コロナ時代のキャッシュレス決済「3点セット」教えます
かつて“キャッシュレス後進国”と言われた日本。近年はクレジットカードや電子マネーの利用が進み、「どのカードがお得?」「ポイント還元率は?」といった会話も日常の風景になりました。業界を30年以上取材してきた岩田昭男さんが、“キャッシュレス狂騒曲”を冷静に見つめ、利点や問題点を分析します。
かつて“キャッシュレス後進国”と言われた日本。近年はクレジットカードや電子マネーの利用が進み、「どのカードがお得?」「ポイント還元率は?」といった会話も日常の風景になりました。業界を30年以上取材してきた岩田昭男さんが、“キャッシュレス狂騒曲”を冷静に見つめ、利点や問題点を分析します。
目次
新型コロナウイルスの影響で、クレジットカードの選び方が大きく変わりました。
日常生活が様変わりし、以前の常識が通用しなくなっています。
代表例が海外旅行で、国境を越えた移動は厳しく制限されるようになりました。
その結果、国際航空会社の利用者は激減しています。
当然、決済に使われる航空系クレジットカードの利用も減りました。
マイルを貯めて特典航空券に換えても、飛行機が飛ばなければどこにも行けないからです。
その他にも、宿泊に使うホテル系カード、飲食・接待に使うゴールドカードなどがコロナ禍で打撃を受けています。
一方、巣ごもり消費の影響でネットショッピングは絶好調です。
楽天やアマゾンなどは売上を大幅に伸ばしました。
このように、コロナの影響でクレジットカードの勝ち組と負け組がくっきり分かれました。
そのため当分の間(秋口までか年内?)は、旅行や接待を売り物にしているゴールドカードやプラチナカードを選ぶ際は少し慎重になった方がいいでしょう。
逆に持っていいクレジットカードは「ネットショッピングに強い」「年会費無料で還元率が高い」「非接触のタッチ決済ができる」「セキュリティのため券面にカード番号を載せないナンバーレス」といった特徴を持つものです。
最近はこの種のカードが多く見られるようになりました。
特に生活に密着した交通系、流通系、通信系のクレジットカードが充実しています。
それらの中から自分のライフスタイルに合わせて選ぶのが基本でしょう。
カードの持ち方に関して、私は以前からメインカードとサブカードの「2枚持ち」を提唱してきました。
この考え方は今も有効だと思います。
なぜ2枚かというと、例えば国際ブランドJCBのカードを1枚持っていたとします。
それを持って欧米に行った時、残念ながら向こうではJCBの加盟店が少ないため、JCBカードを使えない店が多いのです。
そこでもう1枚、例えばVISAのカードを持っていくとそちらが使えますから、十分に観光や仕事を満喫できます。
さらに最近はPayPayや楽天ペイといった「QRコード決済」や、Suicaなどの「電子マネー」、セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カードDigitalなどの「デジタルカード」 といった新顔の決済ツールが出てきました。
こうした新しい決済をどうまとめるのかが目下の課題です。
そこで提案したいと思います。
クレジットカードのメインカードとサブカードに、スマホ決済を加えた「3点持ち」にしよう。
これがニューノーマル時代のカード選びの指針です。
この考え方に沿って2枚のクレジットカードと1種のスマホ決済の組み合わせを紹介しましょう。
メインクレジットカード、サブクレジットカード、スマホ決済の順で並べます。
なお、クレジットカード2枚の国際ブランド(VISAやMasterCardなど)は別々のものを選ぶよう気をつけて下さい。
春は引っ越しをする人も多いと思います。
近所にローソンがある人におすすめの組み合わせです。
ローソン店舗を拠点に、クレジットカードとQRコード決済を利用することで、「Pontaポイント」がたくさんたまるパターンです。
メインのローソンPontaプラスは2020年11月から、一般利用での還元率が0.5%から1%にアップしました。
ローソン店舗では16時から23時59分まで毎日2%の高還元を受けられますから、Pontaポイントが効率よく貯まります。
サブのリクルートカードは、還元率1.2%で「リクルートポイント」がたまり、これをPontaポイントに交換できます。
リクルート系のウェブサイトだけでなく、特定の電子マネーにチャージしてもポイントが付きますからお得です。
加えて、スマホ決済のau PAYでもPontaポイントがたまりますので、全ての支払いの還元をPontaポイントにまとめられます。
JRでの通勤を利用して、行きと帰りでポイントをどっさりためたい人におすすめです。
ためたポイントをSuicaにチャージして、さらに得することも可能です。
メインのビューゴールドプラスカードは、Suicaへのチャージで他社カードの3倍となる1.5%の「JREポイント」がたまります。
チケットや定期券購入などJR東日本関連の買い物でも優遇されます。
サブのJREカードは、JR東日本管内の駅ビルの買い物でJREポイントが3%還元になります。
会社帰りにターミナルの駅ビルに立ち寄り、買い物をするだけでも、効率よくJREポイントがたまります。
スマホ決済にはモバイルSuicaを入れます。
2枚のクレジットカードで貯めたJREポイントを次々にSuicaにチャージして、電車に乗ったり、全国のコンビニや一般の店で買い物したりしましょう。
2021年7月からビューカード、Suica、えきねっとの関連サービスが大幅にリニューアルされます。
ビューゴールドプラスカードでSuica定期券を購入すると、ポイント8%還元になるとのこと(現在は1.5%)。
これ以外の点も含め、今回のリニューアルではビューゴールドプラスカードが大化けすることがはっきりしました。
年会費は1万1千円かかりますが、元をとるのは難しくありませんので、今回あえて紹介しました。
スマホとの連携でセキュリティを重視するなら、セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カードDigitalがいいでしょう。
メインの「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カードDigital」は、日本初のナンバーレスカードです。
券面にはカード番号、有効期限、セキュリティコードが一切なく、これらの情報は スマホアプリ「セゾンPortal」で確認できます。
そのため、買い物の時に他人からの盗み見を防ぐことができて安心です。
カードを申し込むと、最短5分でスマホにデジタルカードを発行してくれて、すぐにクレジットカードを使いたい人のニーズに応えてくれるのもありがたいところです。
申込者には後日、ナンバーレスのプラスチックカードが届きます。
サブにドコモのdカードを選べば、メインカードの使用でためた「dポイント」を支払いの際に使えます。
メインカードの国際ブランドであるアメリカン・エキスプレスに対応していない店でもクレジットカードで支払えて、dポイントもたまります。
スマホ決済には、セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カードDigitalのデジタルカードを選びます。
カード情報をApple PayやQUICPayに登録し、QUICPay加盟店で利用すると、通常1千円で1ポイントの「永久不滅ポイント」が6倍(6ポイント)たまります。
1ポイント5円相当で使えるので、還元率は3%と高いです。
たまった永久不滅ポイントは支払いに充当することもできますが、幅広い店舗やサービスで使えるdポイントに交換すると使い勝手が向上し、ポイントが塩漬け状態になりにくいでしょう。
若いビジネスパーソンのみなさんは、今後長い間クレジットカードと付き合うことになります。
特に新社会人の方がファーストカードを選ぶ時はじっくり選んでください。
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年5月6日に公開した記事を転載しました)
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