃治体の連携が捗々しくないことなどもあり、お客さまに多⼤なご迷惑とご負担をおかけしたこと、まずはお詫び申し上げます。

 感染拡⼤に伴い、今般、政府では緊急事態宣⾔期間の延⻑が検討されているとのことですが、私共は、政府に対して「無観客開催」要請の撤廃を強く申し⼊れております。 2020 年 5 ⽉の最初の緊急事態宣⾔の解除以降、1年近くにわたり、私共団体会員社のコンサートや演劇、ミュージカル等の公演会場からのクラスター発⽣は報告されていません。

 ⼀⽅、昨年以降、コンサートや演劇、ミュージカル等の中⽌や延期が相次いだこと、収容⼈数の制限が続いたことで、ライブエンタテイメント産業は⼤きな打撃を受けています。2020年の市場規模は前年⽐8割減となり、アーティストや実演家だけでなく、⽂化施設や、公演に従事する⽅々の⽣活も危機に直⾯しています。

 現在の状況はこうした役割を持続的に果たすことのできる限界点ではありますが、引き続き、この⼀年の政府・⾃治体関係当局、専⾨家先⽣、公演関係者の皆さま、そして多くのお客さまとの積み重ねをもとに、さらに万全な対策を講じ公演を開催してまいる所存です。

緊急事態宣言の延長に際しての声明文

 演劇興行会社、劇団、劇場、演劇制作会社など約200団体でつくる横断組織「緊急事態舞台芸術ネットワーク」が公表した声明を抜粋します。

 初回の緊急事態宣⾔が解除された昨年5⽉より、1年が経過いたしますが、少なくとも当ネットワークの参加団体が催⾏する公演では、劇場内客席でのクラスター感染は起きておりません。

 お客様のご協⼒の下、対策を徹底することで、感染者報告ゼロのエビデンスを積み重ね、劇場は、決して感染リスクの⾼い場所ではないことを実績によって⽰してまいりました。

 昨年以降、公演中⽌や延期が相次いだこと、収容⼈数の制限が続いたことで、舞台 芸術含むライブエンタテイメント産業は⼤きな打撃を受けております。  アーティストや実演家だけでなく、スタッフや⽂化施設関係者等、公演に従事するものたちの⽣活は、時々刻々と、危機的状況に追い込まれています。

 現在の状況はこうした役割を持続的に果たすことのできる限界点ではありますが、引き続き、この⼀年の⾏政、⾳楽ほか関連業界、公演関係者、そして多くのお客様との積み重ねをもとに、現場の努⼒の実態とエビデンスに基づいた対策⽅針を政府に強く求め、安全に公演を開催してまいる所存です。

緊急事態宣言 期間延長に際して

 映画館や演芸場などで作る全国興行生活衛生同業組合連合会が出した声明を抜粋します。

 休業要請および無観客開催の要請は、上記の実績を考慮に入れていないことは明白であり、施設内での感染リスクに対してではなく、「人流の抑制」に焦点をあてていると推察しております。 しかしながら、こと映画館の場合、作品の鑑賞を希望されるお客様が、緊急事態宣言対象外の近県の映画館に移動されることは、むしろ「人流の増加」につながる可能性さえあり、我々の経営基盤をゆるがすのみでなく、「人流の抑制」政策に合致しないことは容易に想定されるところです。

 また、演芸場の無観客開催は現実的でありません。一定の制限下の元で緊急事態宣言下でも営業を続ける陳情をして参ります。

 当業界の感染リスクが比較的少ないことは、政府にもお認めいただいているところです。しかしながら、他業種に比しても非常に厳しい要請をされている現状の是正も訴えていきたいと考えております。

緊急事態宣言及び緊急事態措置の延長に対する声明文